折々のことば、みたいなやつ2(渡部)

みなさま

 ごくせんとテラスハウスにハマってる駿平です。どっちも、人間やな〜って感じ。ごくせんに至っては毎回泣いてる。TVerで観れるって知って、さっそく観始めました。もうちょっとで12話見終わります。最終回でどんだけ泣けるのか楽しみです。折々のことば、第2弾いきます。誰の言葉なのかっていうのは明記しないことにしました。そのほうが言葉のほうにフォーカスがいくと思ったので。

■心の底から近寄ることのできた彼の側で生きてみたいと思うのです。

『宇野千代の人生相談』から。ひとに心を開けた瞬間って、そのひとにとって世界の転換みたいになる気がします。そういう劇的な感情を浮つかず、あくまで淡々と語ってる感じが好き。かといって絶対じゃなくて、生きると決めたとかではなく、生きてみたい。その腰の低さも好きやなあ。 

■”自殺未遂をしないこと、リストカットをしないこと、服薬をきちんとすること”これは私が自分にした最大の約束です。

 雑誌『こころの元気+』から。人間の美点は、何をするかじゃなくて何をしないか、ということであってもいいんじゃないか。平川克美さんがそんなことを書いてた気がしますが、それを思い出しました。人生の土台プラスアルファを考えるんじゃなくて、ひたすら最低線を守っていく生き方に共感するし、そういう側に立つやり方を考えていきたいなって思ってます。

■人を励ましたり、元気づけたりする営みに税金を投入するのは費用対効果として正しいと思うんですけど。

 朝日新聞の記事にあった、美術とか演劇についてのコメントでした、確か。日本がなかなか芸術分野に補償をしようとせーへんかったときの言葉。芸術って言われるとあんまピンとこーへんけど、ひとを元気にしたりするものやって言われると、その通りやなあって思っちゃう。

■「力の言葉」を、「言葉の力」だと勘違いしてはいないか。

 総理やその周辺が使う言葉についての新聞の記事。いま見返したら「躊躇なく」「積極果断な」「間髪を入れず」「一気呵成に」を挙げてました。国民に語る言葉の力ってそういうものじゃないよってツッコミを入れてます。力強い言葉じゃなくて、ちゃんと現実と折り合いをつけた言葉とか、行動の伴う言葉とか、そういう言葉がほしいなあと自分も思っちゃいます。

■自分ではない自分に「なる」ことを断念した時にこそ、本当に人は変われている。

 昔読んだ安冨歩さんの本で「自分以外になろうと思うと、生きづらい」って書いてあってめちゃくちゃしっくりきた言葉が再来。自分でしかあれない自分になんとか納得して、しょうもない、弱い自分を受け入れられたときに心がすっきりして、あとは進むだけ、ってなれるようなそんな感じ。自分も自分のことを責めがちなので、時々思い出すようにしてます。

■紙の本を愛することなく生きる人生と比べたら、変態でいるほうが、どれだけ豊かなことか。私は、世間から蔑視されることより、本と出会えたことのほうを喜びたい。

 まさに本への愛ですね。本への愛が伝わってくる本は好きです。心が穏やかになる気がします。そういう本を書くひとって、無条件で優しいひとやろうなあ、と想像しちゃいます。

■十年以上先か……。それまで、もつだろうか。零細出版社も書店も。読者の気持ちも……。

 落ち目で、今後もそれが続きそうな出版界について書かれた文章やねんけど、ここに読者の気持ちを入れたことに「すげーなー」と思った。ちゃんと読み手のことにも想像力を巡らせるって、ありそうでなかなか読んだことのない流れでした。

■「自分の式が終わった次の日も、俺、風俗行ったんだよなあ。さっさとどうしようもない自分に戻したくて」

 『ままならないから私とあなた』から。さっさとどうしようもない自分に戻したくて、ってすごい。人間、破滅願望ってやっぱりあるよなあ、とちょっと嬉しくなった一文。理屈で説明しようとしたら、ぜんっぜん合理的じゃないねんけどさ。

■「みんなで暑い暑いって文句言ってるのも、お母さんのころは、楽しかったけどねえ」

 同じく『ままならないから私とあなた』より。この母のセリフは、よくわからんけどこれぞ原風景、みたいな感覚で読みました。たとえば、便利な科学技術が人間の不満をきっぱり排除していくことについて、私はけっこう複雑な気持ちになります。ほんまに、それが致命的なイライラを呼ぶのであれば話は別やけど、ちょこっとだけ、なんやねんそれ~って不満を漏らすくらいのめんどくささ、不便であれば、それを友と一緒に言い合えるっていうかたちの幸せがあるように思います。そんなふうに思ってたら、ちょうど職場で「授業めんどくせー、とか言いながら通う学生生活をしたい」と書いてる記録を見つけてびっくり。「授業楽しい!」よりも「授業めんどくさい」のほうによっぽどリアリティがあるってことでしょうか。

 以上。今回のベストは最後のやつです。なんとなく、人間はめんどくささとか不便さと一緒に生きていきたいもんなんじゃないか、と思います。めんどくせえな、とか思いながら合理化できたらそっちのほうがいいんかもしれへんけど、でもやっぱりそれだけじゃない。全部がそんなわけにはいかへんし、なんでも合理化合理化で語られたら、気持ち悪いなって思っちゃう。隙がない、というか。

 「なんやねん、しゃあねえな~」と思いながら目の前のことに向き合ってる人間って、素敵やなあとただただ思うのです。

                                渡部

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?