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アメリカ在住の日本人向けコロナによる経済刺激策や法改正の解説②

先日かけなかった内容について解説していきます。
(先日の記事も追加情報があり次第、追記しておきます)

④Retirement Account(リタイアメントアカウント)

個人のリタイアメントアカウントであるTraditional IRAやRoth IRA、会社で加入する401Kなどのルールが一時的に変更されます。

ルール変更1
Traditional IRAや401Kなど税控除のメリットのある口座に適応されていたRequired Minimum Distribution(RMI)が免除される。
 こういったアカウントを持っている人が72歳(2019年までは70歳半でした)になると、アカウント内にある残高に応じた決められた金額(Required Minimum Distribution)を引き出さないとペナルティが取られる仕組みになっています。これは、アカウントからお金を引き出さない限り永遠に税金が取れないために作られているルールなのですが、2020年度はこの引き出しをしなくてもいいとなりました。
株式で運用している方が、市場が回復するのを待って引き出しプランが立てられるようにという変更かと思います。

ルール変更2

Early withdrawal Penaltyが免除される。
こちらは、コロナウイルスによって直接影響を受けた方にだけ適応されるルールです。(本人、家族がコロナウイルスに罹患、または職を失うなど)
職場の401Kから引き出す場合は、雇用主側が判断をして引き出しを認める流れになります。
リタイアメントアカウントから59歳半よりも前に引き出しを行ってしまうと通常は10%のペナルティーが課されていました(CA州はさらに州税からも+2.5%ペナルティ)が、$100,000までの引き出しに限りペナルティの課税がされないことになりました。
さらに引き出したお金にかかる通常のIncome Taxも引き出し日から3年間に分割して納税することができ、この3年間の間であれば引き出したお金をアカウント内に戻すことも可能です。
また、同じくコロナウイルスによって直接影響を受けた方はリタイアメントアカウントからのローンをすることも可能です。
またローンできる金額の上限も$100,000まで引き上げられました。(アカウント内にある金額の半分までというルールも一時的になくなっています)

⑤Student Loan(学生ローン)

Federal Student Loan(連邦政府の学生ローン)の引き落としが自動的に3月13日から9月30日までストップし、更に金利も0%になります。
対象となるStudent Loanは下記のとおりです。

Defaulted and nondefaulted Direct Loans
Defaulted and nondefaulted FFEL Program loans
Federal Perkins Loans

もしも自分のFedera Student Loanが条件を満たすかどうかわからない場合は下記のサイトにログインすることで確認が可能です。
StudentAid.gov/login

また、3月13日以降に引き落とされたお金に関してはRefund請求が可能です。その場合は、直接ローンの会社に問い合わせが必要となります。

もちろん、金利がつかない間により早く返済元本を減らすために支払いを続けるという選択も取れます。

その他のState agencyからのローンやプライベートローンも独自の救済オファーを出しているとこともありますので、ローンの会社のHPやお知らせをよく確認してみて下さい。

⑥Forgivable loan(中小企業向け給付金、無利子融資)


500人以下の中小企業やスタートアップ、個人事業主向けにSBA(Small Business Administration)から4つの救済施策が発表されています。

1、Paycheck Protection Program(給与保護プログラム)
中小企業の従業員への給与の支払いのサポートを目的にしたプログラムで、SBA 7(a) lenderやFederally Insuredの金融機関やクレジットユニオンなどから申し込みが可能です。申込期間は4月3日から6月30日までとなります。

誰が申し込めるのか?

コロナウイルスによって損失を受けた500名以下の中小企業、もしくはホスピタリティ業や飲食業の場合は1店舗あたりの従業員が500名以下であれば該当とみなされます。

ローンの内容は?返済免除の条件は?

借入金は、従業員へのPayroll(給与)、Interest on mortgage(住宅ローン利子)、 rent(家賃) 、utilities(光熱費)の支払いに使われる必要があり、
借入金の75%以上を給与の支払いに使われた場合には返済不要となります。

また、返済不要の条件を満たさない場合もローンの返済が6ヶ月間免除されます、保証人不要、政府や貸付業者への手数料もかかりません。ローンの返済期間は2年間で金利は1%となります。

ただし、あくまでも従業員の雇用と給与水準を保つことを目的に作られていますので、フルタイムの従業員の人数が減ったり、給与を下げた場合には返済免除の金額も減らされます。

Application formのダウンロードはこちらのリンクから可能です。
https://www.sba.gov/document/sba-form--paycheck-protection-program-borrower-application-form

2、Economic Injury Disaster Loan Emergency Advance(返済不要の一時金ローン)
コロナウイルスにより経済的な損失をうけて事業の継続が困難になった企業(もしくは個人事業主)向けに$10,000までの前払金を支払ってくれるローンであり返済不要です。これは皆さまダメ元で申し込みましょう。

ローンという名前がついていますが、これは建前上ローンの申込みをした人に最大$10,000まで返済不要の前払金として支払うためについているものです。

条件はローンに申し込むだけですのでローンの審査が下りなくても、もしくは審査がおりて借り出したお金をすぐ返しても(余計な金利が発生しないように)問題ありません。もちろん前払金は返済不要です。

誰が申し込めるのか?

コロナウイルスによって経済的な損失を受けた500名以下の中小企業(sole proprietorships、independent contractors 、self-employedの方も含まれます)の方が申し込みができ、Applicationが通った場合は数日のうちにお金を受け取ることが可能です。

申込みは下記リンクから可能です。
https://covid19relief.sba.gov/#/

3、SBA Express Bridge Loans(つなぎ融資ローン)

すでにSBA Express LenderとBusiness relationshipがある中小企業でコロナウイルスにより一時的な収益の損失を被った場合、$25,000までの金額を早い審査ですぐに受け取ることが可能です。

詳しいガイドはこちらからダウンロードが可能です。
https://www.sba.gov/document/support--express-bridge-loan-pilot-program-guide

4、SBA Debt Relief(債務救済措置)

すでにSBAの7(a), 504, microloansからローンを借りている場合、自動的にSBAが6ヶ月間の支払い(返済元本、利子、手数料)をしてくれます。
また、9月27日までに新たに発行された新規のローンに関しても自動的に支払いをしてくれます。
ただし、自動引落を設定している場合は自分でキャンセルをしないと引き落としが続いてしまうようですので注意が必要です。もちろん自主的に支払いを続けることも可能です。

こちらに関するお問い合わせは下記のとおりです。
Birmingham Disaster Loan Servicing Center:
Phone: 800-736-6048
Email: BirminghamDLSC@sba.gov
El Paso Disaster Loan Servicing Center:
Phone: 800-487-6019
Email: ElPasoDLSC@sba.gov

以上がFederal(連邦政府)からのプログラムですが、他にもStateやLocal assistanceを発表しているところがありますのでご自身の住んでいる地域でそういったものがあるか探してみて下さい。

ちなみに、サンフランシスコ市は5名以下の企業でコロナウイルスにより25%以上の利益の減少があった企業を対象に$10,000までの返済不要の給付金を発表しています。
申込み、詳細はこちらから


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