産後1ヶ月に「美しい彼」に救われた女の話

どうも、おふとんです。
普段は「美しい彼」の沼に浸かりつつ、BL鑑賞するのを趣味として生きる一児の母です。
「美しい彼」への忠誠を誓い、愛を叫び、続編への希望を捨てずに日々を生き抜いています。

Twitter(まだXと呼ばない女)に投稿していたり、スペースでは何度かお話ししていたのですが
今回は私が「美しい彼」に沼落ちした経緯を語っていきたいと思います。
何度もお話ししているのでしつこいなと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、
私にとって「美しい彼」に出会えたことで救われた感謝の気持ちが大きすぎて、何度でも語りたくなってしまうのです。
それでもいいよ!読んでやるよ!って方のみ、お付き合いください。


元々私は腐女子歴20数年、根っからの腐った感情でBLを愛して止まない立派な(?)女オタクです。
BLファンであれば誰もが通る凪良ゆう先生の作品は愛読しており、
その中でも特に「美しい彼」は私にとって大好きでとても思い入れの深い作品でした。

そんな私は夫と出会い交際することになった際、
自分の趣味を夫に打ち明ける事ができませんでした。まさか、夫も私が実家に600冊以上のBL本を蓄えている女だとは思ってもいなかったでしょう。

それを話す勇気が出ないまま、結婚を期に持っていた全ての商業BLを泣く泣く処分したのです。




なんやかんやありBLのことをすっかり封印していた数年後、私は娘を出産しました。

娘を産んでみて初めて知ったことは、子育てはこちらが想像していた何倍も未知の世界だったということ。
毎日がパニック。毎日が新しい発見でした。


もちろん、娘は可愛いです。
自分の血を分けて十月十日、お腹で育んでいた命は可愛いです。
でも、いくら自分のお腹にずっといた子とはいえ、産んでみたら

「初めまして、あなたの子です」

って物理的に初めて会った人な訳です。私のお腹にいたらしいってことは理解はできるんですけど(内側から蹴られてアピールされてたんで)
でも実際、

「こいつが本当に入ってたんか…?」
「私の細胞から作られた…?」

って半信半疑です。人体の不思議すぎる。
あんなに自堕落で暴飲暴食していた不健康代表の私みたいな身体から、生命が作り上げられたなんて信じられないんです。正直ちょっとパニックです。

その不思議が、十月十日の間に解決される訳もなく受け入れられる訳もなく出産の日を迎えちゃいました。
みんなこれ受け入れて子育てしてる訳…?
世の中のママさんすげぇ…

私にはずっと不思議なままでした。
そんな奴もいます。もし今妊婦さんで同じように思ってる方がいたら安心してください、私こんな感じでした。

辛いつわりと絶不調の妊婦期間を乗り越えた一世一代の出産大プロジェクトは無事成功。
入院期間はコロナ禍だったので勿論立ち会い出産も面会も一切禁止(つら)
寂しさのあまり涙腺が爆発しそうな地獄の入院期間を終えて、産まれたてホヤホヤのニューフェイスを連れて我が家に帰って来ました。

そんな感じで子育てがスタートしたばかりの時は、母性よりも戸惑いのほうが大きかったです。
産まれてすぐの赤ん坊ってまだ目も見えてないので目玉がキョロキョロ動いて白目むいたりするし、顔じゅう毛だらけでお猿さんみたいだし、
ちょっと笑っちゃうぐらいに不細工だったりします。
勿論コミュニケーションも取れないし泣くか寝るかミルク吐くしかばっかり。

加えて帝王切開の傷と産後の謎の不調で身体中が痛いし、真冬で日照時間が短いし外は寒くて出歩けないし
向き合う相手は赤ん坊と夫のみなので、閉鎖された空間で毎日が不安で不安で仕方なくて
母性が爆発して赤ん坊が可愛いって気持ちよりも、

「私の子育てこれで合ってるのか」
「この子の命が私の手にかかっているんだ」
「他のママはみんな頑張ってるのに」

と自分で自分を追い詰め、負のスパイラルに陥っていました。
今ならホルモンバランスのせいだとはっきり言えるのですが、当時は頭でわかっていてもずっと不安でずっと苦しくて、ずっと眠くて、延々と涙が流れ続けていました。

幸いにも、夫は育休を1ヶ月取ってくれていたので新生児期は2人で協力し合い夜間授乳を乗り越え
(里帰りはしませんでした)
必死でどうにか娘を1日1日生かしているようなそんな生活でしたが、特に産後1ヶ月の頃は毎日毎日泣いていました。
軽い産後うつだったのだと思います。


夫の育休が終わり、1人で子育てしていく不安に押しつぶされそうになっていたある日
何気なくインスタを眺めていたら目に入ってきたのは、私の推しミュージカルのキャストの1人である
高野洸くんの投稿でした。


「美しい彼 ご視聴ありがとうございました✌︎」


え?美しい彼?
美しい彼って????

え?美しい彼、実写化したの?


おっさんずラブ以来、BL実写に触れていなかった私ですが瞬時に察しました。凪良ゆう先生のあの
「美しい彼」が実写化したのだと。そしてその作品に高野くんが出ているのだと。

高野くんのインスタの画像を見た感じ、今なら
「小山と平良」が並んでいるのがわかるのですが
当時はそれが初見だったので
まさか高野くんが清居役なの?と思っていました。
高野くんはとても綺麗なお顔立ちをしているので、清居役と言われても納得です。
でもなんだか、写っている写真の着ている服のイメージは清居とは違っているように見えました。

そのままGoogleで「美しい彼 ドラマ」
と検索してみると…


そこには平良と清居がいました。


思えばもう、この時から私の心は奪われていたのだと思います。
公式HPの平良と清居の画像を見た瞬間、圧倒的な説得力を感じていました。
これは観るしかない、思い立ったその日のうちにparaviに契約しました。

そこからは早かった。

清居に一目惚れしまった平良と同じタイミングで、私も転がり落ちるように二人の美しさの魅力に取り憑かれてしまいました。
そして最終話、ズドーーンと雷に打たれたような衝撃を受け、気がつけば「美しい彼」の虜に。

授乳しながら、娘の寝かしつけ中、布団の中で、
暇さえあれば何度も何度も見返していました。
(こんな母ちゃんでごめんよ娘)

産後1ヶ月、失った女性ホルモンが戻ってくるのを本気で感じました。ドバドバ出てた。
苦痛だった寝かしつけ時間も、ユラユラ揺れながら美しい彼らを眺めている時間になったので苦痛じゃなくなりました。
夫がいないと不安だった日中も、
「早く仕事行ってくれないかな(美しい彼が観たいから)」
と思っていたぐらいです。(こんな嫁でごめんよ夫)

美しい彼らのことを考えると日々が薔薇色になり、生活が華やかになり、娘が可愛く見えた。
不思議ですが、心に余裕ができたのです。

夜な夜な原作を読み返し続編への妄想を募らせているうちに、ただ寝転がっていることしかできなかった娘が笑うようになり
寝返りをするようになり、ハイハイをするようになり、歩くようになり
日々娘と向き合いつつ、夜こっそりと美しい彼への愛を心の中で叫んでいるうちに
娘が1歳になりました。

この時はまだ、グッズを集めることや中の人を推すことまではせずただの作品のファンとして生きていました。
母たるもの、自分本位に趣味を楽しむのは許されないと思っていたからです。
当時はまだ目の前の娘と向き合うことでいっぱいいっぱいで、変な勘違いをしていました。


シーズン2の放送をリアタイできたことを喜び、映画の公開を楽しみにしていた頃は
娘の後追いが酷い絶頂期でした。

娘は超絶ママっ子で、私が離れると泣く。私が立ち上がると泣く。床に一人で座らせたら泣く。私が後ろを向いたら泣く。

家事もトイレもお風呂も片時も離れることを許してはくれませんでした。
うちの夫は子育てにやる気満々で娘のお世話の全てをやりたがっていたのですが、娘側が何故かパパを完全拒否(笑)
パパがどれだけ娘ラブでも、その思いは一方通行でした。

娘はバウンサー・ベビーカー・カート・歩行器など
私の抱っこ以外の便利グッズを全て拒否。

せっかく買ったベビーカー2台も、お高かったジャンパルーも、ほとんど使うことなく卒業。
私の腕の筋肉だけがどんどん発達していきました。

そうなるとこちらも精神的に追い詰められていく訳です。
この子には私しかいない、私以外全て拒否しているんだから。
私だけがこの子を守ってあげられる。
ガッチガチに固まった頭で、真正面から娘と強制的に向き合っている日々を過ごしていた春。

「美しい彼〜eternal〜」が公開されました。


観たい。心の底から観たい。
でも、私利私欲の為に娘を誰かに預けて、たくさん寂しい思いをさせてたくさん泣かせてまで。

そこまでして観たい映画なのか?

狭い世界で1年間、夫以外には誰にも一切頼れず
頼らず、ほとんど自分達だけで過ごしていた私は、他人を私と娘の世界に入れる事を拒否していました。

「でも、たまには息抜きに出かけてもいいんじゃない?」

そう夫が背中を押してくれなかったら、私は永遠に娘と二人きりで過ごす覚悟でいたような気がします。
子供を永遠に自分の世界に縛り付けられる訳もないのにね。

何日も前から姉に頼んで予定を開けてもらい、預けるための準備をして
不備がないよう、漏れがないよう、娘が泣いても大丈夫なようお気に入りのオモチャやお菓子をたくさんバックに詰めて。
勇気を出して娘を姉に預けて映画館へと向かいました。

映画館まで1時間の道のり、チケットを買う手は震えていました。産後初めてのこんなに長い一人時間。
なるべく早く帰れるように、朝イチの上映回。
観終わったら、すぐ帰ろう。観ることが目的で、別に内容はどうだって良い。
ただ、ここまでして観に来たんだから面白くなかったら嫌だな。
そんな気持ちを抱えながら座席に座りました。

上映開始から数十分、とあるシーンで



「ここまで来た価値あった…」


と天を仰ぎました(風呂です)
私の今までの頑張りが報われたな、と本気で思いました。はーーここまで来て良かった。これを観れただけで満足。ありがとう。本当ありがとう。


そしてラスト。

エンドロールで号泣していました。


映画本編ではその美しさに圧倒されて泣くことすらできず、エンドロールを見た瞬間
「あ、終わったんだ」
と涙が溢れて。安心して、嬉しくて。
私の好きなものが、こんなにも完璧な形で残ってくれた。それが嬉しくて嬉しくて涙が止まりませんでした。
ここまで来て良かった。身の引き裂かれるような気持ちで娘を預けてまで、劇場で観れて良かった。
幸せな二人の姿を大きなスクリーンで拝めることができて、本当に良かった。

「美しい彼」は私が忘れていたものを思い出させてくれました。
私はBLが好きで好きでしょうがなかったことを。
自分の中で、勝手な母親像を作り上げてそれを自分に押し付けて、自分というものを忘れていました。
ああ、私には好きなものがあったんだ。
別に母親になったからって、それを制限する必要もなかったのに。母親失格なんて思う必要もなかったし、好きなことやっていいのに。

映画館を出た足取りはフワフワと軽くて、まるで雲の上を歩いているように現実味がなくて黄金色に輝いていました。
エターナルを観た後と前では、見る景色が180度変わっていて。
私は、好きなことをやって良いんだ。
自分を取り戻したような気持ちになりました。

これが、私の決定的な沼落ちの瞬間です。

娘を迎えに行くと、私の顔を見た途端泣いた娘ですが姉曰く実は預けたあと案外ケロッとしていたらしく、楽しく遊んでいたようです。
私が心配しすぎていたようで、ホッとしました。
数時間ぶりの娘の顔はなお一層可愛く見えて、リフレッシュして来て良かった!と心の底から思いました。


そこからはあっという間で、映画公開中にプラス3回観に行きました(笑)
あんなに観に行くのを躊躇していたのに。
一度やってみたら意外といけたものだから、調子に乗って何度も出かけちゃいました。
結果、夫にも
「どうしても…観たい映画があるんです…」
と言ってその作品がBLであることをカミングアウト。夫はそうなんだ〜ぐらいでとくに何も言わずに受け入れてくれました。
私がエターナルを観ている間に娘を夫に預けて、パパとしてのレベルもアップ。夫の自信にも繋がったようです。

自分でも驚きなのですが、美しい彼に沼落ちしてからトントン拍子に外に出るようになり、
やがて自分の職場復帰への勇気を出す一歩となり、
私が仕事をしているうちに娘が保育園や姉の家で外の人たちと交流を広めた結果
娘の後追いが落ち着き人見知りがなくなり、泣かずに私の見送りを
「バイバーイ!」
としてくれるまでになりました。
今やお祭りにいって人前で我流のダンスを披露するようなパリピ娘に。我が子とは思えないコミュ力の高さに私でも困惑しているぐらいです。


全ては「美しい彼」に沼落ちしたお陰。
感謝してもしきれません。

私は映画やドラマ鑑賞が元々趣味の一つでもあるぐらいよく観ているタイプなのですが
私の人生の中で、こんなにも心動かされてこんなにも泣かされてこんなにも繰り返し見返している作品には出会ったことがありません。
美しい彼だけが唯一無二。美しい彼だけが私の特別。
そんな作品に出会えるなんて私は幸せものです。
あの時、夫が背中を押してくれていなかったら。
あの時、勇気を出して観に行っていなかったら。
今の自分はいなかったでしょう。

トータルで4回も観に行く事にした自分自身を誉めたいです。
配信まで待っていて、自宅で観ていたとしたら
大きなスクリーンで観れば良かった!と後悔していたに違いないと思います。


私の場合は美しい彼のドラマに出会ったのが
たまたま産後すぐだったので、美しい彼が沢山の困難から救ってくれた存在となりました。

産後の恨みは一生、と言うように
産後の感謝も一生、なのです。


(あ、もちろん夫にも感謝してますよ!)


これから娘の成長と共に、彼らが成長していくのを見届けていきたいなと思っています。
続編があればとても嬉しいですが、もしなかったとしてもこれから先の人生で
ずっと愛を叫び続けていきたいと思える大切な宝物です。



長々と語ってしまいました。ここまで読んでくださった方がいましたら本当にありがとうございます。
そして美しい彼の制作に関わった全ての方々、本当に本当に本当にありがとうございます。

またいつかあのチームで、あの二人の姿を観れる日が来るのを願っています。


今日も、「美しい彼」への愛を込めて叫びます。



エターナル!!!!!!!!!!




ひらきよエターナル!!!!!!!!

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