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IRとはうどん屋が”私はうどん屋です”と伝えること

IRとはうどん屋が”私はうどん屋です”と伝えること

何を言っているのか、と思うかもしれませんがちょっとだけお付き合いください。

ちょっとだけ話がずれますが

〇営業や広告は必要か

企業が行う営業や広告について
皆さんは広告や営業は必要だと思いますか?
なぜ必要か考えたことはありますか?

営業の方がいたらすみません。
勘違いしていただきたくないのですが
この問いは”営業が不要だ”とか”広告が不要だ”とか言いたいのではありません。
営業や広告はむしろ必要だと思います。
私は、届けたい人に存在を気付かせるために広告や営業は不可欠でしょう。
届けるための様々な選択肢の中で、広告、営業が効率が良ければ行えばいい。
しかし、私たちが接する営業や広告には、
必要でない人にも届けよう、売ろうとする営業や広告が多すぎると感じます。
効率性を無視した営業や広告。それによって、営業や広告の市場が膨張しているのではないかと考えたりしています。

そして、それをさせているのは、私も含めた投資家。
”もっと早く、たくさん売れ”
と要求する投資家がいるからこそ起こっているのではないかと思うのです。
企業はそれにこたえようと過剰な営業や広告をする場合がある。
そんな企業と投資家の関係が続くと、不祥事や粉飾決算が起こったりするわけです。
繰り返しますが、営業や広告の全てを否定しているのではありません。

LTV/CACが何倍だから適正な投資みたいな説明をして、営業や広告をバンバンうって赤字を正当化したり。
それだけで適正と説明してよいのと思ったりします?

話を本題に戻します

〇ある本のセミナーに参加しました

うどん屋

なぜこの話をしたか

先日、本の出版セミナーに参加しました。

”ビジネスを育てる 新版 いつの時代も変わらない起業と経営の本質”

書籍の帯にもありますが、クラシコムの青木社長が解説を書かれていて、
”自分がビジネスをする上で大きく影響を受けた1冊”
と説明していました。
青木社長は私が注目している社長の1人。

セミナーにゲストとして参加されると言う事だったので、参加しました。

このセミナーの最後に”質問コーナー”があり、
さっきの”営業や広告は必要か”の質問を青木社長にぶつけました。

クラシコムは広告は積極的には利用せず、動画やSNSの複数のチャネルで自社のイメージコンテンツを発信して集客=ファンを作っています。

回答としては

営業や広告は必要か不要かという観点ではなく、一つのチャネルであるという認識。そのチャネル特有の強み、そのチャネルじゃないとアプローチ出来ない人がいる。
どれもできる状態にして、あとは配分と優先順位の問題じゃないかと。
営業や広告が問題になるケースは他の方法では伸びないものを無理矢理伸ばすための手段として営業や広告を使う状態、つまり依存している状態。
伸びるポテンシャルがあるものについて広告や営業に投資をして使いこなせれば素晴らしい。
そのチャネルでなければ出会えない顧客がいるはず。
使いこなして多くの方にアプローチしたいと考えている

私の考えに近いコメントでした。

〇IRについて(企業の姿勢)

加えて以前、何度か取材をさせていただいていたので、私のことを認識していただいていたので、IRについても話してくれました。

企業は私たちはどんな企業なのか、何を期待して良くて、何を期待してよくないかを日頃のIRでしっかり伝えていく必要がある。

こういう成長のガイダンスをしていてこういう戦略で進んでいくと説明しその通りに進捗している時にもっと成長してほしいという投資家がいるとすれば

それは
うどん屋に行って”そばを出せ!”
と言っているようなもの

加えて、
”もっと安くして、こういう商品も作って”
というように多様なお客さんの要望がある時に
”私たちはうどん屋です これとこれとこれを作れます”
と自己紹介して、その範囲の中で約束通りに出す。

IRに置き換えて、大事なのは
まずどういう約束をするかと言う事
約束を超えたものや成長を求める要望には
理由を説明して、
”その要望に沿うことは難しいです。
なぜなら、私たちはこの通り、うどん屋ですから”

これがIRの正しいスタンスなのだと思う。

”何でも出せます”
”なんでもできます”
”だからもっと高く買ってください。”
というガイダンスを出す企業もある。

心当たりありませんか?

何を聞いても
”それできます”
リスク要因について聞いても
”問題ありません”
と言う企業。

それによって高い株価を形成して、実際にふたを開けてみたら出来ない
結果、株価は下がる。

IRは期待値をコントロールすることです。

”何でも出せます、って言ってるんだから出せよ”
と株主がいうのはあたりまえですよね。
そういう自己紹介をしているのだから。

最初から
”うどんしか出せません”
と言い続ければ、うどんを食べたい人しか来ない。
”つまらない”
と思うかもしれない。しかし、そこに価値を見いだしてくれている人のために精一杯事業を遂行する。これが上場企業が株主に対して貢献する事であり、ステークホルダーすべてに真摯に向き合う事です。

〇IRについて(投資家の姿勢)

投資家にも問題がある
”こんなうどんしか出せません”
と言い続けているのに、会社の説明を見ていなくて、
星の数だけ見て
”3.7だから入ってみよう”
入って見たら、うどん屋だった。
と言う状況が起こってしまう。

そんな状況で、うどん屋で蕎麦や刺身を注文することが起こってしまっている。

ステークホルダーは仲間だと思っている。
仲間だからこそ、出来ないことはできないと伝えて協力できることを探っていく。それでも無理に要求するようなことがあれば退けるしかない。

企業と投資家の間のIRの一つのあるべき姿だと思います。

IRは
”私はうどん屋だ”
”どんなうどん屋で、何が出せるのだ”
と言い続けること

”うどん屋”
という看板を見ないで入ってきた顧客に求められたものを
”出せます”
と言わずに、
”うどんしか出せません”
と言い続けること。

株主は
それを理解したうえで、
場合によっては、
そのうどんがずっと食べられるように、
また、たくさんのお客さんにうどんが提供できるようにアドバイスすること。

これがIRを通したエンゲージメントということだと思います。

ということで、勉強会やってます。
月1回の開催。
次回は7月13日(土)



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