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AV新法は適正AV業界の滅亡の第一歩でもあり、実は大逆転のチャンスでもある

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AV新法の最もマズイ部分はこれ

先日の記事の最後に、「AV新法によって適正AVという産業が潰れる」と書いたが、今回はその理由について述べる。

前回はAV新法を "被害者救済法" と呼ぶことの違和感について述べたのだが、このAV新法にはこのような一文がある。

出演者の年齢や性別を問わず、作品の公表から1年間(※施行時は2年)は無条件に出演契約を解除できる。その際は違約金などを発生させてはならない

このたかだか1~2行の文章のおかげで、適正AV業界は商売として成立することが出来なくなってしまうのだ。

出演契約の解除というのは、その後の商品回収や原状回復の義務と合わせると、ようは「契約解除を申し入れた人間が出演している作品を売るな、すでに販売済ならば商品を売り場から下げろ」といった意味になる。

この法案は、当初は成年年齢の引き下げによって、18~19歳の未成年取消権が無くなるうんぬんという話が発端になっているため、野党案だった時には「AVに限り未成年取消権がなくとも18~19歳の出演契約を無条件で取り消せるようにしろ」という内容だった。

それに対して「成年年齢を引き下げたのにAVだけを危険視するのはなぜか。18~19歳だけ特別扱いする意味が分からない」といったツッコミが入り、結果的に与党案として「年齢や性別を問わず無条件で契約解除できるように」という内容になってしまった。

こちらの方が既存の適正AVの業界ルールそのものであるし、野党案よりもチグハグさがないので、良い変化だと受け取った人間も多いだろう。

ところが、これこそがAVというビジネス自体が成立しなくなる致命的な一撃になってしまうのだ。


想定される「適正AV業界の潰れかた」

AV新法の欠陥について、このようなツイートを飛ばしてみた。

分かるひとにはこれだけで「そうだよね」と通じると思うが、AV新法は「AV業者を悪と決めつけ、そこを縛り付け、また罰則を与えることしか考えていない」ため、AV業者が被害者になることを全く想定できていない。

そのようなAVメーカーらが被害に遭うケースを考えた場合、すぐに思い付くのは「出演契約解除恐喝」である。

AVに出るだけ出て、出演料も貰って、商品発売後2年間の間に「やっぱり辞めます、私のすべての出演作を売らないでください」と言い出す。

そこでAV女優が自分で「それが嫌なら○○万円よこせ」などと言ってしまってはシンプルに恐喝で捕まってしまうので、第三者を用意して「私ならば✕✕ちゃんを説得できると思いますよ~。実費だけ請求させていただけますかぁ~?」とでも持ちかければいい。いわゆる総会屋方式である。

AV新法では出演後3ヶ月間は売れないだの何だの色々な制約があるので、2年間も時間があれば、その間に月1本ずつ撮ったとしても、AV女優が出演契約解除を申し出る前に十数本は出演作品ができる事になる。

それら全てがパーになる事を考えたら、総会屋的なヤツにいくらか金を払ってでも売りたいと考えるメーカーもいるだろう。
だが、一度でもそんなヤツに金を払ってしまっては、味をしめて何度となくたかられる。それでは流石にビジネスとして成立しないので、作れば作っただけ損をする可能性すら出てしまう。

さらに大問題なのは「性別を問わない」という点だ。という事は、AV男優も含まれるので、1発射いくらの汁男優ですら、出演作品を売らせない事が可能になるのである。

高いギャラを貰うAV女優よりも、私としてはこの「買い叩き易い汁男優が使われる」というケースの方が多いような気もする。

仮に汁男優やエキストラから「出演契約を解除しろ」と言われた場合、それ以外のAV女優やAV男優が何も言わなくても商品は回収もしくは発売中止となるのだから、「じゃあ文句を言ってない人間のギャラはどうなるのか」といった混乱が生じる。

ところが、こうした少し考えれば思い付くはずの落とし穴について、AV新法は何も触れていないのだ。それもこれも、先に述べたように「AV業者を悪と断定しているから」である。

こんな穴だらけの法律を通してしまっては、適正AV業界などあっという間に滅んでしまうだろう。そうなった場合に喜ぶのは、「イージーマネーを欲しがる若い女性の受け皿を作るアウトロー」だけだ。


契約解除した場合のギャラはどう考えるのか?

以前の記事にも書いたが、ここで気になるのは「原状回復」という言葉の受け取り方である。普通は自分の都合で契約解除したならば、出演料には返還義務が生じて当たり前だ。

だが、契約解除を申し出て、原状回復義務を負ったAV女優が、出演料の返還が出来なかった場合についてはどうなるのだろうか。少なくとも骨子案の段階ではそれについては何も触れられていなかった。こういう部分もAV新法の欠陥のひとつである。

それに上で述べたように「AVとは出演者ひとりでは作れない」のだから、仮にAV女優が契約解除を申し出て出演料を返還して販売停止にした場合、その作品に出ているAV男優などその他の出演者はどうすればいいのだろう。
決して無視できない部分だと思うのだが、これもまた骨子案では触れられていない。

こうした事態を全く想定できていない事が、この法案が「偏った思想を持つ人間によるAV潰し目的である」という何よりの証明になっていると言える。

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