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黒人英語を理解する

まず黒人英語について書く前に断っておきたいことがあります。

ブロークンイングリッシュと黒人英語を混同しないこと

・ちゃんとした文法を理解していない
・ゆえにブロークンイングリッシュしか話せない
・語彙が貧しくそのうえprofanity(卑語)をやたらと使う

これは黒人英語ではありません。在米10年以上にもかかわらずひどい英語を話す日本人(じゃないことがのちに判明)女性が「私はストリートで英語を学んだの」と言っていたのを聞いて言葉を失ったことがありました。「え?どこのストリートでそんな英語学べるの(苦笑)?」と聞き返せばよかったでしょうか。
黒人英語はあえて文法を崩している口語です。

まずは二重否定(double negatives)からいってみよう

筆者が夫とベースのお店である食べ物をオーダーした時のことでした。カウンターにいたのがおそらく40代後半~50代前半の日本人女性だったと思うのですが、彼女が私の夫にこういいました。

"Sorry sir, but we don't have no (商品の名前)."

「出たな二重否定。旦那さん/彼氏が黒人なのかな」と思いました。
日本人は「二重否定は強い肯定として使います」と学校で習いますよね。だけどこの日本人女性従業員は「それなら当店にございますとも!!」という強い肯定の意味で使ったのではなく、「ありません」という否定文として使っているのは明らかでした。文法的に正しくいいかえるのであればWe don't have any .....です。
それからain't ....no....の二重否定は人種・性別を問わず高校生くらいまでの若い子達や、大人でもHonchで飲んでいるコントラクターの白人のおじさん達、黒人男性をパートナーに持つ非黒人の女性達も使います。
二重否定に関してはFacebookで見かけた黒人男性が自虐的に投稿していますのでご覧ください。コメント欄も自虐的(笑)。

黒人のように文法的にはおかしいとわかっていてもあえて「自分達の言語=文化」として話しているのとは違い、日本人が黒人英語を話すと「ただ文法がわかっていない人」だと思われる可能性もありますのでそれは覚えておきましょう。また学校の提出物(論文など)や職場を中心とした環境で作成する公的な書類でも使わないように気をつけましょう。

所有格の"their"を毛嫌いする

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黒人の英語

黒人英語だとtheyとなっていますが、正しくはcheat on their girl, for their kids....theirに恨みでもあるのかと思うほど彼らはtheirを使いません。なぜなのでしょうか。例えば今アメリカで話題になっているstimulus check(景気をよい方向に刺激するために支給される1,200ドルの小切手)を使ったものだとこんなものを見かけました。
Give them folks they stimulus check.
標準英語に書き直すと
>>Give the folks their stimulus check.

Be動詞の"are/were"も毛嫌いする

上の引用投稿ではwe wasとなっていますが、現代の標準英語だと正しくはwe wereです。黒人英語だと主語がYouでもare/wereではなくがんがんis/wasを使います。私の知人で黒人男性と結婚している白人女性も、are/wereは身内や友人と話す時はほとんど使いません。You is/You was/They is/They was....慣れれば気にならないのでしょうけれど、やっぱりすっきりしないんですよね。is/wasすら省かれてWe friends. We the family.というような文章も良く聞き/見かけます。ここまでくると黒人はbe動詞全般が嫌いなのか?!と考えたくなりますね。
また田舎に行くと白人でも(例えば農夫など)このare/wereの代わりにis/wasを使うところもあるそうですが、教養がないという印象を与えるので、使う際は気をつけましょう。

いきなり主格(や定冠詞"the"の代わりに)として使われる"them"

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                          (服装w)

themは本来目的格の代名詞ですが、上のmemeでは定冠詞"the"が入るべきところで突然themが挿入されているのが二カ所あります。
文法的に正しい標準英語だとHow the E-7s used to walk up in the club 、そしてlooking for the E-4 and below females. となります。あーこういうthemの使い方、SNSで見かけるとどうしてもむずむずして訂正したくなるのですが、黒人英語は身内や知り合い同士で使う分には「文化」として通用します。

上の文章も標準英語に直すとThe friends you made in Japan hit different. ですが、SNSで友達とシェアする程度ですから黒人英語のままでも大丈夫。

Be動詞が省略される、あるいは原形が使われる

とにかく黒人と話していて気がつくのがbe動詞が省略される頻度の高さ!トップ画像のYou being real...の文章がよい例です。You are being という現在進行形でareが省略されています。それからBe動詞が入ったとしてもやはりare/wereはほとんど聞こえてこず、下手したらありとあらゆるところが原形のbeで済まされていることにも気がつきます。また「所有格のtheirを毛嫌いする」のところで紹介した文章でDudes be ready for...ではareの代わりに原形のbeが使われています。

黒人英語を話さない黒人 (スイッチの切り替え)

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ふふふ、これは例としてわかりやすいですね。学歴があってホワイトカラーの仕事をしている黒人達は、仕事中は公用語と割り切って標準英語を話していますが、プライベートとなるとこんな風にDuragをつけてHennessyを飲みながら同じ人種の友人達と"That bitch ain't shit."とか言っているのではないでしょうか(笑)。他の人種と働きながら標準英語を話すのは慣れたとしてもかなり堅苦しく感じるでしょう。どんなに教養がある黒人達、例えばオバマ夫妻だってプライベートとはいえ、子供達の前では教育のために標準英語を話しても、二人きりになったらばりばりの黒人英語を話しているかもしれませんよ・・・それだったら面白いな。

小説を読んで黒人英語のシャワーを浴びる

Kathryn Stockett著 "The Help" という作品はすごい!著者が白人だとは思えないほどです。

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舞台は黒人に対する差別がまだおおっぴらに行われていた時代のDeep Southの一つ、ミシシッピ州です。差別を受けていた黒人のhelp達と彼女達を虐げていた白人の夫人達の英語、両方に触れていると、言語は文化だなぁと思います。筆者のブログで簡単にレビューを書きました>>ボキャビルのために翻訳版を読んでから原作を読むのはどう?

日本人女性が黒人英語を話したら黒人はどう思うか?

黒人英語を話す黒人男性からしてみると「黒人慣れしてるんだな」と思うくらいであまり気にならないそうですが(彼女の自宅に初めて招かれたらHennessyが置いてあった時に感じるのと同じようなものでしょう)、中には普段から黒人同士ですら黒人英語を話さない黒人男性達もいます。そういう男性達からしてみたらその「慣れ具合」に引いてしまう部分もあるでしょう。
黒人女性達はどうなんでしょうね・・・。既述の白人女性(知人)は黒人男性と結婚しているため、話し方をはじめとし、attitudeがブラックです。むしろ仕事中に標準英語を話す方が疲れるといいます。だ・け・ど彼女の義理の姉妹達、義母は彼女を"My ni**a"として認めません。日本人がカリフォルニアロールを見た時に感じるものと同じようなものを感じるのかもしれませんね。


参考サイト:黒人英語 African American Vernacular English


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Maria Abe
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