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アメリカの不動産を買ってみた

今回、アメリカの不動産を購入した理由は「減価償却の恩恵を受けたい」「分散投資の一つ」の2つです。他には、アメリカの不動産事情を実際に購入して肌で感じたいと思った事も理由ですかね。今回は、アメリカ不動産を実際に買ってみて感じたことと、日本の中古不動産がなぜ流通しないのかを私なりに考察してみました。不動産カルテなど日本の不動産業界も中古不動産に信用を与えようと躍起になっているようですが、そもそもの話をしていきたいと思います。


物件を探す!!

アメリカの不動産を探す時、最重要検討項目は「治安」です。日本の場合も感覚的に「治安」については重要指標の一つかもしれませんが、アメリカの場合は絶対に一番だと思います。「エリアに価値あり、敷地に価値なし」は日本よりアメリカの方が顕著だと思います。なので、この「治安」については、徹底的に調べます。サンフランシスコはイーロン・マスク氏曰く「地獄」になっています。テック系の企業の立地が盛んだったサンフランシスコ中心部は、コロナ禍によってリモートワークが全盛し人通りがすくなくなり、犯罪者のみがたむろするエリアになってしまいました。何がおこるかわからないんです。
その調べる指標としてアメリカでは極一般的にZIPCODE(郵便番号)が使われています。郵便番号エリアで検索すると、不動産の価格情報、推移情報、世帯平均所得、公立学校の平均成績、不動産の建設された時期などが一目でわかります。私が活用したサイトは、こちらになります。PolicyMAPというサイトです。こういうサイトを本当のDXというんだと思います。AI機能で全米の不動産情報をアップデートしているらしく、最新のエリアデータがリアルでわかります。

こちらで得た情報と、不動産としての魅力がこの十年間でどう変わってきているのか、アメリカの産業の予測や高所得者層がどこに住み始めているのか、そのエリアの税制はどうなっているのかを総合的に判断し、テキサス州の某エリアの住宅を候補に選定しぼりました。

そして、次は個別物件の選定です。
私は、このREDFINというサイトを手がかりに相場と、アメリカ不動産会社の評価などを確認しました。このサイトを見るだけでも、アメリカの中古不動産マーケットの充実ぶりが伺えます。素晴らしいっす。
私の懐事情も含め、投資額も決めて、物件情報と照らし合わせて選んでいきます。

アメリカ不動産に対する日本の税制(改悪)

令和2年度の税制改正で、「国外中古物件の不動産所得に係る損益通算等の特例」が創設されました。創設と言っても改悪です笑
日本の税制では、取得した建物が新築の場合、住宅用の木造建物は22年、鉄筋コンクリート造(RC造)は47年というように、法定耐用年数が定められています。建物を取得した価格は、その年の費用として全額を一度に計上できるわけではなく、法定耐用年数に応じて配分し、その期に相当する金額「減価償却費」を費用に計上することになります。減価償却って何?と思われる方は減価償却を勉強してください!!ところが、法定耐用年数の全部を経過した中古の固定資産の場合、「簡便法」という計算方法を用いることで新築に比べて大幅に短い償却期間を適用させることが可能でした。たとえば、築22年を超える木造の住宅用建物ならば、法定耐用年数の5分の1つまり4年(22年×20%で4.4年から端数を切り捨て)を耐用年数として減価償却することができました。米国不動産の場合、5,000万円の中古不動産(木造住宅)を購入すると、建物価額は購入価額の80%程度(土地価額は20%程度)となります。(つまり、日本とはまったく異なる建物価額比率が、米国不動産の特徴の一つだったので、日本の中古不動産を買うより税金のメリットがたくさんありました。)
この比率から建物価額を4,000万円とした場合、「簡便法」で減価償却費を計算すると、1年あたりに費用計上できる減価償却費は1,000万円、4年間にわたって4,000万円ほどの費用計上が可能となります。
ところが令和2年の「特例」の施行によって、米国をはじめとする海外で取得した中古物件について、個人を対象に、簡便法を用いた減価償却費の計上方法が改正され、以前のように多額の減価償却費から生み出される赤字を計上し、給与所得などから差し引くこと(損益通算)はできなくなりました。
ただし、法人が購入する場合は以前のように多額の償却費を計上できます。なぜ法人だけ!?と思われる方もいると思いますが、アメリカ不動産に詳しい方がこんな事を言っていました「某有力国会議員の法人が所有している間は、法人だけ改悪しない笑」と。。都市伝説的な話ですが、私は深く納得しました。。。

アメリカ不動産は投資対象として魅力がなくなったのか?

いや、そうではありません。ただし、いつ制度が改悪されるかは誰もわかりませんので、リスクはありますので気をつけてください。

海外不動産の投資効果は、『トータル収支』(賃貸期間中の各年の損益と税金、売却時の損益と税金)がプラスになったのかどうかで考える必要があります。最初の4年間で多額な減価償却費を計上し、計上した期間は劇的な節税ができたかもしれませんが、その後(5年目以降)がどうであるのかが、とても大事なんです。減価償却によって節税はできても、購入から売却までのトータル収支で効果がなければ、節税した意味も無くなるのではないでしょうか。アメリカの中古物件は築年数が古くても、しっかりと維持管理された物件を購入することで、値上がり期待が大きく、物件次第では大きな売却益(キャピタルゲイン)や、購入してから売却するまでの賃料収入(インカムゲイン)が見込めます。調べると特例前は、米国不動産を6年目ほどで売却すれば、『トータル収支』で十分な投資の効果が得られるケースが多かったようです。特例後は、『トータル収支』に効果が出るまでの期間は長くなりますが、それでも8~10年程度保有すれば、十分に投資効果が表われる可能性は高くなるのでは。
特例後、減価償却費は、「簡便法」を使用しないとなれば、新築物件(住宅用)を購入した際と同様の耐用年数「22年」を使用して計算することになります。税制改正前に比べ計上できる累計の減価償却費の額は大きく減少するが、反対に建物の簿価が多く残ることになります。そして、売却時には、不動産の売却(譲渡)所得の計算上、建物や土地の簿価価額は、取得費として必要経費に算入することができます。(特例前(簡便法の適用)では、建物の簿価は減価償却費で費用計上しているので、取得費に計上するのは土地の簿価のみでした。)
特例後(耐用年数22年適用)では、10年経過していても建物簿価は半分程度残っており、土地の価額とともに経費に計上できることになります。つまり、特例前(簡便法の適用)に比べ、譲渡所得の金額が大きく減少することとなり、税金も大きく減少することになります。
「節税効果の減少」があっても「売却時の税金の減少」を踏まえて「トータル収支」を考えた場合、特例前での投資の効果(6年目)に、特例後での投資の効果は、10年程度で追いつくことが可能になります。まぁ、そんなに上手くはいかないかもしれませんが、特例前とさほど変わらない形で投資できると思います。

そこで威力を発揮するのが、取得費をさらに細分化して分別する「コスト・セグリゲーション」という減価償却の計算方法を利用する方法です。コスト(取得費)をセグリゲーション(分別)するという意味で、これは、建物を一個の固定資産として計上するのではなく、建物本体から構造物や付属設備(電気設備、給排水設備、ガス設備など)などを分けて計算する方法です。

建物(木造 住宅用)の耐用年数は22年だが、付属設備などは10年前後と短いため、建物を細かく分類することによって、1年当たりの減価償却費を早期に多く計上することが可能になります。これは、外資系会計事務所が国税にも確認した上で運用しているので、現在は合法です。

次回は、アメリカ不動産を買う時の流れやローン設定、そして大事な管理は誰が行うのかについて深掘りしていきますね!

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