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運用会社フィデリティの”企業との対話”と”その成果”

アクティブファンドの月次報告書を毎月チェックしています。
投資先の変化だけでなく、投資先のどこに注目しているかのコメントが記載されていることもあり参考になります。
主に中小型を対象とするファンド。

対話の事例が記載されているのは珍しいのでご紹介します。
四半期ごとに更新らしい(次回は7月に更新)ので要チェック。


・フィデリティ・日本バリューアップ・ファンド(2024年5月)

https://www.fidelityinternational.com/legal/documents/JP-ja/mr.JP-ja.JP.F-275001.0424.pdf

”SWCC(旧 昭和電線HD)との対話の事例”

SWCCについては
JPX(東京証券取引所)の「資本コストや株価を意識した経営」
の事例集にも紹介されています。

https://www.jpx.co.jp/news/1020/skc8fn0000001bv1-att/skc8fn0000001bxv.pdf

〇評価されていない企業を特定する3つの切り口

・成長力
・資本効率
・規律ある経営
この3つの切り口に着目 「もったいない」企業を特定し、課題解決に向けて継続した対話が実施可能な企業を選別する

〇対話の進め方

3段階でモニタリングし継続的に企業と対話
Step① 「もったいない」企業に課題を伝える
Step② 企業が課題の改善に取り組む
Step③ 株価や財務指標の改善を確認する


〇例:5805 SWCC(旧 昭和電線HD)との対話

企業概要: 電力インフラ系に強みを持つ総合電線メーカー。高電圧電力ケーブル用コネクタSICONEX® 等の高付加価値製品に強み

課題:
2019年以降、投下資本収益率(ROIC)の向上も考慮した経営を行い、業績は改善したものの、全ての事業が成長するような楽観的な経営計画が示されていたため、市場ではROICの持続的な向上が懸念され、 PBRは1倍割れで推移

対話の概要:
課題解決のため、事業ごとの戦略的な位置づけを整理 成長事業は投資と回収(利益 貢献)の見通しを具体的に示すなど、事業ポートフォリオを適正に管理する必要性を伝えた。

企業側のアクション:
①市場成長性と事業収益性に応じて、事業ごとの戦略上の位置づけを整理
②高付加価値製品(高電圧電力ケーブル用コネクタSICONEX®等)を中心とした成長事業への 投資が、段階的に将来の利益に貢献するイメージを提示

結果:
株価は12月以降2000台から4000円台へ

・PBR1倍割れから現在1.8倍


具体的な内容

課題と企業のアクション①:
課題
 全事業が成長する予想(よくありますね)

アクション
 事業ポートフォリオ管理の開示 (フィデリティが提案)

課題と企業のアクション②:

アクション
・新たに成長牽引事業や製品への投資が段階的に利益に貢献するイメージを提示
・営業CFや持ち合い株式の売却などで創出されたキャッシュを適切に配分し、成長投資や株主還元に前向きに取り組む動きが見られ、投資家の評価が一段と高まった

さらに深堀り
投資が利益に貢献するタイムラインを事業ごとに整理

ROIC経営導入のためのSWCCの取り組み

さらにSWCCは
ROIC経営を全社的に浸透させるべく、社内報で各部署ごとの分かりやすい指標と目標数値を掲げ、社員一人一人が自分事として取組める仕組み・環境づくりを推進

〇社内報

・分かって実践 ROIC塾

https://www.swcc.co.jp/jpn/ir/images/newsletter_ROIC01.pdf

・事業別ROIC いよいよスタート

https://www.swcc.co.jp/jpn/ir/images/newsletter_ROIC02.pdf


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