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政策保有株式の処分の先の企業価値向上に目を向ける(東レの事例から)

金融庁は全上場企業を対象に、取引先との関係維持などを理由に保有する「政策保有株」を適切に開示しているか調査を始める。保有目的を純投資に切り替えたにもかかわらず、実態は変わっていない事例などがあるためだ。

3月期決算企業が有価証券報告書(有報)をまとめる6月から順次、全国の財務局を通じて調査票を送付する。1年をかけて全上場企業を調査する。

だそうだ。
”投資家はこんな企業の株式を買わなければいい”

のだが、日本株が変化しようとしていることへの信認に関わるため、市場全体に影響しかねない。


ある商店街のレストラン

ある商店街でイタリアンのレストランに入った。
そこでいただいた料理が美味しくなかった。
その顧客にとっては
”次に来た時には入らなけれよい”
という選択肢がある。それでもよいのだけど、商店街をまとめる会長さんは心配でならない。
・その1店舗の評判が悪いことによって、商店街の他のレストランも美味しくないと思われないか
・飲食店以外のお店の評判にも影響するのでは
・その結果商店街全体の魅力が落ちてしまうのではないか
その結果、
”あの商店街に行くのはやめよう”
となるのではないか
と心配で心配で仕方がない。
そのレストランに意見のひとつもいいたくなる。
商店街の会長さんはイタリアンの料理について何も知らなくても・・・・

そんな商店街の会長さんが日本の株式市場では東京証券取引所ということ。

東証に文句を言うのは投資家以外が勝手にやればいい

最初のどんな取り組みでもいいから、企業価値向上につながる策を考えろ!
中々取り組まない状況に業を煮やして専門家の意見を突き付けて、
一律であーやれ、こーやれ、と手取り足取りとなっている。

と、東京証券取引所や企業に対して非難や意見をいってる専門家や投資家が多いが、私はそれが言いたいのではありません。
投資家としては、企業がその意見を受けたうえでどう取り組むかを見極めることが大事だと、投資家向けにお伝えしたい。

東証が一つの指針を出したことで、各社がいろいろ取り組み、海外の機関投資家からの日本の株式市場の価値は高まっている。

どんな処理が良いのか(東レの例から)

投資家として、政策保有株式の処理をどう評価すればよいだろう。

具体的な事例で考えよう

3402 東レ PBR0.72 PER15.4
東レと言えばユニクロとパートナーシップを結び、高機能素材を提供している優良企業
ユニクロにも認められた企業だがPBR1倍割れ
今期発表した政策保有株式削減策を好感されて株価は上昇している
残高2113億円を3年間で半減、1000億円削減
全額を株主還元(自己株式取得)に充当

ちゃんと投資もします
営業CFで得た資金(7600億円)を投資にまわします(7200億円)

”株主還元も行いながら、投資もしっかりやります”

はよいのですが、事業別で見て二桁の利益率の事業がない

コスト削減計画も併せて出しているが、企業価値が見直されるため
=PBR1倍の回復だけでなく、その先を目指すために必要なことは
競争力強化
・収益性の低い事業(製品)の見直し
の両立なのではないでしょうか

一つの結論

最終的には個別の企業ごとにことなるので、抽象的ですが書いておきます。

①効率経営を目指すだけでなく、競争力のある製品の開発、提供に集中する
②短期:政策保有株式の処理など価値を生み出さない非効率な資産を処分し、価値を生み出す事業に資金を振り向ける
③長期:競争力のある製品の開発に取り組む(短期では実現しない)
④競争力のない事業の精査、見直し
 競争力のない事業を続けることは、もし利益を上げていたとしても、企業価値は毀損している可能性がある
 例えば、100億円投資して、年間1000万円の利益だったら、リスクに対してリターンが見合わない=企業価値を毀損しているということ
⑤それまでの期間を株主に待ってもらうために株主還元で報いる
⑥大きな変化の中で社内も大きなストレスがかかるため、社内への還元も行う

こんなことを考えながら、今後の企業の動向を見守りたい。

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