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DACのパイオニア、スイスのClimeworks ①

Climeworks(クライムワークス)は、スイス・チューリッヒに拠点を置くDACのパイオニア。独自のDACプラントを開発・製造し、2021年12月現在、世界中で15機を運用している。

直接空気回収(DAC)とは

DACとは、日本語で「直接空気回収(Direct Air Capture)」。大気中から直接CO2を回収、固定する技術を指す。一般的にDACは、特殊な吸着液や吸着剤に空気を通し、CO2を分離・回収する。吸着液や吸着剤から回収されたCO2は何らかの方法で固定し、大気に戻らないようにする。

クライムワークスのDACプロセス

クライムワークスのDAC技術も、基本的にはこのような手法でCO2を固定する。同社のDACのプロセスは2段階だ。

まず、ファンで空気を取り込む。取り込んだ空気は装置内部のフィルターを通過する。次に、フィルターに一定量のCO2が付着すると空気を取り込むのをやめる。装置の内部を80~100℃まで加熱し、高純度・高濃度のCO2を回収する。

回収したCO2は地中深くに埋めて固定するが、このプロセスについてはOrcaのプロジェクトで詳しく説明する。

クライムワークスは、CO2を吸着する特殊なフィルターを自社開発している。また、DACプラントはユニット単位で構成されるモジュール方式。ニーズに合わせてさまざまな規模に組み立てることができる。モジュール方式は近年、クライメートテックのものづくりの土台となっている。


DACプラントはクリーン電力で稼働

DACプラントは、再生可能エネルギーや廃棄物発電による電力で運営される。プラントのライフサイクル全体のカーボンフットプリントは、回収したCO2全体の10%未満。つまり、100トンのCO2を回収すると10トンがオフセットされ、残り90トンが純減となる。

次回は、2021年9月に稼働した世界最大級のDACプラントOrcaについて紹介したい。Orcaは、アイスランドのCarbfixとの共同で実現したプロジェクトだ。ネーミングが素敵。

参考・画像出典 https://climeworks.com/

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