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なぜ山に登るのか

なぜ山に登るのか。その理由は人それぞれ違う。
山頂に着いた達成感だったり、壮大な景色だったり、自然の中でリラックスするためだったり。可愛い高山植物とか、外で食べる美味しい山メシ、下山後の一杯、温泉。挙げたらキリがない。

すれ違う人に思う。何故この人は山を歩いているのだろう?

そして、私の場合はどうだろう?

昔は確か“達成感”だった。仕事が上手くいかず自信をなくしてしまった20代前半、山に登って山頂に辿り着けば、元気をもらえた。「こんな私でも、頑張れば目標を達成できるんだ」と思った。小さな一歩一歩が、大きな目標に繋がっているんだと気付いた。大自然を見れば、自分の悩みなんてちっぽけで、少し救われた気がした。

今はどうだろうか。今は達成感で山に登っていない気がする。今もまだまだ半人前だけど、あの頃のように自分を卑下しなくなった。30代になり、海外の様々な価値観に触れることで、「まぁこれも私だからいっか」と、前より自分を受け入れるようになった。

だったら今は何で山を歩いているの?

今、ヨーロッパのツールドモンブランを歩いている。ヨーロッパ最高峰・モンブランの周囲170kmを歩くロングトレイルだ。フランス・イタリア・スイスの3ヶ国を跨ぎ、トレイルランニングの大会としても有名なこのコース。トレッキングの場合は大体11日で一周するが、毎日のように峠越えがあるハードな道だ。

私はこのコースをテント泊装備で歩いている。11日中、3泊小屋泊で残りはテント泊だ。

テント泊になると装備が増え、バックパックは17kg。このまま別のトレッキングコースも歩くので、トータル20日ほどこの荷物で歩く。重くて足が進まない。小柄で手足が短い私は、他のハイカーに「バックパックが歩いているよ」と笑われる。長時間歩くと、荷物の重さからお尻や胸の辺りが痛くなる。苦しい、しんどい。途中何回、荷物を捨ててやろうかと思ったことか分からない。陽射しと乾燥で、肌がどんどんゴワゴワしてくる。汗をかいたら顔に汗疹が広がるし、服は汗臭いまま洗えずにまた翌日も歩く。

山に登ったことがない人が上だけ読むと、何でそんなしんどいことするの?と思われそうだ。

一番の理由は非日常なんだろうけど、長く山にいると、非日常が日常になってきた。だから自分でも理由がよく分からない。

その理由を知りたい気もするし、見つけなくていい気もする。しんどくても別の感情が自分を動かす。撮った山の写真をみるとキュンとくる。別のトレッキングコースの話を聞くと、ワクワクする。次いつ山に行くか計画している自分がいる。今は答えを出さなくていい気がする。

だけどふと、すれ違う人の物語が気になる。なんで山を歩いているんだろう?

あなたは何故山に登るのですか?

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