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noteをやめようと思います。

【2021年1月追記】
↓下記に移転しました。今後はこちらでよろしくお願いします。

https://ogatama.theletter.jp

【10月27日18時追記】
回答者の幡野さんや編集部、糸井重里さんが謝罪、幡野さんと質問者とのその後のやり取りが掲載された記事が出ました。(謝罪や対応を評価するような立場ではありませんが)ホッとしました。良かったと思います。※やめる、ということでいったん全ての記事の公開をやめて下書きに戻そうかと思ったのですが、有料記事は下書きに戻すことができないみたいで、200近くある記事をバックアップとってから削除ということになりそうなのでちょっと時間がかかりそうです【追記終わり】

 炎上したCakesの人生相談、私は有料部分まで全部読んだのですが、ひどかった……。有料部分では一転して優しいこと書いているというオチじゃないとさすがにどうにもならんのではこれは……と思う無料部分の内容でしたが、有料部分は輪をかけてひどかったですね。どうなんよ、ほんとどうなん……。

 回答者を擁護するツイートに、「幡野さんはDVをウソだなんて決めつけてないのに……」みたいなのがあったんだけど、いやいやいや。有料部分でも「あなたのウソは相手を陥れるものだからちょっと悪質だとおもうよ」「あなたがウソをついているってことははっきりわかるの」「あなたの場合はウソの比率が多いので」と、何度も何度も執拗に決めつけてたですよ。

 回答者の回答が杉田水脈議員「女性はいくらでもウソをつく」発言を彷彿とさせてしまう内容なんだけど、擁護する人も杉田擁護と似たような擁護の仕方するんだなと思いました。※杉田議員擁護の人たちは本人がブログで発言を認めた現在でも「切り取りだ」「杉田さんはそんなこと言ってない」と擁護してます。

 もちろん、回答者もどうかと思うけど、これをこのまま通しちゃった編集部もどうなのかと思う。杉田水脈議員の暴言とそれに対する抗議のこと、チラッとでも頭に浮かばなかったのかな? あのニュースを見てれば、この回答をそのまま載せることにどんなリスクがあるのかはわかると思うのですが。

 もしあのニュースに関心がなかったとしても、ツイッターでもすでに散々指摘されているとおり回答者は比喩表現を取り上げて「大袈裟」と言っていたり、明らかな誤読もある。そういうところについて読者からツッコミが入らないように調整するのが編集部の仕事なのではないのか。

 回答者が質問をウソだと判断した根拠は、下記の3つ。

(1)「叩き起こされて」「引きずっていかれた」→大袈裟に言ってない? 本当なら逮捕案件でしょ。だからウソ。
(2)「転職してからの数年間、毎日深夜3時までの残業休みもなく」→大袈裟に言ってない? そんな生活まず不可能。だからウソ。
(3)「あなたの話はどこまで真実でどこまでウソなのか、どれくらい大袈裟にいってるのか、ぼくにはわからないの。細かいことはわからないけど、でもあなたが大袈裟に言ってることだけははっきりわかるの。あなたは怒るかもしれないけど、あなたがウソをついているってことだけはわかるの」(原文ママ)。僕にはわからないけどわかる。だからウソ。


 (1)はまず日本語表現だし、もし実際に起こっていても私は変だと思わない。DVって民事不介入と言われ放置された時代が長くて、なかなか今でも逮捕難しいですよ。そんなことがあったら逮捕されてるんですけど〜が通るなら、DV殺人、ストーカー殺人、虐待死はゼロだな。

(2)が一番、編集部がなぜ掲載前に指摘しなかったのか謎。この部分、質問者は「(夫は)転職してからの数年間、毎日深夜3時までの残業休みもなく、それも家族のために一生懸命働いてくれていると思っていたのが、毎日のように遊びに出かけていたことが分かり、一気に気持ちが冷めてしまいました」と書いてるので、そのような働き方をしていたのは夫のウソだったことを質問者自身が明かしている。それなのに、「深夜3時まで残業を毎日続ける」のなんてウソでしょ、はいあなたの話ウソって、完全に誤読ですよね。

 何より質問者に謝罪しなければならないのは、この部分の、回答者の明らかな誤読・ミスをそのまま載っけたことではないのかと私は思いました。回答者、編集部の謝罪文では完全スルーされてますよね。なぜですか?

(3)もちょっとひどすぎる。もしも女が言ったら感情的、根拠レス、お気持ち、精神論、スピリチュアル、まーんと認定されるような発言が、男が女を叩くためなら許されるのか。

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 ↑こういうこと言ってる人いるけど、どっちがお気持ちだよ、どっちが読解力の低さか、ふざけんなよって感じですね。根拠レスのお気持ち認定は良くないですよ。でも、こういうお気持ち認定がまかり通ってきたのは知ってる(後述)。

 燃えている理由の一つは、説得力のなさなのでは。人生相談てある程度その人のキャラ、バックボーンによって発言内容が許されるものだけれども、回答者があまりにも説得力のない文章を書いてきたら、それは指摘して軌道修正するのが編集部の役目ではないかと思うのですが。

 あとこの件に限らず以前から思うのは、いじめ・体罰・虐待・DV・アルコールや薬物依存・性犯罪や性暴力あたりの問題に関して、専門家じゃない人の語る感情論をありがたく掲載したり、放送に乗っけたりするのはもうそろそろやめないか、メディアの皆さん、ということ。

 いじめや薬物依存は一昔前よりだいぶマシになったけれど(被害当事者や当事者遺族の草の根による運動により)、体罰なんていまだに、「殴らないと子どもはわからないこともある」とか言ってる人いてウワァってなる。虐待事件で加害親の「しつけだと思っていた」って発言が繰り返し報道されても、体罰が子どもの脳を傷つけるって専門家が指摘してもなお、この風潮なんなんと思う。

 数年前の壇蜜による人生相談の回答覚えていますか。壇蜜は、男子生徒からのセクハラに悩む女子中学生に対してこう答えた。パンツ見せてと言われたら「その手をギュッと握り『好きな人にしか見せないし触らせないの』とかすかに微笑んでみては」「勇気を出して、大人の勝負に出てみましょう」などと言えばいいと。朝日新聞で(朝日新聞もどうかと思いますが、その後、朝日は自己検証っぽい記事を掲載した)。

 「セクハラ」じゃなくて「いじめ」であれば、被害者側が手管を講じて対策を取れば良いっていうのが周回遅れの指摘であることが理解できたのかもしれないが、「性」が絡むと朝日でもバグる。

 Cakes人生相談の回答者も壇蜜もキャラでごまかしているけれど、言ってることは杉田水脈的な保守的な二次加害です。

 人生相談でストレートな回答をしても面白くないから、独自の視点を出さなきゃ……と考える回答者の思考はわかる(朝日はその後、そういう言い訳をしている)。しかし、そう考えた末に出てくるものが典型的な二次加害になるところが、ジャパンの平均的人権意識の低さを象徴している。

 教育や性についてって、誰でも経験してきたことであるがゆえに、専門家ではない人が一言言いやすいテーマなのだと思う。でも、専門的知見とコメンテーターの感情論が同等に置かれたり、あるいは後者の方が持てはやされるのは。みんなビジネススピリチュアルの教祖とかインフルエンサーがやってる課金オンラインサロンとかは批判するじゃないですか。コメンテーターや人生相談の精神論って、主張が根拠レスであっても発言者のキャラで押し切る点で一部のスピリチュアルやオンラインサロンと同根では? ほぼ日ほっこり仕様で隠蔽できる時代じゃなくなってきてるんじゃないですか?

 ここからが本題です。私は現在主に、性暴力に関して取材を行っているライターで、被害者支援の活動などを間近で見ています。数十年にわたって被害者支援を続けてきた人の言葉を聞き取ろうと努めています。

 1995年の阪神淡路大震災のとき、被災地や避難所で発生した性暴力について、被害当事者からの訴えを受けて問題を明らかにしようとした女性たちがいました。けれどもその後、性犯罪の認知件数が増えていないことなどを根拠に、このような女性たちの訴えがデマだったと「検証」する記事が出て、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞。

 被害当事者を支援してきた女性たちはこれに大変なショックを受けて、その後「10年間沈黙した」と語ってます。

 被災地で本当に性暴力があったことがNHKで報道されたのは、震災から25年後の今年です。つまり、被災地での性暴力はデマだと報じた報道がデマだった。

【性暴力を考えるvol.58】見過ごされてきた災害時の性被害 

 1990年の時点で、アメリカの報告書「1989年の災害後の女性への暴力影響調査」の中では、レイプは顔見知りからの被害が多いが災害時は行きずりの被害が3倍に増えることや、夫・交際相手からの暴力(DV)による保護命令の申請が50%も増えたことが報告されていたのだそう。なぜこの知見が、震災大国である日本で活かされなかったのか。

 阪神淡路大震災で「デマ」だと言われた教訓を生かして、支援者たちは2011年の東日本大震災の際に、現地に入って性暴力のより詳しい実態調査をしようと試みた。けれども、それは容易ではなかったそうです。理由は、避難所を運営・管理、仕切っているのがほとんど男性で、彼らが「性暴力なんて、ない!」「我々は性暴力なんて、せん!」と主張したから。

 詳しく知りたい方は、↓下記動画の1:03:00あたりからの正井禮子さん(ウィメンズねっとこうべ)のお話を聞いてみてください。※ちなみに冒頭の中絶に関する塚原久美さんのお話もすごいですよ。緊急避妊薬の薬局販売について産婦人科医会の男性たちが懸念を示しているなうの現状の照らし合わせて見ると興味深い。

 性暴力が可視化されない原因は被害当事者が声を上げられないから、だから被害当事者は声をあげてください!って言われるけれど、上げられた声を存分に踏み潰してきた過去がある。

 もちろん、阪神淡路大震災のケースだけじゃない。

 1990年代前半、ヨーロッパに卒業旅行に出かけた大学生たちが、現地の男からレイプ被害に遭った。これが報じられたときに日本のメディアがやったことは、猛烈な被害者バッシングでした。被害者たちは海外で浮かれきっていた尻軽だと報道され、被害に遭った女性たちが在籍している大学名・学科名を晒したメディアがあり、さらにはその大学の学長が、女性たちを非難するコメントすら出した。被害に遭った女性たちが帰国した際、空港で報道陣に「チャオ!」と言って笑顔を振りまいた…というデマを書いた媒体すらあった。2000年代に入ってからこの件は多少検証されてますが、当時のこういった報道を、メディア関係者は反省・謝罪しているのでしょうか。

 1999年の横山ノックによる選挙活動に協力した大学生への強制わいせつ事件。文化人たちは被害者の女性のことを、こぞって「胡散臭い」「選挙妨害」と批判した。その後、横山ノックは刑事事件でも起訴され犯行を認めたけれど、当時女性をバッシングしたメディアは反省・謝罪していますか?

 2000年代前半、自身が「痴漢」の濡れ衣を着せられたと訴えて、「痴漢冤罪被害者ネットワーク」を立ち上げた男性がいた。この男性・長崎満はその後の2003年、地下鉄で女性のスカート内を盗撮したとして取り押さえられたとき、その場で自身の携帯電話を破壊したと報道されてます。

 ハニトラ、痴漢冤罪、でっち上げがたくさんある〜みたいなことは人口に膾炙しているが(痴漢冤罪が増加してるなどのデータなんてないのに)、上記みたいな女性が不当に疑われバッシングされてきた歴史って、どのぐらいの人が記憶していますか? 踏み潰されてきたのは女性の訴えではないですか? 虚偽申告の濡れ衣を着せられた女性が幾人もいたことが「痴漢冤罪」ほどは語り継がれていないのはなぜですか?

 性暴力被害の取材をしていると、二次被害が珍しくないことがわかります。2020年3月、実父からの性虐待を訴えたものの一審で無罪判決となり絶望した女性が高裁で逆転有罪判決を勝ち取った。彼女は高裁の判決時に、「『本当にこんなことがあるの?』と信じてくれる人は少なかった」とコメントを出しています。

 彼女の場合、支援者からも二次被害を受けたそうで、2020年3月の時点でもトラウマ治療、カウンセリングに挑めていないことを代理人弁護士が明かしていました。

 性暴力でもDVでも、被害当事者は二次被害に遭います。警察・検察からも裁判所からも、弁護士からも、さらに支援者やカウンセラーからさえも、二次被害に遭うことがあるのが、現在の日本の状況です。

 そういうこと知らないで、よく「まぁ警察官も弁護士も裁判官もみんなすぐにあなたのことを見抜くとおもうけど」とか言えたな。それ普通に権威主義じゃないですか。

 以下、弁護士による根拠なき嘘松認定、バッシングの様子。これを見れば、被害当事者は慎重に相談先を選ばなくてはいけない状況であることは明らかかと思います。※すみません、この部分に「モトケソ」っていうアカウントのツイートスクショも入れてましたが、これは弁護士「モトケン」に似せた別アカウントでした。申し訳ありません。

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「それはないですね」の言い切り、その自信、すごくないですか。お気持ちじゃなくてなんなのだろう。私の信頼している弁護士の皆さんは、こういうイキりかたしない。

 そして私も情弱だったなと反省するのが、もう1年以上前に、下記の指摘が挙がってたことです。

「表現の不自由展・その後」を批判したいらしい深津貴之氏と田中雄二氏は、従軍慰安婦問題において朝日捏造論者らしい

 深津さんはピースオブケイク(現・note株式会社)のCXO。ピースオブケイクはCakes、noteの運営元。

 杉田水脈の根っこであり支持される理由は慰安婦否定論者であることですが、なんかつながっちゃったな。

 CakesのコンテンツでDV虚偽認定があったのは、起こるべくして起こった事態なんじゃないかと。

 この期に及んでnoteを利用していた私も私なので、今後はnoteで有料記事書くのやめて(ピースオブケイクに手数料入るので)、どっか他に移行していこうと思います。記事のトップに貼るイラストを提供してくださっていたイラストレーターさんには感謝しかないです。特に私はmiho さん(m_oonote)のイラストが大好きでした。ありがとうございました。

 まさかこのnoteが消されることはないと信じています⭐️
 表現・言論の自由万歳⭐️

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