薬剤師のお仕事、夢と現実。

こんにちは。まきこです。

大学病院をやめてフィリピンに留学中なはるかと、薬局の後継ぎをやめてクリエイター活動中のまきこ。道を外れちゃったアラサー薬剤師2人が週替わりでお届けする、はるまき交換日記。

今週はわたしがお届けします。



引き続き今回も、過去にさかのぼってのお話。
今日は、5段階中2つ目です。

・どうして薬剤師になったの?

・薬剤師のお仕事、夢と現実(今回はここ)

・正解は1つしかないと思っていた

・心の中にある「当たり前」を壊してみた

・正解のレールから外れてみた




新卒で大学病院に就職した、先週のはるか日記↓

大きな病院の中でちゃんと責任を持ち、深く決定権のある仕事がしたかったからこそぶつかったはるかちゃんの現実と、

調剤・漢方薬局に就職したわたしの夢と現実とは、また別の違うものでした。



薬剤師のお仕事、夢と現実 まきこ編


夢に向かって頑張る人を支えられるようなお仕事に就きたい。体調が悪いと前向きに頑張れないから、健康を後押しできるお仕事がしたい。

薬剤師を志し、なんとか国家試験にも合格し、ピカピカの白衣とともに薬剤師ライフをスタートさせたわたし。


お仕事をはじめる前、調剤・漢方薬局の薬剤師に描いていた "夢" はこんな感じだったよ。

・直接「ありがとう」を言ってもらえる仕事

・患者さんの暮らしにより近い場所で、健康を後押しできる

・薬の専門家として、一生役に立つお仕事


正社員として5年ほど働いて気付いたのだけど…

これらの夢は、すべて… 




幻想ではなく、真実だった!

薬局では、患者さんに出されたお薬をただ数えて渡すんじゃなくて、きちんと効かすための飲み方や、暮らしのことまでアドバイスできる。合わないお薬が出されれば病院に電話して、医師の先生に直接問い合わせられる。

漢方相談では、「頭がいたい」「腰がいたい」「めまいがする」など、同じ症状の訴えがあってもより詳しくお話をうかがって、1人1人異なる原因に合わせたオーダーメイドの処方ができる。

薬剤師として卵からかえったばかり、知識の未熟なぴよぴよ1年生のときも、心をこめた笑顔や挨拶は今日からすぐに始められるし、分からないことがあっても、曖昧にしないで聞いたり調べたりして丁寧にお答えすることはできる。


薬局に訪れる方は必ずしも心に余裕がある状態ではないから、時にはきつい言葉をぶつけられて、バックヤードで泣いてしまう日もあったけど…

それでも、できる努力を重ねて患者さんと真摯に向き合えば、少しずつでも確実に前に進める。

ときには
「詳しく教えてくれてありがとう」
「あなたの笑顔は気持ちがいいね」
なんて、直接感謝の言葉をいただける機会だってあるし。

ほんと、一生役に立てられる、ステキなお仕事だと思う!


「え、それなら、夢=現実で終わりってこと?よかったね、ちゃんちゃん」
てなればよかったんだけどね。

わたしにとっての "現実" は、働き出してから見つかったの。それは、お仕事そのものというより、わたし自身の問題だった。


わたしがぶつかった現実

・緊張感のある職場がしんどい

・同じ場所に毎日ずっと同じように通うのが窮屈

・そもそも、自分が薬嫌い


1つ目。

もともと人見知りなのと、キリッと決めて薬剤師をするのが苦手なのとで、患者さんと対峙する時はいつも緊張して、完璧でいなきゃと自身の一挙一動を振り返っては反省してた。

もっと自然体でいられたら良かったのかもしれないけど、患者さんの命を預かる職場だと思うとやっぱり緊張するし、当時は、自分ではない別の誰かになろうと必死で。

日常では忘れんぼうでうっかり屋なわたしが、患者さんの前ではそれを見せなかったのが、緊張感を持って働いていた何よりの証拠。笑

2つ目。

1つ目の理由がベースにあったからかもしれないけど、毎日早起きをして満員電車で同じ場所に行って、同じメンバーで働くことが、とにかくしんどくって。毎週同じように始まる月曜日がとにかく憂鬱だったんだよね。

(誤解のないように書いておくと、一緒に働いた同僚さんたちは人間としてステキな方ばかりだし、今も連絡とってるくらい仲良しだよ!)


でもまあ、ここまでの理由だったら、まだ頑張ることで乗り切れたかもしれない。


ある日、同じお薬を飲み続けている患者さんからね、聞かれたの。

「このお薬、ずっと飲み続けなきゃダメなの?」

て。


その質問で気付いてしまったんだよね。


あ、この人薬嫌いなんだな。言われてみれば、わたしも薬嫌いだな。飲まなくていいよって言ってあげたいな。



とはいえ、それは医師が診断の上で処方されたお薬。

飲まなくていいよなんて、わたしが簡単に言えるものではない。

患者さんにはお薬を続ける意義を説明しながら、心の中で本当は、飲まなくていいよって言ってあげたいと思ってる。


その矛盾の中でのお仕事は、まるで自分に嘘をついているみたいだった。



***

夢だった薬剤師になり、描いていた夢と、自分の現実との違いを知ってしまったわたし達でしたが、だからといってすぐに、その道を外れたわけではありません。

ずっとずっと、それこそが正解だと思って、正解だと周りからも言われて生きてきたのです。頭の中にあるたった1つの「正解の人生」と、そこでの葛藤について、また次の2週間、はるかちゃんと交代でお話します。


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