学生アスリートの過ち、罪を犯す原因を考える

今日や昨日始まったわけではないが、アスリートの犯罪に関する記事をネットなどで見かけると非常に残念な思いになる。
昨年の秋、関西地方の有名私学サッカー部、関東地方の名門大学野球部で立て続けに大麻の使用が発覚し、活動が停止になった。

背景も原因もケースによって異なるだろうが、今回の事例をケーススタディとして、大学で運動部に入っているアスリートたちとディスカッションを行った。

(テーマ)なぜ、自分の心をコントロールできないのか。

・僕は高校卒業後の目標が決まっていたので、高校の部活を引退した後、すぐに気持ちを切り替えることができたが、甲子園・インターハイなどの大きな目標がなくなった後、何を目指して良いのか。わからない人が多いと思う。
・実際、自分自身、全国大会出場という目標があって達成できた。それが終わった後、それまでは部活に縛られていたが、縛られるものがなくなって自由になる。「開放感」が原因になっていると思う。
・目標を見つけられない人も多い。運動部の場合は、むしろ、競技という軸があり目標は考えやすいと思うが、高校時代で燃え尽きている、高校時代のように熱中できなくなっている人も多いと思う。
・自分の経験で考えると、注目されないことも過ちを犯す原因になると思う。
自分は野球をやっていたが、高校野球は注目度があって、テレビ中継、新聞で取り上げてもらったりする。実際に甲子園に出場した後、注目されなくなったとき、虚しい気分になった。応援してくれる人がいるから頑張れたところもある。自分が注目されない、認められないことを受け入れるのに時間がかかるのではないか。
・高校の部活を引退した後、自由な時間が増えるとSNSで多くの人と繋がれるようになり、流されてしまうのではないか。実際に、自分も受験勉強がきつい時に大学に入って活躍する夢を失いかけ、楽な方向や興味がある方向に流されてしまうことがあった。
・野球選手の場合、甲子園が全てと思ってしまう。引退して野球がなくなった時に何もなくなったと思ってしまう。現役の時に、他の事に興味を持てない環境や雰囲気が影響しているのではないか。
・高校時代は、指導者から指示されることが多かった。大学生になると自分の時間も増えるし自分で選択することが増える。未成年、成年が交わるところでもある。そういった環境の変化の中で、間違った選択をしてしまう人がいるのではないか。

(テーマ)どうしたら自律できるのか。

・初心に返ることだと思う。目標を立てることから初めて、大学に入学後も大学に入った時の気持ちを思い出す時間を作るべきだと思う。
・自分で自分を認める癖をつける。自分に自信をつけることで、前向きになれると思う。
・自分自身を見つめ直す機会を作るべきだと思う。流されそうになった時、本当にこれで良いのか。見つめ直すことが重要だと思う。
・高校生は自分で気づくことが難しく、指導者に指摘してもらう。夢中になったことに突っ走ってしまっても、先生が止めてくれる。大学生は、機会だけでも大人が作ってあげれば、自分を見つめ直すことができるのではないか。
・卒業後の未来を描くこと。大学は社会に出る前の準備段階。社会に出てからの方が長い。将来を見据えることで、今何をしなければならないかが見えてくると思う。

(まとめ)

今回は、大学生(同世代)のアスリートたちが、自分自身に置き換えて意見、考えを述べてくれたが大人には気づかない、大学生の目線から出てくる言葉は、とても勉強になった。何をすれば防げる、ということではないと思うが、どの意見・考えも、なるほどな・・・と思うところがあった。
アスリートとしての成長だけでなく、「教育」としてのスポーツ、「人間形成」としてのスポーツ、学生スポーツにはいろいろな役割、価値があると思うし、親からはもちろん、大学からも社会からも、求められているもの、期待されていることなど、幅広くあると思う。その価値を最大限にするために、そして、マイナスになるような過ちを犯さないために、指導者も、仲間も支え合い、そして誰よりも自分自身が自分の心をコントロールできる能力を身につけてほしい。
次は、高校生の意見も聞いてみたい。

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