特殊清掃員になるのはやめたほうがいい?職場の実際とは?

特殊清掃員になって、きょうでちょうど10日目。ようやく落ち着いてきた。最初の数日は心も体も張り詰めている感じで普段より緊張したけど、このところ生活のサイクルが出来てきた感じ。まあ新しい職場だから特殊清掃員でなくても緊張して当然だけどね。


これまではコンビニでバイトしてた。俗にいうフリーターってやつ。でもバンドやってるんで自由が優先したんだよね。希望でシフトが組めたから便利だった。でも、ちょっと飽きた。そろそろ大人になってきたし、正社員ってやつになってみたくなったわけ。
そんなとき、コンビニの休憩時間に週刊誌を読んでいて、いま急成長している業界はここだ!みたいな特集があった。そのなかに「遺品整理&特殊清掃で大躍進」って記事があったんだよね。これから超高齢化社会になるから、こういう「死」に関する仕事ってトレンドだと思ったんだ。まあ自分はもともと事件や事故の現場写真に興味がある変な性格だったこともあるんだけどね(笑)。で、スタッフ急募の電話に連絡した。コンビニで髪や服を清潔に見せるのは慣れてたし、明るい印象も演じられたから、おかげさまで正社員になれたってわけだ。


もう知ってると思うけど、特殊清掃って孤独死、自殺、事件、事故なんかで人が死んだ場所の清掃をするんだよ。血液とか、体液とか、肉片とか掃除して、できるだけ原状復帰させるのが仕事。そうそう害虫駆除もやるよ。いろいろ大変だねって思うかもしれないけど、本当に大変なことは別にある。
それは、ニオイ。悪臭。死臭なんだ。知ってるかなあ、ニオイって微粒子なんだよ。物質なの。それがフワフワ飛んでいて、鼻に吸い込まれて、におうんだよね。この微粒子が鼻や喉の粘膜にくっついたら、なかなか取れない。本人の鼻は嗅覚がマヒしてもうにおわないんだけど、まわりの人には悪臭を放ったまま存在してるわけ(笑)。現場の壁や床や家具なんか、もう悪臭地獄だよ。消臭、脱臭、時にはリフォームも必要になる。
あのさ、にんにく料理店ってあるよね。スープにも、サラダにも、メイン料理にも、にんにくがたっぷり使ってあるお店。そこでランチ食べて電車に乗るとさ、自分はもうにおわないけど、他の人は猛烈なにんにくのにおいにやられちゃう。視線を感じる。そうかオレ臭いんだなって、居場所がなくなる感じ。で、座席で寝たふりしちゃうんだけど。
特殊清掃で最初にぶつかる悩みは、悪臭、腐敗臭、死臭なんだってことを知った。これシャワーや風呂では消えないんだよね。服を洗濯しても残ることあるし。きれいな女性がそばに来ても、アプローチなんてできないし、なるべく離れたりする(笑)。


もちろん毎日、特殊清掃があるわけじゃないんだ。単なる片付けのこともあるし、遺品整理を頼まれることもある。仕事がないときはヒマかというとそうでもなくて、事務所や倉庫の掃除や整理をしてる。結構、忙しいんだよ。この10日間で待機になったのはほんの2~3時間かな。自分はバンドで雑用係もしてたし、コンビニでも鍛えられていたから、自分で動くクセがついてる。仲間に感謝、先輩に奉仕みたいな。だから仕事に出掛けたらお客さんに尽くしてるし、会社に貢献するようにしてる。こんなご時世に正社員で採用してくれたんだから、もう感謝、感謝でしょ。これからも臭いに負けずに頑張るよ。