彫刻家の杉本英輝さんより、太陽肛門スパパーン新譜「円谷幸吉と人間」にコメントいただきました。

太陽肛門スパパーン / 円谷幸吉と人間
昨年末予約した2枚組LP『太陽肛門スパパーン / 円谷幸吉と人間』が8/2に到着しました。このタイトルから内容を想像して下さい、、とか言ってしまいがちですが、これが常人の貧困な想像力なんざ嘲笑うかのような内容の怪物レコード!
レコード洗浄液で盤を浄め心を落ち着かせ、ようやく盤に針を。何年ぶり、いや十何年ぶりかに何故かドキドキしている自分が。。
2枚組でかなりの長尺物。なのに一時も耳が離せない。サン・ラもファンカデリックもザッパでさえも呑み込んだ上での心に刺さる歌の数々。伸びのある歌声。この一年、演歌と韓国歌謡しか聴いてなかった我が耳にもジャストフィット。昔大好きだったバンド「てつ100%」が久々に聴きたくなりました。
この作品は音楽の範囲を軽々と飛び越えてしまって、むしろ映画です。しかも大作10本分ぐらい!なのでこのレコードの内容について書こうとするとネタバレになりそうな気配が。一つだけ記しておくと、この物語の主人公は1964年の東京オリンピックの英雄、、或いは犠牲者、円谷幸吉氏です。しかし悲劇的な物語に終わっているわけではありません。個人的には、タランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・インハリウッド」を少し思い出しました。
このレコード、政治的主張の強い難解な実験音楽とかでは決してなく、日本語圏以外の人が聴いても楽しめる要素が満載です。凄まじく密に作り込まれたサウンドプロダクション!絵画に例えるならば大胆な構図がまずあり、その上に細密に描き込まれた細部が融合している感じです。それで尚且つ歌モノとしての完成度も高いのです。LPの4面を上手く割り振った曲構成も見事!
この作品が、このタイミングでリリースされた事こそまさに奇跡。コロナとオリンピックのこのご時世に刃を突き付けています。テレビ画面でオリンピック中継やコロナ報道を流し、音声を消してこのレコードを大音量で再生する。これが現政府や政権に対する正しい物の申し方なのではないでしょうか。
花咲政之輔様 濃密なる2枚組音盤 美味しうございました。
http://taiyoukoumonn.web.fc2.com/hanbai.html

                        杉本英輝(彫刻家)

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