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ロングブーツに挑戦した話

わたしにしては思い切った買い物をした。
怠惰でめんどうくさがりのわたしは、2,3年前まで服も靴も鞄もお手頃なものを使い潰すか飽きるか汚しては捨て、また安いものを買い直しては、全身に身につけるものの総入れ替えを繰り返していた。

そんなわたしが今年、5万円近くするロングブーツを、3回ほど試着して、とても納得して買った。家に帰ってこんなに満足したことはなかった。不思議な充実感でじんわり幸せを噛み締めている。

わたしがDr.Martensを知ったのは5年前。
ブランドを忌み嫌うど田舎の母親の影響を受けて、アパレルブランドはUNIQLO、GU、Honeys、GLOBAL WORK、earth music &ecologyあたりしか知らなかった(というかそれ以外のショップに入る勇気がなかった)。

大学に進んだわたしはかなり無理をして念願の街で1人暮らしを始めていた。
何でも手に入る街にいること、過干渉な親から離れて、服装にケチをつける母がいないことが心底嬉しかったのを覚えている。母はスカートを履くだけで、色気付いて、下品だ、ダサいなどと全否定するひとだった。

お洒落に目覚めたわたしのもとへ、高校の友達が遊びにやってきた。その子は高校のときから持ち物のセンスがとてもよく、それでいて背伸びもせず自然体で、彼女にとても似合うものを選んでいた。

そんな尊敬するお洒落な友人が履いてきたのが、Dr.Martensの3ホールだった。
「わかる?これバイト代で買っちゃったの〜!まだ皮が馴染んでないから靴擦れが怖いけど、せっかく瑠璃に会いに行くし履いてきちゃった😆」

そう話す彼女はにこにこしていて、とても満ち足りているように見えて眩しかった。わたしの何歩も先を歩いているように感じた。
そこからすぐに調べたブランドのコンセプトと、みたことのあるシルエットの8ホールブーツから目が離せなくなってしまった。無骨で頑丈そうで、戦いに出るようなブーツ。

家具も最低限しか買い揃っていないような極貧1人暮らし大学生に、ほいほいと買える靴、そんなものはほぼない。安いパンプスやスニーカーを履き潰しては捨て、新しく買いなおすしか知らなかったわたしには雲の上の靴だった。

でも、なんとなくいいなと思っていたマーチンに再会する日がやってきた。それは、ある古着屋でぶらぶらといつものように服を物色していた時のこと。いつもは入らない2階に気まぐれに上がったら、マーチンがずらっと並んだ棚があったのだ。
自分のサイズを調べようとするもUKサイズでよく分からない。うーん困ったなと立ち尽くしていると店員さんが見かねて助けてくれた。
足のサイズを伝えて8ホールがいいんですけど、というと「この中だとこれかこれですね。」と、出してくれたのが今の1番のお気に入り、紫の8ホールだ。
もうひとつは黒のよく見るタイプで、使い込んである年数も紫のほうが少なそうだった。中古で10,000円近くするなんてわたしには大きい出費だったけれど、ほぼ一目惚れしてしまったわたしはその場で購入してしまった。
それからは友達にもイメコン垢さんにも、その靴いいねと褒めてもらえる一軍アイテムとなり秋冬はよく履いている。

そこで、やっぱり次ブーツを買うなら新品を選んで、自分の足の形に革を育ててみたいと思うようになってきた。
結局、ロングブーツをアパレルブランドでも靴の専門店でもたくさん探してまわったが、めぼしいものは見つからず。
諦めかけたときに思い出したのがマーチン。あ、マーチンのロングもしかしてあるんじゃないか??と思い出して調べてみたらめっちゃ好みなのがあった。さすがツボを抑えてくれている。

【AUDRICK 20 ホール ブーツ】

Dr.Martin公式HP→ https://jp.drmartens.com/item/NAPPA_LUX_AUDRICK_20_I_BLACK.html
よりお借りしました。

厚底、黒、膝下の理想の丈、と揃っていてもう買わない理由が思いつかず、とりあえず近くのショップで試着をしてみた。

ブーツはとってもよかったのだが、そこの店員さんは冬なのにやたら「夏のロングブーツがかっこいいですよ、今これ安くなってるんで買うべきですよ🤓」とゴリ押ししてくるのと、彼女のファッション観とわたしのファッション観が違うことをわかっていないところがなんとなく好きになれず、別の店舗で再度試着。
そこの店員さんは手入れの仕方などの質問にも答えてくださる丁寧ないい方だったが、人気商品なのでこの小さい店舗では試着用の現品限りとのこと。せっかくならまっさらな新品がいいためまた別の店舗で問い合わせると、一足だけ奇跡的にサイズのストックがあり、もう運命だと購入を決めた。

諦めかけたりもしたけれどやっぱりいいな、と思えるブーツが増えてほくほく。
わたしの自己評価もこのまま上がってほしいな〜などと思っている。