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Thinkpad X270で0.38GHzを体感した話


すぐ解決したい人向け

発生する事象

2017年製 ThinkPad X270 (20HMA0CCJP)がバッテリー駆動時において突然重くなり、まともに操作できなくなる。

解決方法

社外品の6セルリヤバッテリーを外す。たったこれだけだった。

以下に問題の経緯と解決にあたって調査した内容、実験した内容を記載する。


問題の発生


バイトで使っていたThnkpad X270だが...

外出時に使用すると突然動作が極端に重くなる現象に遭遇した。

スペックはこちら

  • Thinkpad X270

  • CPU Core i5-7200U 2.50GHz

  • RAM 16GB

  • ストレージ 500GB nvme SSD

使っていると何もしてないのにソフトウェアウィンドウの切り替えすらままならない状態になるのだ。

まともに操作ができない状況でなんとかタスクマネージャーを開くと...

CPU使用率14%...?
そして狂気の

C P U  0 . 3 8 G H z

重すぎてスクリーンショットすら撮れない

どうして(泣)

PSPのCPU(333MHz)に毛が生えた程度しかクロック出てないんだが?

同じ様な事象が他の人でも起きていないか調べたところ似た様な報告が出てきた。
しかし問題解決には至っていなかった。

【Windows 10】ノートPCのCPUクロック周波数が上がらない/何をするにも動作が遅い・重い場合の対策についての調査メモ(0.38GHzまでしか上がらない問題・未解決) (did2memo.net)

CPUクロック数が上がらない - Microsoft コミュニティ

また同じCPUを搭載する機種においても同様の問題が発生してることも分かった

Re: i5 7200U stuck at 0.38Ghz - Miix 720 12IKB - Intel Community

i5 7200u drops multiplier to 4 (0.38Ghz) | TechPowerUp Forums

ほかにクロックが下がる例としてCPUファンの詰まりという事例もあった

処理がものすごく遅くなったノートパソコンを直した話|諸行 (note.com)


原因の特定

このまま放置するわけにもいかないので原因を探す。

1. 発生した状況を確認する

まず発生する条件を確認した。何度もこの状況に遭遇したので確認はしやすい方だった。

  • バッテリー駆動モードであること

  • リヤバッテリーが半分程度放電していること

この事象が発生した場面で共通していたのはこの2点だった。
なおX270のバッテリーはフロントとリヤの2つが存在し、通常リヤバッテリーから使用される。

また発生した状況を観察すると以下の特徴が見られた。

  • 発熱はしておらず、ファンの回転もない

  • 発動するとずっと0.38GHzで固定になる

2.最近変更した箇所を調べる

次にこの事象が発生する様になった直前にかけた変更を調べた。

まず問題を起こしていることが多いドライバだが、X270は2017年発売のPCであり既に公式からの保守サポートはない。
よってそもそもドライバの更新がないので除外。

ドライバの更新履歴

次にosだがWindows11を無理やりインストールしてはいるものの入れてからかなり経過している上、最近の更新でその様な問題が発生したという報告は聞いたことがない。よって除外。

インストールしてから問題発生まで3か月以上経過している

最後にハードウェアの変更だが最近バッテリーをフロント、リヤ同時に交換した。この事象が発生するトリガーとしてバッテリー駆動モードであることがあったのでここを疑うことにした。

バッテリーを疑う

まさかではあるがバッテリーしか疑う場所がないので交換前と何が違うのか調べた。

  • 交換前は純正 交換後は2つとも社外品

  • フロントは変わらず3セル

  • リヤは3セルから6セル(7200mAh)に変更

  • 購入したamazonページやその他のレビューで動作しなかったという報告はない

6セルリヤバッテリー 社外品の新品

問題解決に向けて試したこと

バッテリー周りの設定を変更することで解決できないか試すことにした。

1.電源に繋ぐ

効果あり 根本的な解決になってないがすぐにCPUが本来のクロックで回る様になった。

電源に繋ぐとクロックが上がる

2.電源プランの変更

効果なし 電源周りのトラブルでよく言われる設定内容である。
Windows設定の電源とバッテリーにある電源モードやコントロールパネルにある電源オプションを電力効率重視に変更したが効果は全くなかった。
どうやらosの設定よりも上位の場所、ハードウェア側で制御されているようだ。

設定から変更できる電源モード 今はバランスに設定している

3.リヤバッテリーを外す

効果あり 一度スリープしてリヤバッテリーを外した。
フロントバッテリーだけで駆動することになるがクロックが0.38GHzに固定されなくなった。

リヤバッテリーを取り外した図
バッテリーを外した途端クロックが回復した

4.緊急リセットスイッチを使う

効果なし ThinkPadに搭載されている緊急リセットスイッチを押してCMOSクリアを実行した。再起動するため一瞬CPU使用率が回復するが、しばらくするとクロックが0.38GHzに戻ってしまう。

ゴム足の隣にある穴が緊急リセットスイッチ

5.バッテリードライバを入れなおす

効果なし バッテリードライバであるMicrosoft ACPI-Compliant Method Battery を削除し、入れなおした。これもバッテリー周りの問題の解決方法としてよく紹介されているが、解決しなかった。

ドライバを入れなおしても効果はなかった

6:その他実験すべき内容(ほかの方のブログで検証されていた内容、本環境では未検証)

主に先駆者さんであるdid2さんが検証している内容でいずれも効果がなかったと紹介されている。以下に再度リンクと目次を一部引用する。

またこちらの2章内でも同様にリヤバッテリーを外しているが、再起動を実行していること、3セルのバッテリーを取り付けていることから検証条件が異なる。
ここには社外品のバッテリーであるかは記載がないためさらなる検証が必要そうだ。

【Windows 10】ノートPCのCPUクロック周波数が上がらない/何をするにも動作が遅い・重い場合の対策についての調査メモ(0.38GHzまでしか上がらない問題・未解決) (did2memo.net)

実験したことのまとめ

効果があったもの

  • 電源に繋ぐ

  • リヤバッテリーを外す(スリープにしてから外す、再起動はしない)

効果がなかったもの

  • 電源プランの変更

  • バッテリードライバの入れ直し

  • CMOSクリア

  • その他


さらなる情報収集のためインターネットの奥地へ

ダメもとで英語のサイトを重点的に調べたところThinkPadの非公式フォーラムにたどり着いた。

X270 dreaded stuck at 0.38 ghz CPU - Thinkpads Forum

内容を読むとまさに同様の問題が話題に挙げられ、検証されていた。

フォーラムで報告されていた内容(要約)

内容を簡単に翻訳すると以下の通りだった。

  • 6セルバッテリーを使用している利用者だけがこの問題を報告していた。

  • LenovoはBIOS1.28で特定の組み合わせ(フロントバッテリー+3セルリヤバッテリー)での問題を修正したが、6セルリヤバッテリーについては修正されていない。

  • この問題は社外品のバッテリーで報告されている。

  • 他の同世代のThinkPad(T470)でも同様の問題がある

これらの情報を統合するとThinkPadのハード内の組み込みコントローラに問題があるといえそうだ。


調査したことや実験したことのまとめ

ここまでの内容を統合して考えた結果、以下の結論に至った。

考えられる原因

  • ハードの組み込みコントローラの問題

解決方法

  • 電源に繋ぐ

  • 社外品の6セルリヤバッテリーを取り外す


感想

この問題はバッテリーを取り換えた直後にはたいてい発覚しない問題なので非常に焦った。
まさか本当にバッテリー周りの問題だとは思ってもいなかった。
しかもせっかくの大容量バッテリーで発生し、現状ではバッテリーを取り外す以外の選択肢はないので非常に困る。
一方、純正の6セルバッテリーでは報告されていないのでLenovoによる社外品対策とも考えられる。
最もそれだったら同じバッテリーを使用するX250やX260にも仕込むべきだが。

ここまでの長文をお読みいただきありがとうございました。


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