折々のことば、みたいなやつ1(渡部)

 みなさま

 これ、やると言って全然更新できてなかったのでやりますね。かっちり書こうとしてたけど、やり方を変えます。Twitterに投稿して、時間が経ってからの自分がここに書く言葉をあらためて見るとどうなるのか、そういう気持ちでゆるくやっていこうと思いました。ずっと下書きに入れててすみません(笑)。

 ゆかちゃん、ほか経緯を知らないひとに説明すると、私は朝日新聞一面、鷲田清一さんの「折々のことば」が好きなんですね。それもあって新聞を最近とりはじめたっていうのもあるくらいなんですが、ふと「自分でもやればいいのでは」と思ったので、言葉をTwitterに集めて、それをこちらでコメントするというかたちをとりたいなと思っています。

■同じ時代に生きられて幸せです。
奥村美枝 朝日新聞4月24日「声」欄より

 これ、めっちゃかっこよくないですか。「声」の欄なので一般のひとやねんけど、3月くらいに亡くなってしまった大林宣彦監督への追悼の言葉やったかな。近くにいるとか話したことがあるとかそういうことじゃなくて、同じ時代に生きてるだけで感謝ができる。それくらい、自分の人生にとって大きい人間を持ったこと自体も、また幸せやと思いました。

■人は概念を信頼するのではなく、人は人を信頼するのだと思う。
上川あや『変えてゆく勇気』

 ひとを偏見で見たり、属性で分けたりしちゃう私たち人間。それが暴力、いさかいを生んだりもしているけども、一方でそれによってどんなに日常生活が生きやすくなっているか。なっちゃっているか。でもそれだけじゃないよ、ひとの心とかありように惹かれることもあるよって、トランスジェンダーの世田谷区議会議員は言ってくれてます。

■私はコーヒーを味わう。あなたはコーヒーを奪う。
テオ・アンゲロプロス

 筑紫哲也『スローライフ』より。時間をかけてものを味わうって、なかなかすることないですよね。コーヒーみたいな身近なものを味わうって、なおさらむずかしい。ゆっくり味わうことそのものに意味があるやんな、って思えた人間がもう、すでに心にゆとりがありそう。私はまだダメです。

■自分を安心させてくれるものが一番愛おしいのは当たり前じゃないですか。
橋本治ほか『ラブレターズ』

 これ、橋本治さんが日本に対して書いた言葉です。ひと相手じゃなくて、日本という国。でも、好きってことの本質な気がしました。これ読んだ瞬間、成長しあえる関係とか、刺激しあえる関係、とかが霞みました。時期的に「なんのために生きてんの?」ってとこまで振り返らされる。安心がいちばんやなあ。

■子どもに教わったことと、ぼくが子どもに教えたこと、間違いなくぼくのほうが黒字です。
高橋源一郎

 2019年夏に行われたよこはまチャイルドラインの講演会より。高橋源一郎さん、昔次男が急に病気になって、自分が今後どう生きていくのか、すごく試された経験があるんだとか。子どもに考えさせられたし、変えさせられた。大人が子どもに教えるっていう構図に私はあまり共感しないのですが、まさにそれ。前働いてた職場の「子どもは先生だと思ってる」っていう先輩の言葉は、妙に響いて覚えてます。

■もし私が先輩だったら「バカやろう」と言い、「これから頼りにしているよ」と声をかけるでしょう。
鎌田實 4月21日朝日新聞「耕論」より

 慶応病院の研修生が、コロナに集団感染したときのことを書いた記事。研修生たちのやってしまった行動に反省を促すだけじゃなくて、感染っていうものを経験した先輩として、ちゃんと頼りにもする。叱責って、その後に続く何かとか、愛情って言葉で言われるやつですよね、そういうものがないとダメだと思うんですよね。なかなか言語化できへんけど、それができてるひととそうでないひとって、すぐにわかる。それまでつくってきた関係性もあるけど。関係性もなしに、その後もなしに怒ったりするのは私だったらしたくないなあ、と考えてます。

■「きれいになりたい」っていう思いは不要不急じゃないはず。

 これ、いつしかの新聞に載ってた一般のひとのコメントでした。コロナで自粛の最中、美容に通う女性のコメント。これもかっこいい。こう見ると、不要不急ってなんなんでしょうね、客観的には分けられへんもんなんかなあ。もし、すごい剣幕で「これ、いまの自分に必要なんです!」って言いきられたら、私は引き下がってまうな。そしたら尊重しますね、ってなる。

 うん、これくらいの温度感がいいな。さらっと書ける。今後も時々やっていきます。デトックスみたいで気持ちよい。これは特に話題にはせんでも大丈夫なんで、ぜひ往復書簡を続けましょう~。

                               渡部

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