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”わが投資術 市場は誰に微笑むか”(清原達郎)から学ぶこと

Xで話題になっている本 ”わが投資術 市場は誰に微笑むか”
著者はタワー投資顧問 清原達郎さん
若い投資家の方は意外と知らないかも
2004年高額納税者公示(長者番付)でトップ
納税額約37億円
推定年収100億円

同年3位がファーストリテイリングの柳井社長
当時の記事がこちら

書籍の面白いところ(参考になりそうなところ)をピックアップしてみます。

ちなみに 自己紹介 小野和彦
株式会社リンクスリサーチの代表をやってます。(2017年10月に設立)
設立前の経歴は
・外資系ヘッジファンドで8年ほどアナリスト、トレーダー
・セルサイドアナリストを3年
・大学卒業して証券会社のシステム子会社でシステムエンジニア
ヘッジファンドでしたが、徹底的なリサーチと長期投資を掲げており、長期投資で企業を応援するというスタンスを続けてきました。
そこだけは投資家としてユニークな部分かもしれません。
独立してからは
・機関投資家向けのリサーチ
・企業価値向上コンサルティング(IR支援含む)

の2本柱でやっております。



野村証券で抱いた「強烈な違和感」

当時(40年前)の野村証券には 顧客が儲けて自分も儲かるという発想はなかった 当時の営業マンは「顧客を儲けさせた」という自慢は一切しない 彼らの自慢は
・顧客にどれだけ損をさせたか
・どれだけ部下を辞めさせたか の2つ

酷い話だ。確かに、私も証券会社の入社時研修で聞かされたのは
”XXXX万円損させたが、それでも許してもらって、可愛がってもらっている” ”社長と仲良くなれる仕事だ”
みたいな自慢だったw

反省したこと

バングラディシュでの話
タクシーを使ったものの、中々たどり着けなくてイライラしていた。
そのタクシーが目的地に到着して、待っている間に、ドライバーがハガキを読み始めた。いつまでも読んでいる。
バカにするような態度で、
”お前、まだそんなの読んでいるの?”
と言うと、彼が答えた
”私は文字が読めないのです”
母国に妻と子ども5人を残しての出稼ぎだそうです。 字が読めないのに必死で家族からのハガキを解読しようとしていたのです。
俺とこの人とどっちが偉い?俺は独身で何の責任もない身だ。それなのに調子に乗りすぎてないか? この人を怒鳴りつけられるような立場かよ!”
このとき私の放った一言は、人生で最悪の一言です。
その恥ずかしい一言を私は絶対に忘れません。

”わが投資術”という書籍で投資家に向けた本としては書かなくてもよいことかもしれないが
この本の一番大事なところかもしれない
投資においては”自分は知らない”という謙虚さが常に必要。
清原さんが謙虚さを持ち続ける、投資の哲学の根底にはこの出来事があるのかもしれない。これを書いたのは、いつまでも心に残っている忘れられないことなんだろう。
ここだけでなく、清原さんの謙虚さ、やさしさが随所にちりばめられている。

<投資の参考になる部分>

勘定科目を見て、計算の仕方など、バリュー投資の基準も記述していますが、それよりも投資家にとって大事で、 私が面白い、多くの方に参考になると感じたのは、中小型の割安成長株を選ぶ理由

〇中小型が割安になる理由

以下のようなものを挙げています。
1.大企業の下請け的な仕事をしていて「価格決定力」がない
2.参入障壁が低い
3.優秀な人材がいない
4.オーナー経営者の息子(次期社長)がバカである
5.世の中の関心が薄いため経営者が不祥事を起こしやすい
6.TOBしにくい株主構成になっているので経営者が堕落しやすい
7. 粉飾決算があった時にダメージが大きい
8.海外に進出するだけのリソースがない
9.株を相続する時のために(相続税を安くするために)、できるだけ株価は安いほうがいいとオーナー社長が思っている
10.オーナー社長が引退する時に莫大な退職慰労金が支払われることがある どれもその通り これらの要因が解消される見込みがなければ、いつまでも割安なまま 見極める必要があります。

加えて大事なのは

〇小型株の成長性は「経営者」が9割

成長性がないと思われている業界やイメージの悪い業界からぜひ成長株を探す。 その時、長期的な成長性を見抜くにはどうしたらいいか

1.経営者がその企業を成長させる強い意志を持っているか(必要条件)
2.社長と目標を共有する優秀な部下がいるか
3.同じ業界内の競合に押しつぶされないか
4.その会社のコアコンピテンス(強味)は成長とともにさらに強くなっていくか
5.成長によって将来のマーケットを先食いし、潜在的マーケットを縮小させていないか
6.経営者の言動が一致しているかどうか

で、
圧倒的に大事なのが1
1.経営者がその企業を成長させる強い意志を持っているか

私は取材先の企業の社長がどんな方か、どんな経歴か、何を言っているのかをチェックします。
ミッション、ビジョンなど、社長の思いが入っているのかを重視します。
投資検討する企業について、個別に照らし合わせながら判断の基準にするとこの本を読んだ価値が何十倍にもなりそう。

〇株式投資に才能などない


人間を3種類に分けてみましょう
1.自分の犯した間違いから学ぶ人
2.他人の間違いを他人事だと思わず、自分ごととして学ぶ人
3.自分の間違いから学ばない人
株式投資の才能なんてありません
あるのは 「自分の失敗からどれだけ学んだか」 だけです

株式投資に限った話ではありませんね。振り返らないと失敗から学べない。
失敗を繰り返してしまいます。

〇決めつけない

株式投資のように確率的に考えなければいけないゲームでは 「決めつけ」は禁物です。
決めつけたとたん、その後に出てくる有益な情報を見逃しやすくなってしまいます。 あなた以外の誰もが「この会社は絶対に成長しない」と思っていたとしましょう。一方、あなたは「5%ぐらい成長のチャンスがあるのでは?」と思っています。
すると、世間はこの会社に関する新たな情報には関心を向けません。
でも、少しでもチャンスがあると感じているあなただけはその情報の重要さに気づき真剣に分析するかもしれません。そして、リサーチの結果、いい投資アイデアだということになれば大きなリターンにつながる可能性もあるでしょう。
どんな小さな可能性でもゼロではないとすることで「その他大勢の見方とは違う見解」が生まれるのです。
自分が聞きたくない情報や確度の低い不正確な情報が自分にとって重要だということは十分あり得るのです。

誰もが自分の価値観でみて、0or1で判断しがち
0,1で判断するのは簡単ですし、自分を正当化する事でもあります。
私もよく決めつけて見てしまうことが多いです。
忘れないようにしなければと思います。

昨日の勉強会後の懇親会でもそんな話で盛り上がりました。

<勉強会やってます>


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