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Let's Hack the World! アトラエはとっておきの砂場

どうも、世界中のヒトや組織の可能性を拡げたい、小倉です。アトラエという会社で情報システムやセキュリティに関する仕事をしています。

アトラエのアドベントカレンダーの12月22日分を担当いたします。

仕事柄よく触れる単語に「ハック(Hack)」や「ハッキング」というものがあります。セキュリティの攻撃や被害と関連付けられることが多い表現ではないでしょうか。そしてその意味が、セキュリティ界隈で使われるニュアンスと少し異なることを以前から感じていました。

その乖離は今まで気にならなかったのですが、最近読んだ以下の本を通してその考えを改めました。

もともと情報セキュリティの同業の方に勧められたことを機にこの本を手に取りましたが、読み進めるうちにこれは社会をよりよくしたいと考えている人向けの本だと感じはじめました。

そんなこんなで今回は「ハック(Hack)」という言葉が持つ可能性について、アトラエを通して考えたことを記事にすることを試みます。


Hack とは創造的な方法で仕組みの裏をかくこと

「ハッキング」と聞くとネガティブな印象を抱く方も少なくないと思います。不正ログインや、システムの妨害をするような悪意を持った攻撃のことをハッキングと表現するニュースを毎日ご覧になっていると思います。

一方でこの本の中ではハックを以下のように定義しています。

定義:ハック(名詞)

1.  想定を超えた巧妙なやり方でシステムを利用して、(a)システムの規則や規範の裏をかき、(b)そのシステムの影響を受ける他者に犠牲を強いること。

2. システムで許容されているが、その設計者は意図も予期もしていなかったこと。

ブルース・シュナイアー (著), 高橋 聡 (翻訳)
『ハッキング思考 強者はいかにしてルールを歪めるのか、それを正すにはどうしたらいいのか』

ハッキングは、不正行為とは違う。ハックが不正に当たることもあるが、たいていはそうではない。不正行為というのは、規則に違反すること、すなわちシステムで明示的に禁止されている行為だ。

ハックは独創的だ。最後には、悔しいが認めざるをえないような結果となる。実際には思いつきそうになくても、「そう来たか、自分で思いつきたかった」という反応を引き出すこともある。

同著

少し解釈を広げるとシステムを乗っ取るとか、出し抜くみたいなことも言えそうです。いずれにせよポジティブなニュアンスを含みます。

不正を意味するセキュリティの攻撃は「クラック(Crack)」「クラッキング」と表現され、ハックとは明確に区別されます。

ハックは往々にして尊敬の意味が込められます。それは成果を出すために賢く生み出された創造的な手段だからです。

情報システムの管理をしていると、たまにメンバーに「ハック」されることがあります。クラックは注意しますが、ハックは称賛します。それはまだまだ会社を成長させる方法があるなと思えるからですし、そういうメンバーが増えてほしいと思うからです。

余談ですが弊社の Slack で「ハック」という単語を検索したところかなりの数の投稿がヒットしました。しかも偏りなく、Slack 導入当時から、いろんなメンバーが「〇〇さんのハックがすごい」とか「これはハックしがいがある」とか投稿していました。

外側から叫んでシステムが変わることなんてない

何か悪性のものを孕んだシステムに対して外側から叫び続けても、それが根本的に変わることはほとんどない、という考えが自分の中にあります。効果がないとは思いません。同志は集まり、強制力を以て変更させることができるでしょう。

ただ、人類の歴史上、外からの叫びや過激化した集団による外圧が世界を真に変えたケースは実は少ないんじゃないかというイデオロギーを感じており、変えられたとしても幸せと同じ以上の不幸も発生しているように見えます。

武勇伝や偉人伝、もしくは自分が観測してきた世界で本当にシステムを変えてきた人はいつも、仕組みの内側にスルスルっと入り込んだ後に、したたか且つ着実に影響力を高め、自らの手でシステムを変更するような人たちでした。

凝り固まったシステムをクラッキングような手段で外側からぶっ壊すことは難しく、システムを乗っ取った上で変えていくようなマインドセットや言動が求められると思いますし、それこそがハッキングだと思います。

How to Hack the World?

結局、世界を変えるには色々なものをハックするしかないと思っています。

SNS で世論に反対しても世の中が変わるわけではないし、ましてや誰かが変えてくれるわけでもないと考えると、自分の手で変えていくしかないんですが、「変え方」、もっというとハックの仕方は一つだけではありません。

アトラエに集まったメンバーは皆、アツい気持ちを持っています。その想いは十人十色ですが、多くのメンバーに「世の中をもっと良くしたい」「こういう世界を実現したい」という意思があります。

弊社オフィスの壁にはみんなの想いや意志が刻まれています

自分やアトラエのメンバーは政治家や起業家になる選択肢もあったはずですが(選択すればそれらになれたという意図ではありません)、株式会社という仕組みや提供する事業を通して世の中をハックすることを目指しています。

GreenWevoxYenta という事業を通して、ポジティブに働く人で溢れるような世の中を作りたいと考えています。少子高齢化に向かっている日本の中で、労働力の最適化や生産性の向上を目指したいとも考えています。そのためにそれらのサービスを創ることで世界をハックしようと企んでいます。

もっというとアトラエという会社も世の中をハックするための場所であり、存在し続けることが目的でもあるとも考えています。

社外の方からは「従業員の働きがいを保てるのは100人まで」とアドバイス頂くことがあります。「海外に進出したら一気に難しくなる」とも言って頂けます。

「100人の壁」や「凝集性の限界」と表現している書籍もあります。なんとなく仕方ないものとして捉えて受け入れるような態度も世間には見受けられます。

でもそんなことは絶対ないはずです。難易度が高いがゆえにハックする方法が見つかりにくいケースが殆どです。

だからこそアトラエという会社を通して、トレードオフだと当たり前に思われていることを両取りするため、ハックを続けたいと考えています。いい遅れましたが、それを実現するのが自分の夢です。

並の試行では無理、だからこそ遊び続ける"砂場"が必要

ただしそんなハッキングが得意なアトラエメンバーや好きなメンバーも、一発で素晴らしいハックを思いつくわけではありません。

再び情報セキュリティの用語となりますが、「サンドボックス(Sandbox)」という単語があります。直訳すると「砂場」です。

本番環境に悪い影響を与えるかもしれないプログラムの挙動を確かめたい時に採用する、隔離された環境のことです。砂場というチャーミングな表現の通り、まるで小さい子供が暴れても汚しても問題ないような環境です。

ハックは遊び心やずる賢さの象徴です。無理だと思われている固定観念を解きほぐすことを目指すのであれば、仲間と遊び心を持って試さないととてもじゃないけど無理です。

心理的安全性という言葉が市民権を得てきた通り、挑戦することが称賛され、適切なフィードバックが行われるような環境であるべきですが、ハックがハックとして認識されるかどうかも重要なポイントかなーと思います。

「自分は IT 技術に疎いから…」ということを仰る方がいらっしゃいます。ハックは IT 技術の技巧を指すわけではありません。IT を活用できると幅は広がりますが、もっと大切なことは目的をぶらさない意思と遊び心です。

弊社では長い間複数のサービスを提供し、それらのサービスを通した価値提供に尽力しておりますが、「世界中の人々を魅了する会社を創る」というビジョンにはまだまだ遠いところにいます。これは謙遜とかではなく本当に痛感していることです。

ここまで読んでくれた上で、アトラエに興味を持って下さった方は是非ともエントリーを検討してほしいです。ハックする余地もありますし、ハックが歓迎される環境だと胸を張って言えます。世の中をより良くするために、アトラエという砂場で一緒に暴れましょう。

もちろん、エントリーだけではなく気軽にバーにも遊びに来てください!いろんな方のハックを聞きたいです。世界を変える方法は一つではない!


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