谷底から神様へ

なんとか。
なんとか、生きてきました。

たったひとつの、約束を頼りにして。


なんとか。なんとか。


荒れ狂う病の嵐に、何度も何度も打ちのめされそうになりながら。
目の前に立ち塞がる逆境に、何度も何度も打ち砕かれそうになりながら。


それでも。それでも。

たったひとつの、約束を頼りにして。

大丈夫。大丈夫。
そんなことは起きないよ。
心配しなくても、大丈夫。大丈夫。と。

何度も、何度も、自分に言い聞かせて。

しかし。

その綱は、いとも容易く引きちぎられていました。

私の人生ごと、引き裂かれました。

深い渓谷に渡された一本のロープ。そんな存在が。
容易く。

あっけないものです。
納得も理解もできないけれど、ただただその愚かな行為に呆れることしかできず、私は自分の心に微かに揺らめいていた蝋燭の火が
ふわっと消えていくような感覚でした。

あれは、命の。
尊厳の。
灯火だったのでしょう。



私の人生の行先は、そうやって決まりました。




『その日にあった、少しでも幸せなことを書いて、積み上げていこう』としていた日記帳は、わずか1週間で幕を閉じてしまいました。

『治療のため、病気が治るまで飲まない』
『お酒解禁の日は、これまで支えてくれたサポーターの2人と乾杯して飲むんだ』
そう決めていたお酒も、ヤケクソになって1人で飲んでしまいました。
アルコールに合わせていっそのことODしようかとも思ったけれど、100%確実には死ねないかもしれないという思いで、結局、通常通りの量だけ飲んで寝ました。


症状には波があって、2ヶ月ほど深い不調でした。
年末は、特に酷かった。
投稿した記事も、消したものが1本あります。

でも最近は、少しずつ調子が、ほんの少しだけだけど、上向いていました。
メンタルヘルスの本を、読書はできないから Audibleで聴いたりして、少しずつ、自分自身を取り戻せそうな感覚があったのです。
だから日記を買って、毎日の小さな幸せを数えて、積み重ねて、日々を過ごしていこうと。そんなふうに、確かに、思えていたのです。


でも、あっけなく。
笑えるほど、あっけなく。

希望は、吹き消されていきました。
谷底から遠い空を見上げ、自分という存在の小ささに、笑いながら、涙が出ます。



今はただ、最後に向かって、準備をするだけです。


ただ、最後に向けて。


ゴールが見えた途端、心に抱いた思いがあります。

「私の人生で、やり残したことはなんだろうか?」


1週間前に書き殴ったメモは

『これまでずっと、よくがんばったね。
 もう苦しまなくてもいいよ。
 最後にやりたいことを思いっきり、やったらいい。
 私は、あなたの味方。世界で一番の。
 苦しかったことも、つらかったことも、全部知ってる。
 だから大丈夫!!
 もう自由だよ。好きにしていいよ。』

と自分自身に語りかけるように始まって、こんなことが書いてあります。


犬が飼える家に引っ越したかったね。
海が近いと最高だったけど、もうそんな時間はないかなー。
残念。

料理も、ちゃんとできるようになりたかった。
いろんな種類をつくるやつ。
もう頭がパーのままだから、
ごめん、これも無理だね。

バッティングセンターに行く。
これはできそう。

桑田さんのライブ、行きたかった。
サザンの新曲って、どんなんだったんだろうな。
つらい時、たくさんたすけてもらって、うれしかった。

後輩たちの役に立てないかな。
ムダかな。意味ないかな。

キャンプしたい。寒いかな。春は遠いな。





死にたくはない。
でも、死にたい。

死んでやりたい。
死んでやる。
もうどうでもいい。
死ぬしかない。


でも、もしかしたら。



もう少しだけ、生きている理由はあるんじゃないか。

そんな揺らぎの中で、私は今日も、息をしています。


どうせ死ぬなら、受けた傷を、消えない爪痕に変えて。
孤独な私が、夢を追いかけて生きた証を、少しでも残して。


いつか、どこかで苦しむ誰かの。
支えや、助けに、なれるように。

自分自身の誇りと、尊厳を、せめて世界の中でただ一人、私だけは守ってやって。

やり残したと、思えることは、やって。


胸に残る祭りのあと。

最後の花火は、どう花開くでしょうか。


もう少しだけ、やりたいように、やってみることは、神様も許してくれたら嬉しいです。

「noteで稼ぎたい!」そんな想いで書き綴っているのでは決して無いのですが…。 なんせ無収入の現実です。。。 もしお気持ち・お心添えを頂けることがあるのなら、めっちゃ嬉しいです! 治療に向けての日々のため、大切に使わせて頂きます。