乗用車のディーゼルエンジン車について

 ディーゼルエンジンの乗用車に乗る機会があり、仕事柄商用車のディーゼル車には乗ることはあったのですが、初めて乗用車のディーゼル車に乗って色々感動したことがありましたので、その感想です。
ディーゼル車というとトラックやバスが代表的です。イメージはガラガラ音と振動が大きくTHE・トラックといった音が特徴です。ゆっくり・ゆったり動く大きな乗り物のエンジンといったイメージを持っていました。しかし、乗用車のディーゼルは全く別モノでした。
まず、ガラガラ音と振動がほとんどしません。ほとんど、なので全くしないわけでは無いのですが、トラックやバスに比べると非常に静かでした。このディーゼルエンジン特有のガラガラ音はディーゼルエンジンの仕組み上、ガソリンエンジンとは異なる燃焼方法であるが故に必ず発生してしまうものですが、技術の進歩によりこんなにも抑えられるものなのか、と驚きました。エンジン自体の音もそうですが、エンジンルームから車内への遮音技術向上も寄与しているのではと感じました。よほどディーゼルとガソリンのエンジンの違いを理解している人でない限り、違いが分からないのではないかと思います。
続いて走行性能。ディーゼル車はNoxやPM2.5等の排気ガスに含まれる有害物質の削減観点から、商用車・乗用車問わずほぼ全エンジンが過給機(=ターボ)付きになっています。このターボの効果も相まってか、出だしから非常に力があり、上り坂でもガソリン車ならキックダウンして上るような場面でも、キックダウン無しで上っていける力強さがありました。過給機が効き始めるまでは少しタイムラグがありますが、それを差し引いても同排気量のガソリンエンジンより確実に力強く感じます。もともと、ディーゼルエンジンは高回転まで回せるような仕組みではないので、レッドゾーンはガソリンエンジンに比べて概ね1500~2000rpm低いのですが、その分有効回転数の全域で力が湧き出るようなイメージです。これは運転していて、追い越しや少し速度を上げたいとき等にアクセルを深く踏み込む必要がなくなるのでストレスは減りますし、危機回避の観点からもメリットは大きいなと感じました。さらに、個人差はあるでしょうが運転していて楽しいと感じます。
そして一番魅力的だと感じたことは、やはり燃料代です。ディーゼルですので勿論燃料は経由になりますが、レギュラーガソリンと比較して1リットルあたり約20円程度安いです。更に、燃費も同排気量のガソリンエンジンと比較して3~5km/ℓ程度良いので、お財布にやさしいです。
そんな良い面ばかりが見えた一方、ディーゼル車のデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
・エンジン音や振動が大きい
いくら技術の進歩によって静かになったとは言え、やはりディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べてエンジン音や振動が大きめですので、静粛性を求める人には不向きです。
・寒冷地では軽油が凍結する可能性がある
軽油は、ガソリンに比べて凍結しやすいため、寒冷地での使用には注意が必要です。
・環境性能が課題である
どんなに最新のディーゼルでも、ガソリン車に比べて窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などの排出量が多いという課題があります。そのため、近年では、ディーゼル車の排出ガス対策が強化されています。
・煤が溜まりやすい
ディーゼル車はエンジン内に煤が溜まりやすいといった特徴があります。それはディーゼルエンジンの燃焼方式に起因しています。ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンとは異なり、圧縮によって空気を高温高圧状態にして、そこに燃料を噴射して燃焼させる方式です。この燃焼方式では、燃料の一部が燃え残って煤となるため、煤が溜まりやすいという特徴があります。煤が溜まると、エンジンの性能低下や、排気ガス浄化装置の故障などの原因となるため、定期的なメンテナンスが必要になってきます。ディーゼル車の煤の溜まりを防ぐためには、以下のことに注意することで少し改善できます。
長距離運転や、高速道路での走行を心がける
アイドリングを短時間に抑える
エンジンオイルや燃料フィルターの交換を定期的に行う
ディーゼルエンジン専用の添加剤を使用する
 そんなメリットもデメリットも見えた乗用車のディーゼルエンジンですが、将来的になくなるかも知れません。ディーゼル車の今後は、世界的に見て、ガソリン車とともに、2030年代半ば以降、新車販売が禁止される方向で進んでいます。日本でも、2035年までにガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止する目標が掲げられており、それに伴い、ディーゼル車の市場は縮小していくことが予想されます。しかし、ディーゼル車には、ガソリン車に比べて燃費性能に優れるというメリットがあります。そのため、長距離運転や商用車などの、燃費性能が重視される用途では、今後も一定の需要が残るとみられます。また、ディーゼルエンジンをベースとしたハイブリッド車やプラグインハイブリッド車などの開発も進められており、これらの車種は、ガソリン車や純電気自動車(EV)に比べて、航続距離や価格面で優位性を持つ可能性があります。そのため、ディーゼル車の市場は、これらの車種にシフトしていく可能性もあります。ディーゼル車の今後は、政府の規制や技術開発の進展などによって、大きく左右されると考えられます。
約130年前にドイツ人のルドルフ・ディーゼルさんが発明して、今日まで世界中で研究と改良を重ねてきたディーゼルエンジンの火を、何とか灯し続けられることを期待しています。

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