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32.0021 すべてを許せる時が来る

私が一人で子供を育てるにあたって、固く決めていた約束事がある。
いくつかあるが、一番大切で、絶対に守ろうと思っていたことは、、

    娘の父親の悪口を言わないこと。

ある時 私は自分の人生にミッションを掲げた。
 それは 「娘を社会で働く人間として育て上げること」

そこに気づいた時、娘にとって大切な父親の悪口を言ったり、人生うまくいかないのは彼のせいだなどと言うことは許されない、と自分に言い聞かせた。
もちろん、私も人間なので、この21年一度も言わなかったといったらウソになる。でも、娘の前では一度も言ったことはない、本当に。
これには、やはり私のお父さんの影響が大きかった。
どんなに大変な状況の時も、自分が辛い時も、決して人のことを悪く言ったり、人のせいにしなかったお父さん。
その姿を最後まで見ていた私は、
「自分が悪口言われるほうが、いい!! 自分は言わない。お父さんのように」と心に決めていた。

 ひとりで育て始めた頃は、子育てに精一杯で、別れてしまった相方のことを思い出す余裕は正直なかった。
 ずーっと、がむしゃらにミッションに向けて走り続けてきた。

 ようやく自分の足もとを見よっかな、と思えたのがここ2,3年。
 娘が東京の大学に合格して、家から出るという頃だった。

娘には、それまで一度も彼女の父親の話をしたことがなかった。娘も聞いてこなかった。私が傷つくのではないかと思いやってくれていたのだ。

東京へ行く準備をしている時、どんな内容だったか具体的に覚えていないが、「あなたの父親は素敵な人だったんだよ。」という感じの話をした。 確かにそうだった。今まで、彼ほどの頭脳明晰な男性に出会ったことがなかったと思う。
彼と最後に会った時、彼が置いていった本がある。
司馬遼太郎の『関ケ原』だ。分厚くって、私は読んでいない。
ずーっと、本棚にたてかけてあった。
別に娘に渡そうと思っていたわけではない。ただそこにあっただけ。
でも、娘に父親の話をして「この『関ケ原』はあなたのパパが置いていった本だよ。あなたと同じでとても歴史好きな人だったから」と言ったら、娘は、「この本を東京へもっていく」と言った。
 娘が、心優しく、思いやりをもつ子に育ってくれたこと、そして覚えのない父の面影を本に重ねてくれたのかな、と思ったら、
私が決めた約束事は、少しは役に立ったかな、とうれしくなった。

私と彼とは一生を添い遂げる縁はなかった。
でも、娘にとってはたった一人の父親。
そして、縁は続かなかったとしても、
私が一度は全力で愛し 大好きだった人なのだ。有り難いことに子供まで授かり、思ってもいなかった「母親になる」というステージをくれた人。
今は、一ミリのごまかしもなく、彼に心から「ありがとう」といえる。

ようやく、彼との間に起きた全ての事に、あれでよかったんだ、と思えるようになった。 それを「許す」という言葉で表すと上から目線かもしれないけれど、今は、そう言いたい。
 時が解決してくれる。
 そして全てを許せる時がくる。 

■■今回もお読みいただき、ありがとうございます。
  全くの個人記録ではありますが、私の経験談のいくつかが
  お読みいただくどなたかの経験とも重なるかと思います。
 『どんなことがあっても大丈夫。自分で選んだ道の結果だから必ず何とかなる!』とようやく思えるようになりました。
 どこかにいる、こんな私と共鳴してくださっているシングルマザーのあなたを、私は応援しています!!

▶私はこのnoteを、シングルマザーの人たちに少しでも共感を持ってもらったり、私の経験を読むことで「よーし、明日からもがんばろう!」と、明るく未来を語れる自分になってもらえたら・・・との願いを込めて書いています。

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