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【中学ロボコン】創造アイディアロボットコンテスト 近畿ブロック 授業内部門の記録

 中学ロボコン(全日本中学校技術・家庭科研究会主催 創造アイディアロボットコンテスト全国中学生大会)には2009年~2014年の6年間、「授業内部門」という部門がありました。使用モーター3個だけの、技術の授業17.5時間程度で製作可能なルールの部門です。私は技術科教員の立場で授業内部門に関わり、偶然も重なって近畿ブロックから5年連続全国出場してきました。その記録を書き残しておきます。

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2009年 授業内部門「お掃除ロボット2009」

第9回 創造アイデアロボットコンテスト 大阪市中学生大会兼近畿大会
2009年11月8日(日)大阪市立東淀工業高等学校
22チームが参加(大阪市立新北野中学校、神戸大学附属中等教育学校明石校舎、大阪市立柴島中学校、大阪市立北稜中学校など)
 この年、「授業内部門」が初めて設定されました。しかし「技術の授業17.5時間程度で製作可能なルール」というだけであり、部活動だけで製作したロボットでも出場可能でした。競技内容は相手チームがコートにバラまいた紙クズを、制限時間60秒でお掃除するというもの。
 この時点で私はまだ技術科の教員免許を取得しておらず、大会にも関わっていません。翌年に私が赴任する大阪市立新北野中学校の技術部では、1年生部員3チームが授業内部門に出場し、うち1チームが優勝で全国大会に進出しています。
 ちなみに、近畿ブロックは出場校数の関係で「大阪市大会」に他府県の学校も参加させてもらう形で「大阪市大会 兼 近畿大会」となっています。市大会や県大会なしで、いきなりブロック大会なのです。
Impress Robot Watch に詳しい記事が残っています

2009サイクロンモンスター
2009北中イーストマウンテン

2010年 授業内部門「お掃除ロボット2010」

第10回 創造アイデアロボットコンテスト 大阪市中学生大会兼近畿大会
2010年11月7日(日)大阪市立東淀工業高等学校
4校14チームが参加(大阪市立新北野中学校 7、神戸大学附属中等教育学校明石校舎 3、大阪市立横堤中学校 2、京都市立岡崎中学校 2)
 「授業内部門」の参加条件が少しきつくなりました。部活動で製作したロボットは地区大会には出場できますが、たとえ優勝しても全国大会には出場不可に。技術科・選択授業・総合的な学習の時間などの「授業で製作したロボット」だけが全国出場できることになりました。競技内容は相手チームがコートにバラまいた紙クズに加え、粗大ゴミ(単1乾電池)を制限時間60秒でお掃除するというもの。
 この前年に私は無事に教員免許を取得し、大阪市の教員採用試験にも合格しました。そして、それまで4年連続全国大会出場していた大阪市立新北野中学校に配属されてしまいました。前任の先生は大阪の中学ロボコン立ち上げメンバーで、大阪市教委で技術科の指導主事になられた偉大な方でした。「技術部」という部活動に優秀な部員、選択授業でロボット製作をするための予算措置など、いろいろ置き土産もしてくださっていました。そのおかげで、右も左も分からぬまま技術科教員になった私でも、なんとか3年生の選択授業でロボット製作の指導ができました。新北野中は優勝を逃したものの授業内部門で3チームが全国大会へ進出し、応用部門でも「ロボコン大賞」を受賞。どうにか結果を残せました。

2011年 授業内部門「お掃除ロボットFinal」

第11回 創造アイデアロボットコンテスト 大阪市中学生大会兼近畿大会
2011年11月6日(日)大阪市立東淀工業高等学校
3校11チームが参加(大阪市立新北野中学校 7、神戸大学附属中等教育学校明石校舎 3、大阪市立大正北中学校 1)
 参加条件がさらにきつくなりました。当時のルールブックには「授業で製作されたロボットの部門になります。部活動・その他の活動で製作したロボットは参加できません」と明記されています。そのため、参加校数・チーム数ともに昨年度よりさらに減少。競技内容は相手チームがコートにバラまいた紙クズとお宝(単3乾電池)の中から、紙クズだけを制限時間60秒でお掃除するというもの。コートに障害物も設置されました。
 新北野中では選択授業がなくなり、私は2年生の通常授業でロボット製作を実施しました。しかし、2年生220人にロボットを作らせるための工具も材料もノウハウも不足していました。生徒1人につき1個のギヤボックスを教材として購入申請するなど、いろいろ工夫して乗り切りました。学年最優秀チームと各クラスの代表チームの計7チームを出場させたところ、大会出場チームの過半数が新北野中という異常事態となり、試合結果も1位~3位独占で3チームが全国大会へ進出しました。応用部門でも技術部のチームが全国出場を果たしたので、東京への引率が大変でした……。

2012年 授業内部門「Gather & Throw」

第12回 創造アイデアロボットコンテスト 大阪市中学生大会兼近畿大会
2012年11月4日(日)大阪市立東淀工業高等学校
2校5チームが参加(関西学院中学部 4、大阪市立大正北中学校 1)
 ルールブックには「授業内部門は、技術・家庭科の授業において、本ルールを採用して学習を行った生徒が参加できる部門です。※全国大会出場にあたっては、授業で取り組まれた事実を応諾書をもって確認します。」と書かれていました。参加校数・チーム数ともに昨年度よりさらに減少。当時は各ブロックから全国大会への出場枠は各部門4枠あったのですが、5チームで4枠を争うという、さらなる異常事態になりました。競技内容はコート内にバラまかれた紙クズを制限時間60秒で、互いに相手コートに投げ込むというもの。
 私はこの年から兵庫県の関西学院中学部に赴任し、2年生の選択授業でロボット製作をおこないました。昨年、1校で出場チームの過半数を占めてしまった反省から、授業中に試合をして4チームに絞って出場させました。まさか他に1チームしかエントリーしていないとは思っていなかったのです……。大会運営の先生に「もっと出場させてくれていいよ」と言われました。この年も1位~3位独占で3チームが全国大会へ進出しました。

2013年 授業内部門「Gather & Throw 2013」

第13回 創造アイデアロボットコンテスト 大阪市中学生大会兼近畿大会
2013年12月1日(日)大阪市立淀中学校
2校10チームが参加(関西学院中学部 8、大阪市立大正北中学校 2)
 授業内部門の参加条件が少し緩和されました。「授業内部門は、中学校技術・家庭科の授業においてロボットを題材とした学習を履修した生徒による作品の部門です。※部活動のみで製作された生徒作品の参加は、できません。」ということになり、授業でロボットを作ったことのある生徒が、授業以外の時間を使って作ってもOKとなりました。結果、参加校数は昨年のままでしたが、出場チーム数が倍になりました。競技内容はコート内にバラまかれた紙クズを制限時間60秒で、壁をこえて互いに相手コートに投げ込むというもの。相手コートに投げ込み可能な場所が制限され、ブロック行為が禁止になりました。
 私は前任校での経験を活かして、この年から2年生の通常授業でロボット製作を始めました。各クラスの代表6チームと、昨年選択授業でロボット製作を経験した3年生2チームの合計8チームを大会にエントリーしました。この年は1位~3位と審査員特別賞まで独占で、4チームが全国大会へ進出しました。

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2014年 授業内部門「Gather & Put 2014」

第14回 創造アイデアロボットコンテスト 大阪市中学生大会兼近畿大会
2014年11月2日(日)大阪市立淀中学校
3校16チームが参加(関西学院中学部 8、大阪市立淡路中学校 7、神戸大学附属中等教育学校明石校舎 1)
 授業内部門の参加条件は昨年通り。ただし、この年から全国大会への出場枠が各ブロック・各部門3枠に減りました。淡路中学校も2年生の通常授業でロボット製作を始めたので、出場チームが増えてにぎやかになり、大阪vs兵庫という図式になりました。競技内容はコート内にバラまかれた紙クズを制限時間60秒で、壁をこえて互いに相手コートに投げ込むのに加え、空き缶2個も相手コートに置くというもの。空き缶を立てて置いたり、積んで置いたら得点がアップします。
 関学中からは昨年同様に2年生各クラスの代表6チームと3年生有志2チームの合計8チームがエントリーしました。淡路中チームに苦戦して敗退が続いたものの、なんとか準優勝で1チームが全国大会へ進出しました。

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2015年 活用部門「Reversi of Paper cup」

第15回 創造アイデアロボットコンテスト 大阪市中学生大会兼近畿大会
2015年11月15日(日)大阪市立淡路中学校
7校22チームが参加(関西学院中学部 8、大阪市立淡路中学校 7、大阪市立港南中学校 2、大阪市立田辺中学校 2、大阪市立今津中学校 1、大阪市立歌島中学校 1、関西学院千里国際中等部 1)
 授業内部門が廃止され、同程度の難易度である「活用部門」が新設されました。授業内という制限がなくなったので、一気に参加校数が増えました。関学中と淡路中は昨年に引き続き授業で2年生全員がロボットを製作しているため、出場チーム数が多いです。競技内容はコート中央のゴールに、紙コップでできたアイテムを制限時間90秒でゴールしていくというもの。モーター数は授業内部門の時代には3個まででしたが、活用部門になって4個に増えました。
 活用部門になっても引き続き通常授業でロボット製作をしていたため、関学中からは2年生各クラスの代表6チームと理科部2チームの合計8チームがエントリーしました。授業で製作したロボットも善戦したのですが、準決勝で理科部チームと同校対決になり敗退。理科部の2チームが優勝と審査員特別賞で全国大会へ進出しました。優勝したロボットはモーターを3個しか使わないという徹底した軽量化と変態的な操作技術で、全国大会でも3位に入賞しています。

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まとめ

 私が技術科教員になったのと「授業内部門」開催のタイミングが重なったことがきっかけになり、通常授業でのロボット製作が実施できました。生徒に好き勝手にロボットを作らせるのは、創造力を高める良い経験ではあるものの、授業準備がとても大変です。授業内部門がなければ、こんな授業はやってなかったかもしれません。いろいろ問題もあって授業内部門が廃止されてしまったのでしょうし、復活を望んでいるわけではないですが、通常授業で取り組み可能な難易度の部門は今後も残していってもらいたいです。近畿大会や全国大会に参加できる方が生徒のモチベーションも上がるし、自分でルールを考えなくていいので楽なのです。

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