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【水島予言#06】1984年のオールスターと、1981年『あぶさん』世界のオールスターゲーム

 プロ野球80余年の歴史のなかでも史上唯一の偉業といえば? 多くの人が1971年のオールスターゲームで、阪神のエース・江夏豊が成し遂げた「9者連続奪三振」を思い浮かべるのではないだろうか。
 この大偉業にもっとも肉薄したのが、巨人のエース・江川卓がマウンドにあがった1984年にオールスターだ。世界の盗塁王・福本豊(阪急)、この年、三冠王を達成するブーマー(阪急)、そしてミスター三冠王・落合博満(ロッテ)ら錚々たる顔ぶれから次々に三振を奪い、8者連続三振を記録。しかし、9人目のバッター、大石大二郎(近鉄)を2ストライクまで追い込みながら、決め球として投じたカーブを当てられセカンドゴロに。一説には、カーブで振り逃げ三振を奪い、「10者連続」を狙っていた……ともいわれているが、いずれにせよ、史上2度目の9者連続奪三振とはならなかった。

 球史でも一度あるかないかのこんな場面を、水島新司は見事に予言してみせたから恐れ入る。1981年に描かれた『あぶさん』の「刺客」だ(コミックス23巻に収録)。

 オールスター第3戦のマウンドには全セの江川卓。「江夏以来の快記録成るか」というト書きとともにピンチヒッターを告げられた景浦安武は、アウトコース低め150キロのストレートを泳ぎながら強振。打球はスタンドへ吸い込まれ、江川の9連続三振を砕いたのだ。
 なお、この年のオールスターで景浦は3試合連続代打本塁打、というパフォーマンスで、3試合ともにMVPを獲得する大偉業を達成。その3本目が江川から打った本塁打だった。

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80年代のプロ野球と高校野球で起きた出来事を、水島野球マンガは事前にどう予言していたのか? 有料設定にしていますが無料で読めるものも多いで…

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