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「幹細胞に若返り効果がある」とはどういうことなのか


人をつくっている数十兆個の細胞のなかに、細胞の元となる細胞といわれる幹細胞があります。この幹細胞に「若返り効果があるらしい」と聞いたことはないでしょうか。
それは正しくは「幹細胞培養上清液(かんさいぼうばいようじょうせいえき)の細胞の修復と再生の効果」のことです。
 
この記事では、幹細胞について解説したうえで、幹細胞上清液に期待できる効果を解説します。
 
参照:幹細胞培養上清の浄化濃縮法の開発と再生医療への応用(自治医科大学)

幹細胞は元となる細胞

人をつくっている細胞にはさまざまな種類があります。細胞にさまざまな種類があるので、臓器や器官などにさまざまな種類があるわけです。
そして幹細胞も、多種多様な細胞の1つです。幹細胞の特徴は、細胞の元になる細胞であることです。

 幹細胞が細胞を生む現象は身近で起きている

「幹細胞が細胞の元になる」と聞くと、医学的で生物学的なイメージがあって難しく感じるかもしれませんが、実は身近で起きています。

例えば、転倒して皮膚に傷を負ってしまっても、数週間後には跡形もなく消えています。これは皮膚の幹細胞である表皮幹細胞が元となり、皮膚の細胞をつくっているからです。
それぞれの臓器・器官には幹細胞があり、例えば神経の細胞をつくるのは神経幹細胞、肝臓の細胞をつくるのは肝幹細胞、血液の細胞をつくるのは造血幹細胞といいます。

組織の再生こそ若返り

幹細胞が若返りに関わってくるのは、まさにこの細胞の元になる性質のおかげです。

細胞が集まった集合体を組織といい、皮膚も組織です。皮膚が傷つくことは組織の破壊であり、幹細胞が皮膚の細胞をつくって傷が消えるのは組織の修復や再生になります。

老化は組織が劣化した状態のことであり、老化の逆の現象である若返りは、組織が修復・再生できた状態のことです。
以上のことをまとめるとこのようになります。
 
●皮膚の老化=組織の劣化

●幹細胞が皮膚細胞をつくる

●皮膚が修復・再生

●「若返った」といえる

幹細胞を培養したあとの上澄み液に有効成分があった

幹細胞に組織を修復・再生する力や若返り効果があったとしても、幹細胞を増産することは簡単なことではないので、これをそのまま美容医療などに使うことはできません。

そこで注目されたのが幹細胞培養上清液です。
 
培養とは、実験などで細胞などを増殖させる行為であり、上清液とは上澄み液のことです。
つまり幹細胞培養上清液とは、実験で幹細胞を培養したときに使った液体の上澄み液のことです。

有効成分が存在するのは当然といえば当然?

幹細胞に若返り(=組織の再生)効果があるのであれば、幹細胞培養上清液に、よい効果を生み出すよい成分が含まれているであろうことは容易に想像がつきます。

そして実際に研究者が幹細胞培養上清液の成分を調べたところ、有効成分がみつかりました。
 
研究者は培養において、増殖した幹細胞が必要なのであって、幹細胞培養上清液は特に必要ではありません。
しかし有効成分が含まれているのであれば美容医療などに使えるはずです。 

有効成分は増殖因子、血管新生因子、酵素など

 幹細胞培養上清液に含まれている、若返り効果が期待できる成分は、増殖因子、成長因子、血管新生因子、酵素などです。

増殖因子や成長因子とは細胞の増殖や成長を助けるものなので、ダイレクトに若返り効果が期待できます。
血管新生因子は、新しい血管をつくるのを助けるものであり、血管が増えればより多くの酸素と栄養が細胞に運ばれるので、これも組織の再生に寄与します。
酵素は細胞のさまざまな働きをサポートします。 

製品としての幹細胞培養上清液は浄化・濃縮している

培養を終えた直後の幹細胞培養上清液は有効成分のほかに幹細胞が排出した老廃物も含まれています。
そのため、クリニックなどで提供している「製品としての幹細胞培養上清液」は、メーカーが浄化したり濃縮したりといった加工を施しています。
それで安心して使えるわけです。

まとめに代えて~0次予防と幹細胞培養上清液

病気と健康の1次予防とは、健康な人が病気を引き起こさないようにする取り組みのことです。

2次予防とは、発病を早期に発見して早期に治療に取りかかることです。

3次予防とは、病気を重症化させない取り組みです。

医療では一般的に1~3次予防を提供しています。
そして当院ではさらに、0次予防を提供しています。
 
0次予防は、人々の健康を維持・増進させる取り組みで、病気を寄せつけない身体を目指します。
加齢=老化は、ほとんどすべての病気のリスク要因になるので、幹細胞培養上清液に期待される若返り効果は、病気リスクの低減につながる可能性があります。





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