著作権法改正案の閣議決定を受けて

 著作権保護の強化を目的に、違法・犯罪となるダウンロードの対象を拡大することなどを含む著作権法の改正案が閣議決定されました。漫画村の騒動が注目された一昨年から足掛け3年のすったもんだの末の改正案です。

 今回の議論を通じて浮き彫りとなったのは、そもそも今回の改正内容以前に、現行の著作権法があまりにも広い範囲で著作物の利用行為を違法・犯罪にしていることの弊害だったように思います。漫画村のような深刻な問題に直面をして海賊対策を強化したくても、副作用があちこちに広がってしまうため、かえって実効性のある対策を打ち出しにくくなってしまっているのです。

 今回、その長年の弊害を改善するための第一歩として、いわゆる「写り込み」や、学術研究目的利用の場合の、例外規定を設けることについての議論が進むことになりました。これは、今回のダウンロードの話に留まらない、著作権全般についての規制緩和策です。

 この2点に留まらず、現行の著作権法の行き過ぎた規制をもう一度見直すことこそが、著作権を守るためにも実は必要とされているのではないでしょうか。

・文化庁
「侵害コンテンツのダウンロード違法化に関するQ&A(基本的な考え方)」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r02_hokaisei/

・文部科学省
改正案の条文・概要等
https://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/mext_00001.html

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