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SalesforceがTableauを買収の流れに乗って直近のBIトレンドを考えてみる

ども。Hakaliの小川です。

データの人ということで本件の解説記事のご要望をいただきました。正直そんなに分かってなかったりしますが笑、知りうることを雑に書いてみます。誰か間違ってたら指摘等よろしくおなしゃす。

そもそもBIツールって何?

一応基本的なところをサクッと。BIとは「Business Intelligence」の略で、IBMの研究所の人が最初に言い出したらしいのですが、簡単に言うと、意思決定支援のためのシステムということになります。まぁ詳しくはwikiをみてくだされ。

特に昨今では「事業運営に関するデータを可視化してくれるツール」というのが最もわかりやすい説明になるんじゃないかと思います。めちゃくちゃ広義にいうと、エクセルでグラフ表示するのもBIツールではないけどBI的なものになりますね。

巷ではデジタルトランスフォーメーション(DX)が全盛で大手企業もこぞってデジタル化を進めています。結果的にデータは膨大に増えてきていて、データを「石油」と例える人もいます。でも生のデータはそのままでは事業価値になりにくい、言ってみれば「原油」みたいなものですよね。適切に加工して、人にとって意味のあるものに変換する必要があるわけです。で、「BIツール」はその変換を手伝ってくれるものになるということです。

というわけで、データの量が増えれば増えるほど、BIツールも価値が増えていくのです

余談ですが、巷で言われる「AI」は、意思決定そのものを人工知能がする世界観で、もっというと「何についての意思決定をするか」が明確に決まっている必要があるのに対して、「BI」の領域はこの曖昧な社会(ビジネス)の中でどこに向かうべきかを(人が)決めるためのシステムという点で異なると(僕は勝手に)思っています。

Tableauと他のBIツールの違い

Tableau Japanは2013年くらいに設立されてます。当時僕はビズリーチ社に入社したてで、毎週経営レポートを週次でエクセルでえっちらおっちら作ってたのですが、そんな折にTableauを知って結構な衝撃でした。マジかと。

今では当たり前すぎて笑えますが、当時はベンチャーでTableau導入している事例も少なかったからわざわざ動画とって事例にしてもらったりしておりいい思い出でした。

もちろん他にも昔からBIツール自体はあったのですが、Tableauが他のBIと圧倒的に違ったのは、他のBIツールは結構大掛かりなものが多く、導入しようにもイニシャルで数百万〜数千万の世界でして、あくまでも経営者が意を決して導入するようなものでした。入社したてのいちデータサイエンティストにそんな決済権などあるわけもありません。それが、Tableauだとイニシャル24万程度(昔は。今は10万くらいですかね)で導入できるということが革命的だったと思います。

まぁ今時はredashやmetabaseといった無料BI系も充実してきており、おそらくweb系ベンチャーはこの辺を柔軟に使っていることと思います。(いま界隈ではmetabaseが熱そうな雰囲気を感じます)

今回の買収について、その前にあったこと。

界隈の方はご存知だと思いますが、このニュースの手前で、googleがBIベンチャーのLookerを買収しています。26億ドルで。

Lookerは「エンジニア寄りのBI」と言われていたりするみたいですが、最近界隈でもよく耳にしていましたし、Tableau超えるのはここだみたいな話もちょくちょく聞いてました(まぁターゲットがちょっと違いそうですが)

ニュースを読む限り、amazonやmicrosoftにクラウド領域で水を空けられているgoogleがlookerを買収して巻き返しを図る、的な文脈で書かれています。

lookerとTableauという、強いBI勢が、GoogleとSalesforceという、大きなプラットフォーマーにほぼ同じタイミングで買われているのはどういうことを意味するのでしょうね。

やはりデータ量が増えるにつれて、そこから意味を読み取るためのツールとしてのBIがどんどん価値を増しているということなんじゃないかと思います。データは原油、BIは石油精製ツール。今日はこれだけ覚えて帰っていただければ幸いです。

これからのTableau

この方のtwitterにtableau CEOのアダム・セリプスキーのメールがありました。ブランドはこのままに、ということっぽいですね。

おそらくSalesforceのレポート機能にTableauのテクノロジーが組み込まれるということになるのでしょう。計算式のとことかどういう感じになるんやろかとか思ったりするものの、少なからずSalesforceのレポートが今よりもっと見やすくなるということで、人類にとってHappyなんじゃないかと思います。

Tableauブランドがこのままなので現状の勢力図は大きくは変わらないでしょう。lookerはgoogleの中に組み込まれたのでだいぶ住み分けが明確になったような気がします。

BIツールの今後

イスラエル発の第三世代BIことScicenceが直近日本上陸していたりします。先日日本のオフィスにご訪問させていただきましたが、ETLとデータマートいらずという世界観はかなり新しいなと思いますし、レスポンスめちゃくちゃ早いです(いわゆる「ビッグ」データを持つとこじゃないと価値発揮しなさそうですが)。

また、今後は「バーティカルBI」が進んでいくだろなと感じています。結局はどういう切り口でデータを見るか、というのが大事なわけですが、業界に特化することで見るべき指標を先に決めることができるわけです。

先日お話お伺いしたEBILABさんのTouchPoint BIは、飲食店にとって必要な「来客」予測と「出る商品」の予測がプリセットでできてしまっていて月々2万円程度という、データサイエンティストいらずの感動の世界観でした。これ絶対に市場を席巻するでしょうよ、ええ。

まぁでもこれらもTableauとは住み分けられる(バッティングしない)と思います。データサイズそれほど大きくない、アドホックな分析領域はTableauが引き続き強いと思います。Tableauはデータの整形もTableau Prepという兄弟サービスを(Tableau購入していれば無料で)展開しており、あくまでもユーザーはデータサイエンティストなんだと思います。

と考えると、データサイエンティストがデータ分析するためのツールと、ビジネスサイドの皆々様が使うためのバーティカルBIと、もっと大規模な、データエンジニアが扱う第3世代BIと、みたいな形でBI領域はユーザーに応じて細分化していくんじゃないかなーと思っています。正直Tableauですらデータのテーブル構造を扱うトレーニングをしていないビジネスサイドの人にとっては手に余るものだったりしますしね。

というわけで、BIツール側から本件眺めてみました。DXに伴いデータ量はますます増えるばかりで、それを意味あるものにするためにもBIの領域はますます進化していくことと思われます。

株式会社Hakaliも「データを事業価値に変換する」ことを掲げてやっておりますが、この領域はほんとに熱いですね、ああ面白いなぁ。

というわけでそれではまた。

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