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子供が生まれた。

命が、私の胸元にいた。
真っ赤な顔で命が叫んでいた。
涙が出たのは、嬉しかったからだけではない。
覚悟だ。
この今はただ泣くことしかできない命そのものを、
この世に、この今に急に呼び寄せた責任として、
私はこの子を育てていかなければいけないのだという。

その覚悟と責任の重さと言ったら、
やれ何億の利益だ損失だ、ああだこうだ、
といったような過去の事柄(主に仕事上)が、
なんと軽く思えたことか。

人の命は買えない。
人は1人では生きられない。

こういった陳腐で使いまわされた文句が、
頭の中をグルグル回っていた。
ああその通りだなぁと。

それと同時に、私は死を思った。
生まれてくる人は、いつか死ぬのだということを。
また、生まれてくるのと反対に、
死ぬときは人の中に戻って行けたらいいのにと思ったのだ。
そうすればずっと一緒にいられる。
生まれる時に比べて、
死ぬ時はなんて寂しいんだろう。
もう誰も死んで欲しくない。
身近な人が亡くなった時の悲しさではない。
死ぬことへの淋しさを痛感した。

そして私は眠りについた。