2留した

朝起きると、知らない2留が隣で寝ていた。

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停止する思考、心臓がbpm190で早鐘を打つ。

どうすんだ。

昨日まで就職するか院進するかなんて真剣に悩んでいたのに、まるで絵空事。2留を抱いちまった!
混乱し過呼吸気味の私の横で、寝起きの2留は「ゆうべはおたのしみでしたね」などと呑気にぬかす。勘弁してくれ。
2留を抱くなんて特殊性癖は、生憎持ち合わせちゃいないはずだ。

ひとまず落ち着け、冷静になれ、まずは現状確認だ。
昨夜の顛末を2留に尋ねる。

「あら覚えてないの?立派な振動工学とプラズマ物理学をぶちこんでくれたじゃない」

比喩が下品だ。
そもそも「単位を留年にぶちこむ」という表現が落単の比喩として成立しているのかいささか疑問である、が、今はそれどころではない。
2留が口にした2つは、満点に近いという自信をもって回答した科目だ。まさに驚天動地、天変地異、地震雷火事2留。

「そんなに落ち込まないでよ、こっちも傷つくわ」

確かにそれは申し訳ない。
記憶はないにしても、2留と熱い一夜を過ごしたのはどうにも確からしいのだ。誠実な男ならば、それなりの責任を全うするのが筋である。

しかもよく見るとこの2留、なかなかに美しい2留である。
凛と輝くまなざしにスッと通った鼻筋、進級までわずか3単位という奥ゆかしさも備えている。
ふむ。冷静になればこれはなかなか。私は存外、幸福な状況にいるのかもしれない。

しかもPEACEやんか


そんなこんなで、今朝からしばらくこの2留と生活を共にすることになった。

訊くとこの2留、名前がないようなのでホリーゴライトリーと名付けてやった。ホリーはたいそう嬉しがった。

教務課に問い合わせたところ、異議申立の回答は今月27日とのことなので、それまではホリ―と仲良く過ごそうと思う。
その後どうなるかは回答次第だが、彼女が気まぐれにブラジルだかどこだかに旅立ってくれることを切に願う。

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追記
教務課で手続きを済ませた後、ホリーを連れてサークル同期の悪友Qの下宿に向かった。
Qの隣にも2留が寝ていた。

金くれ