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評論家/詩人の阿部嘉昭さんより、太陽肛門スパパーン「円谷幸吉と人間」にコメントいただきました

阿部さん、ありがとうございます!皆さん、阿部さんのコメントを参考にし、円谷の叫び


に耳を傾け、今すぐ太陽肛門スパパーン「円谷幸吉と人間」+先行シングル「東京おらんピック/時間・場所・存在<すべて」を購入しよう!!

●『円谷幸吉と人間』讃
阿部嘉昭

復興五輪もコンパクト五輪も、「コロナに打ち勝った証としての五輪」も開催されなかったのだから、東京五輪の開催が、かつてボードリヤールが湾岸戦争について指摘したように、メディア上の幻だったのは確かだ。太陽肛門スパパーン『円谷幸吉と人間』はこの幻想五輪の実態を音楽的に増幅する、すぐれて批評的なアナログダブルアルバムだった。収められているファンキーチューンと歌曲とフリージャズはすべて調性が変化しつづける高度なド変態性に貫かれ、聴くのが危ない音楽の変異株として猖獗している。音場もあらゆる歌詞も狂いつづけている。すごい。そのなかを森山花子から変成した幻の円谷幸吉が出現し、やがて最も高貴といわれたその遺書さえテルミンの介入により、見事に恐怖文脈に置き換えられてゆく。聴いてはならない音楽のはずなのに、何度もターンテーブルに乗ってしまうのはなぜなのか。わたしたちが変異株にやられたいとひそかにおもっているからとしか考えられない。歌詞カードの最後は、《いつかくたばる命ならば 魂 投げ捨てて高く みんなありがとう》。この狂った歌詞の射程はなんと尊いのだろう。


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