【批評】まかさん 『蒼の魂』

 批評させてくださいまして、ありがとうございました!

 今回の作品は、こちら。

蒼の魂|makazmakaz|note(ノート)https://note.mu/makazmakaz/n/n98a0b4c59bfa

 サッカーという動きの早いスポーツを描写するのは、簡単なことではありません。この文章量でこれだけの作品に仕上げるのは大変なことだったでしょう。書き出しからの流れもテンポもよく、普段あまりサッカーを観ないひとでも抵抗なく読める作品になっているのではないでしょうか。試合の流れ全体をだらだらと書くのではなく、的を絞って描かれている点もとてもいいですし、説明臭くなりすぎていないところにも好感を持ちました。
 
 以下、個人的に気になった点をひとつだけ。

 サッカーで、超高校級のプレイヤーが存在したとしても、誰も彼を『キング』とは呼べないだろうな、ということです。
 個人的な主観に過ぎませんが、サッカーで『キング』と言ったらたぶん、特にわたしくらいの世代だと、ある特定のプレイヤーをイメージしてしまいます。主人公ケイの『全てを超越した天才ぶり』を表すための表現として『キング』というのは決して間違いではありませんし、とても魅力的です。小説なんだし現実とは関係ないでしょ、と思われるかもしれませんが、登場人物とは別の、しかも実在の人物をイメージされてしまったら、ケイの魅力が損なわれてしまう可能性もあるのではないかと。
 何か代案があるのか、と問われると陳腐なものしか思い浮かばないのが申し訳ないところですが、伝説は始まったばかり、と締め括っているので、あえて『キング』など『すべてを超越する存在』であることをイメージさせることばを用いずに、作品を組み立ててみるのもいいかもしれません。

 非常に主観的で、勝手気ままなことを書いてしまいましたが、要するに『もったいないな』と感じた、ということです。ことばの持つイメージが『作品の世界観』にいい方向に作用することもあれば、残念ながら邪魔をしてしまうこともあります。
 わたしも改めて、ことばの持つイメージはだいじだなと学ばせていただきました。ありがとうございました!

 ご参考になりましたら幸いです。

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