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新しい挑戦。新生ビッグフードJKへの道


去年からの激動の世の中の変化に、混乱したり模索しながら一年が経ちました。
もうすぐ3月29日。志村けんさんの命日です。あの日のこと、テレビの画面に速報が出たときは、目を疑いました。小さい頃から見ていたヒーロー。おもしろくて、かっこよくて、優しくて。本当に悲しかった。
目に見えないウィルスに、こんなにもあっけなく大事に思っていたものを奪われるなんて、ちょっと前までは想像もできなかったのに。悲しさとともに、リアルに恐怖を感じました。
みんな、本当にみんな、大変でしたよね。
あの頃漠然と抱いたイメージよりも、このウィルスは一枚も二枚も上手で、まだまだ翻弄される日々。こちらUNBLEACHEDのnoteにも何を綴ったらいいのか言葉を探して迷っていましたが、でも、そろそろ現状報告、書かせてください。

みんな我慢とか気づきとか、似たような気持ちを共有しているんだろうな。いわゆるワンチームみたいな感覚で、ここまで気持ちをつないできた気がします。大変な一年の間にも、我々がつくるUNBLEACHEDの洋服を見てくださる人、買ってくださる人がいた。そして着てくれている人がいる。そんなありがたいつながりが、本当に力になりました。
いまだにコロナ終息という言葉は聞くことができません。
しかし、皆さんのおかげで、我々もこの一年の間に変化や進化をして、いくつか新しいチャレンジをはじめています。
ひとつはメイドインジャパンでつくる、コンセプチュアルなホーム&ワンマイルウェア「UBD on pier」のスタート。家での時間を改めて充実させることで、こんなに豊かな気持ちになる、楽しくなるという気づきから生まれたラインです。
そして、もうひとつ。goa時代からのシグネチャーアイテムのひとつ「ビッグフードジャケット」のメイドインジャパンバージョンへの挑戦です。


米軍のモンスターパーカにインスパイアされたミリタリージャケットで、90ものパーツを約250の工程を経て組み立てる、というか縫う、という、複雑怪奇なアイテム、それがUNBLEACHEDのビッグフードジャケット。
日本にはもちろん世界が羨むような素晴らしい縫製工場、技術がたくさんあるけれど、このアイテムをつくるために必要な特殊なミシンがそうそうなかったり、嫌がれるほどの膨大な工程。それにあえて無骨に縫うということをよしとされないこともあり、日本で縫える工場はあまりないだろう、仮に縫えたとしても大変な工賃になるだろうと言われてきたこのジャケット。これをどうにかして日本の技術で、メイドインジャパンで作り上げたいと思うようになったのです。
きっかけは、去年の今頃。

goaがなくなり、2年前にUNBLEACHEDを小さく立ち上げてから、ものづくりと向き合うという意味で、小さなブランドだからできることなど、失敗したり成功したりしながらおもしろさを感じることができたけれど、コロナ禍ではちょっとへこむことも多くありました。海外とのやりとりにおいてもいろんなことが変わってしまった…。
でも、ピンチはチャンス。困ったときはその言葉を信じるしかない。
それなら小まわりがきくからこそ思いつきで動けること、小ロットだからこそ極められる状況を利用して、今こそ何か動き出さなければ、そう心に決めてこの面倒なビッグフードジャケットの縫製を引き受けてくれる工場探しをはじめました。
コロナを通して、前よりもいっそう日本への愛情が膨らんだ、そんな心の変化もあったと思います。

こんなふうに書いていくと、国産ビッグーフードジャケットのお披露目が間近な雰囲気が漂いますが、まったくもってそうではないです(笑)。あくまでも途中経過をつらつらと書いています。
今のところは、とにかく日本全国の縫製工場をあたり、ジャケットを送って見てもらっては、「これはできない」と即断られることがほとんど。それでも中にはおもしろがってくれて「やってみよう」と言ってくれることもある。でも今のところは途中で頓挫が2件。そして今また違う場所で、ビッグフードジャケットを囲んで前向きな打ち合わせを始めたところです。

なかなか形にならないけれど、やりとりを重ねるうちに見えたこと、整理がついたこともあるんです。
goaの頃から何度もブラッシュアップを重ねてつくったジャケットで、思えば自分自身の思い入れが強すぎた。勝手にこれは長い間、時間も手間もかけて至った完成形って思っていて、変えたくない部分を増やしすぎてがんじがらめにしてきたことに気づきました。それによって日本にはもうあまり残っていないミシンを含め、何種類ものミシンを駆使して縫う箇所とか、無理やり残したりしていたんだけど、もう少しシンプルな方法にチェンジしたり、その部分をカットして新たに違うディテールでまた違うかっこよさを加える、なんてことを考えられるようになりました。
そう。自分もいい年齢になって思うのが、欲しいのはずっと着たいもの。着られるもの。お客様にも買っていただくなら、長く着られる確かな品質のものをできるだけ届けたい。UNBLEACHEDを立ち上げるのに思ったそのことを、ちゃんとやらないと、そう思って取り組んでいます。

そんなわけで、どのくらい先なのかわからないのですが、新生「ビッグフードジャケット」が、きっとものすごくかっこよく、クオリティもさらにグレードアップして、いつか日本製で誕生する予定です。
もちろん今までのコも、すごく無骨で不器用な感じがカッコよくて今も大好きなんだけど。少しだけ残っているメンズのジャケットがなくなったらしばらくは冬眠に入らせます。
とりあえず、ウィズコロナなのか、アフターコロナなのか。なんだか分からいけれど変わっていく世の中で、みなさんと共有したいことを、他にもいろいろと進めていますので、これからもよろしくお願いします。

引き続き皆様もご自愛のほどを!

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