エゴ
家から逃げようとするトカゲに、
『外に出たら後悔するよ』
と声かけしてみたものの、
初めて見る顔をされて、何も言えなくなった。
ペットのトカゲにとって、
餌を与え、生きさせてあげているというのは、
私のエゴであって、飼うという行為は
浅い虐待。
私の目の前に
急に宇宙人が現れて、一生ご飯を与えてあげるから
ここに居なさいと言われたら嫌だと答える。
取引された瞬間から死ぬまで、
ほぼ変わらない光景で
本能的な狩りもできない。
生きたものが食べたくても死んだ物しか
与えられず、こんなクソみたいな生が
この先も永遠と続く。
私は、黙ってベランダの窓を開けて
トカゲを外に逃してみた。
『18時になったら帰ってきてね。』
一方通行の想いを伝えてみた。
トカゲは勢いよく家から飛び出た。
その瞬間、
カラスがトカゲを餌とした。
意味が全くわからなかった。
兎にも角にも、自然は偉大であった。
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