故武井実良さん(全盲、享年42)の死から9年
武井実良さん(たけい・みよし、享年42、全盲)がJR目白駅ホームからの転落事故に遭われた2011年1月16日から今日で9年になります。
以来、個人的には目白駅を通るたびに黙祷を捧げています。
視覚障害者が三次元空間の球技ができるブラインドテニスという世界からみても画期的なスポーツを考案した、国内外の多くの人々から愛された若き英雄が、ホームからの転落という都会の奈落に落ちてしまったことは、何年経っても悲しい限りです。
実良さんの死去後、全国でホームドア設置が大きな流れになりました。実良さんが転落事故の最後の犠牲者であってほしいと願い続けていますが、その後も悲劇は続いています。
視覚障害者は見えない分、耳から聞こえるかすかな音を頼りに動きます。しかし、ターミナル駅の工事の音や、レイアウト変更により、彼ら彼女らは大きな苦痛を日々強いられています。
例えば、健常者の方でも、目を閉じて追体験をいただければ、人間としてどれほど大変なことかをご実感いただけるかと拝察します。
先日、自然栽培の農園の経営者の方のご講演を伺う機会がありました。そこでは障害者の就労機会も積極的で、その理由として「自然栽培すると、ほぼ正規分布で作物のサイズ等がばらつくの自然だと日々実感しています。人間もばらつくのが自然なのです」。
「障害者雇用が法律によって強いられるから」という受け身の姿勢でなく、障害者をお荷物としてみるのでなく、社会で共に生き、働く仲間として、人間の尊厳を重んじる姿勢の企業がより増加することを願ってやみません。
障害者問題は健常者問題です。いわゆる健常者とされる私たちの問題なのです。弊社は今後もこの姿勢をもちつつ、職場の側にある障害の除去を、問題解決を志向される企業の方々とご一緒に追求したく存じます。
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