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宮崎は一体どうなっているのか 森林窃盗(盗伐)がまたも発生 しかも不起訴

【写真=盗伐被害地を調査する田村貴昭議員。立木が全て伐採され、勝手に耕されて畑にされている】

 森林窃盗(盗伐)が頻発している宮崎県で、また被害が発生しました。3300㎡のスギとヒノキ約230本が伐採され、跡地には勝手に畑まで作られていました。田村貴昭衆院議員が8月27日、被害者の志水恵子さん(66)の案内で、盗伐の現場を調査しました。
 被害に会ったのは、えびの市西長江浦、えびのジャンクション付近の山林。現場では盗伐業者によって作業道も造成され、樹齢100年を超えるヒノキの伐根などが散乱。跡地の畑にはみかんやスギの苗まで勝手に植えられていました。
 しかし検察は7月9日、犯人を不起訴にしたことを志水さんに通知。理由は、①境界確定の証拠が不十分、②故意の証拠が不十分、③公訴時効にかかっている、でした。
 志水さんは「盗伐した業者は、以前に伐採地の買い取り交渉に来ており、自分の山ではないことを認識している。窃盗の意図は明らか。伐採届も出ていない」と説明。「18年夏にはまだ木があったことを確認している。Googleアースの衛星写真でも確認できる。しかし、なぜか警察・検察は犯行が行われたのは17年で、公訴時効にかかっていると言い張っている」と訴えました。
 志水さんと宮崎地方検察庁都城支部の田中朋弘副検事とのやり取りを録音したものがありますが、田中検事の態度は非常に不可解です。

志水さん
「市役所の農林整備課の職員さんが『直近に伐っている』と証言してくれたが、市役所に確認したか?」
田中検事
「書類がないので何とも言えない。それに市役所の職員の証言は信ぴょう性がない。えびの警察の書類で伐った日付を判断している」
志水さん
「Googleアースの衛星写真の日付では、2017年にはまだ木があった。2018年の4月から6月にも妹がタケノコ取りに入って、木があることは確認している」
田中検事
「Googleアースは証拠にならない。タケノコ取りの話は検察審査会に言ったらいい」
志水さん
「犯人は、えびの警察の初めての現場検証が行われる直前に、現場に散乱していた伐根をひそかに撤去している。伐根に付着した土を見れば、直近に伐ったことが分かるからだ。証拠隠滅ではないのか」
田中検事
「調べてない。捜査したかどうかも回答できない。証拠隠滅ではない」
志水さん
「犯人は、市の現場調査の際、伐採には私が立ち会ったとウソの証言をしている。自分の山だと認識していればそんなウソはつかない。それに、犯人は以前に『山を売ってくれ』と言ってきた。自分の山でないことは知っていた」
田中検事
「ウソか勘違いなのかは判断できない。それにウソをついたからと言って故意に伐ったとは言えない」

 この後にも、無理矢理時効が来たことにして、不起訴にしようとする不自然なやり取りがずっと続いていました。とても犯人を追及しようとする姿勢とは思えません。
 「盗伐被害者の会」の海老原裕美会長は「盗伐業者は国から補助金をもらって伐採し、被害者だけが大事にしてきた木を奪われている」と語気を強めます。
 「被害者の会の加入者は現在127世帯に及ぶが、これは氷山の一角。声をあげられるのはごく一部だけで、実際にはもっともっと多くの方が被害にあっている。警察・検察も動かず、大半は黙らされるからだ。最初は激怒して会に加入してきた方でも、ある日突然黙って何も言わなくなることも多い」。
 「生産量日本一の宮崎の林業の実態は、高品質な飫肥杉が安値で取引されているため、タダで伐り取る盗伐なしには成立しない構造になっている。だからこれだけ大問題になってもいまだに被害者が出るのが現状だ。街から見える山々の尾根の向こう側は、ハゲ山だらけになっている」。
 田村議員は「県や市がきちんと被害を確認することが重要。国にも働きかけ、行政に役割を発揮させる」と述べ、引き続き解決に向け力を尽くすと約束。「こういうことが起きる背景には、高性能林業機械を使い、大量・大規模に伐採することでコストカットをさせようという菅政権の基本政策がある。彼らには、森を守り育てながら少しずつ伐ることで、生物多様性を維持し、災害を防ぎ、水源を保全するという発想はない。政治を根本から変えなければならない」と話しました。