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2019年に読んで良かったSF


僕と親しくしてくれている人はご存知の方が多いと思うが、僕はかなりのSFマニアで年中SF作品に触れている。その中で、良質なSF小説を友人と共有したい欲求が生まれてきた。自分の中での整理を兼ねて、今年読んだものに限って本記事にまとめたい。長いと気持ち悪いので作品数は絞ったし、紹介も短くした。

エピローグ

別々に見えるストーリーが一つになる感覚が素晴らしい。「これはそういうものだ」とスルーするスキルは要求されるが(この能力に名前があれば教えてほしい)、円城塔氏の中では比較的読みやすい。

穴の町

SFかどうかは微妙な作品ではあるが、消えゆく町、突如出現する穴などSF的要素を多く含んでいる。塞ぎ込むような暗く冷たい田舎の雰囲気(日本の田舎感とは異なる)、都市へと向かう高揚感が素晴らしい。

象られた力

短篇集。最初の「デュオ」がお気に入りで、天才ピアニストの出自を巡るサイキックホラーが新鮮。

The Indifference Engine

伊藤計劃氏の短篇集。実はこれを紹介するためにこの文章を書いている。「From the Nothing, with Love.」は今年一番の衝撃を受けた。ヒトの意識の正体をテーマにした短い作品だが、伊藤計劃長篇三部作に匹敵する美しさがある。

文字渦

「文字」そのものをテーマにしたSF。文字は光り、闘い、巨大化する。いつもの円城塔節が炸裂しているが、何故かサクサク読める。文字は僕にとって一番の関心事である。

なめらかな世界と、その敵

SFへの愛が滲み出る短篇集。伊藤計劃氏への愛が凄まじく、「美亜羽へ贈る拳銃」には「ゼア族とホマ族」など同氏にディープに触れていないと出てこないワードも登場するので、その愛と尊敬の深さが伺える。ここでいう「美亜羽」も、やはりあのミァハである。


ヒト夜の永い夢

歴史改変SF。大正の香りが残る昭和初期が作品の舞台で、実際の歴史の偉人達が登場する。夢の世界に関する考察にはハッとさせられる。粘菌コンピュータという発想が素晴らしい。

以上が2019年に読んで良かった作品である。ここには挙げた作品が全てではないし、まだ読み終わっていないものもあるので興味のある方は連絡してほしい。

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