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60代ASD、初の海外(トルコ)に挑む(7)サルディス


朝の発見


出発準備をしているとき、洋服ダンスの床に面白いものを見つけた。

方角を表す目盛りと[KIBLE]の文字の矢印

トルコ国民の9割がイスラム教徒だ。これはおそらく礼拝の方角を示すのだろうとIさんと話したが、調べてみるとやはり[KIBLE](キブラ)はずばり「方角」の意味だった。
私はほとんど食欲がなく、果物などを少し食べて出発した。トルコの果物は本当においしい。大きい楕円形のスイカとみずみずしいメロンと甘いブドウはこんな時でも食べられた。

リディア

今日4日目はアフヨンからエーゲ海沿岸のクシャダスまで400㎞ほどを移動する。旅程中最も長い移動距離かもしれない。
そしてその途中で立ち寄るのが、リディアの首都サルディスの遺跡だ。

サルディス遺跡。広い!そして平地にある。

リディアはフリギアの後、紀元前7世紀から6世紀半ばまでトルコ西部を支配した国だが、サルディスは内陸部とエーゲ海沿岸をつなぐ交通の要衝として富栄えたという。

リディアに関しては次のような話がある。

リディアの王クロイソスは西岸の諸都市を手中に収め、東のペルシャ帝国を倒そうと考えた。クロイソスは、まず数多くの神殿に使者を送り、「私は今何をしているか」と質問させた。この時デルフォイのアポロン神殿だけが王の行動を正確に当てたため、王はアポロン神殿に自分のペルシャ攻略が成功するかどうかを尋ねた。
アポロンからの神託は「兵を動かせば偉大な国を滅ぼすだろう」というものだった。(藤村 シシン. 古代ギリシャのリアル (p.89). 実業之日本社. 参照)

これを聞いたクロイソス王は早速ペルシャに攻め込むが、結局サルディスを占領され、(偉大な)自らの国を滅ぼしてしまうことになった。
アポロンの予言はこのようにあいまいで、危険なものだった。

サルディス遺跡

2本の柱(イオニア式)だけが立っているが、周囲一帯が様々な時代の遺跡であふれている。

サルディスはリディア滅亡後も長期間重要な都市として使われ続けた。そして遺跡の調査はあまり進んでいないようだった。主にローマ時代のものだというが、道端に大理石の柱などが転がっている(冒頭写真)。敷石には石をつないだ楔の跡がある。

石をつないでいるのは鉄のように見える
調査中の遺跡には屋根がかかっているが、ほんの一部だ。

クシャダス

広大なリディア地方をひたすらエーゲ海へと向かい、今夜から3連泊するリゾートホテルへと向かった。ここを足場に周辺のギリシャ植民市などの遺跡を見学する予定だ。

夕暮れの中、ついにエーゲ海が見えてくる。
ツアーのほかの参加者には見慣れた光景なのだろうが、私にとっては初めて見るエーゲ海。
思わず古代ギリシャ人のように「海だ、海だ!」と叫びだしたい気分だった。

夕暮れのエーゲ海。何も言うことはない。

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