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絵の記号を記憶に定着させる模写練習の方法の模索【絵練習ノート 1】

どうも、理屈で絵が描けることを証明する「お絵描きホーホー論」です。絵の練習しまーす。

久しぶりに練習してる最中に「模写練習ってあんまし意味なくね?」と思ってしまったので解決策がないか模索することにしました。やっぱり絵の上達は知識量なので暗記しないといけません。これまでの経験からして、頑張って練習してもガッカリするときって練習内容が記憶に定着してなかったときだと思います。記憶を定着させる模写練習があれば実践してみたいものです。

自分の考案した理論を思い出すところから

これまでにいくつかの独自理論を考案していますが、すっかり忘却されていました。思い出しながら相互に関係づけて体系化するところから始めることにしました。ちょっと多いですが列挙します。

【独自開発の理論】
 1. お絵描きのメカニズム
 2. 構図デッサン
 3. 物語創作理論
 5. 対角線分割法
 4. 一筆描きパース理論

過去に考察・解説した記事やツイートをリストアップしました。これらを改めて実践練習に導入して具合を見ながら、いけそうなところから連結して一つの体系にまとめ上げていけたらいいなと。とりあえず確認しやすい様に図に書き出しておく。

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これらの図を見る限り、久しぶりに一から仕切り直す僕に最適なのは、いきなり模写練習をすることではないと判断しました。やるべきは「絵の記号」をどんどんリストアップして、絵を描くときの思考を言語で行える状態を作ること。つまり、これまでにどんな勉強をしてきたかということを思い出しておくというだけです。お絵描きのメカニズムの記事で言っていた「知らないものから知ってるものへ、知ってるものから分かるものへ、分かるものから使えるものへ、ステップアップ」を実践します。

最も暗記量が多いところ

お絵描きのメカニズムのフローチャートでいうと、「描画技術」を習得するために「分析工程」をメインに「練習タイプ2(真似)」を行って「6つ絵の記号」のレパートリーを充実させる、という感じかも知れません。下のセグメント図を見る限り、左上の「デザイン」系の記号が模写練習に関わりが深そうです。右下は風景デッサンのとき。残り2つはレベルアップや創作のときに関わりそう。まずは左上を収集して覚えなくてはいけない。

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図 図に絵の記号をリストアップ

模写するだけでは済ませられない背景の練習について。これは資料をそのままに転写することには全くの意味がなく、最低でもレイアウトの美的感覚を養うか、パース作画の手順の練習を行うか、くらいはやる必要があります。その先の落書きに活かそうと思うなら空間をアレンジするスキルを磨く必要があります。ここで役立つのが「構図デッサン」の条件分岐です。描こうとしている構図に必要な作図法を選択することができます。練習手順としては、拾い物の風景写真に写っている被写体を平面図に起こし、カメラアングルを設定し、被写体のディテールのデザインを自由に変更して透視図に描こ起こすという練習スタイルをとる予定です。背景ありの落書きをする際には「物語創作理論」を参考にコンセプトの要素「世界観設定」「美術設定」を考えておきます。そしてこれは描画練習が目的なのであまり設定に凝らず、似た設定を使い回すことでディテールに悩まずに筆を走らせることができれば成功です。ただし今回は背景練習まではやらない予定。

練習方法

手慣らしに模写練習してたけど、やっぱり何か違う。もしかして最初にやる練習が模写練習って間違ってない?もしそこそこの絵の記号をすでに知っているなら、まずは何も見ないで人物や建築などの立体物を再構築してみるところから始めるのが、絵の記号の知識をビジュアライズする最適解かも知れない。

初心者=模写という先入観について今一度考えてみる必要がありそう。お絵描きのメカニズムでは模写練習は、上手い絵から記号を学びとる、見たことない被写体のディテールを試し書きする、という意味を持つ。つまり、オリジナルの落書きをする目的であれば模写練習の後に必ずアレンジを入れることになる。この時点で今回の練習目的に対して模写練習は適切ではないと分かる。今回の練習の目的に必要なのは、すでに知っている記号を試し書きしながら下手でもいいのでキャラ落書きをすることである可能性が高い。

絵の練習において模写練習とは最も達成感のない部類のメニューで、せいぜい描いたものが似ているかどうかくらいしか楽しみがない。しかも手本に縛られ、よく観察し、あまり自由のない描画を強いられる。これは楽しくない。模範解答があるからそれに寄せるために時間もかかるし、ルーチンワークなので一体描き終わったときに次を描こうという気持ちにもストップがかかる。ちょっと模写練習から離れてみようと思った。

しかしながら手本を見るという行為は、描く絵の土台のイメージの構築に貢献してくれる。模写はしなくともアイデアをもらうことはできる。というわけで、手本は模写練習ではなくインスパイアのために見ることにする。

やり方は、

【暗記模写】
 1. 手本を見る
 2. ポーズとデザインを覚える
 3. 映像記憶の再現を土台にしてシルエットを描く
 4. 細部をアレンジしながら描く
 5. 描ききった後で答え合わせしながら修正.
 6. 再度同じ絵をささっと描いて覚えたか確認

模写ではなく暗記なのがキモ。必要ならデザインやポーズの特徴を箇条書きメモにしておく。これで自由度が高いまま、しかも記憶に定着しやすい練習法になる。模写練習も重要だけど、暗記練習をやってる人は少ないと思う。記憶は思い出そうとすることで定着するので、この描き方をした後には知識が増えて達成感もそこそこだと思う。

練習結果

とりあえず暗記模写練習の1~3までをやってみた。まず細かいところは気にせずにポーズとファッションのみが分かるように模写。次になるべく見ないように同じキャラを描こうとしつつ忘れたところだけ確認。最後に何も見ずに描いてみる。回数を重ねるごとに手本を見る必要がなくなって線に自由度が戻ってきているように感じた。代わりに手本と比べて頭身などの比率は狂って行った。模写による束縛から解放された分だけ、被写体の立体感そのものや解剖学に脳のリソースを割く余裕があったようにも感じた。ポーズやデザインの特徴を完全に覚えたら、次は解剖学や絵の記号を思い出しながら絵を描くことができる。

模写練習の最大の欠点は、常に転写できているかを評価し続けることに意識を奪われ、自分の記憶からのアウトプットが行われていないため、模写練習が終わった後にその経験を記憶に定着させるのが難しいというところです。よって、模写練習のグレードアップとして、見ながら描くことと、見ずに描くことを往復することまでちゃんと練習に組み込むべきだという発見でした。

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図 暗記模写の実験(参考『渡辺明夫アートワークス』85ページ)

今日の教訓

習得とは、知らないものから知ってるものへ、知ってるものから分かるものへ、分かるものから使えるものへ、ステップアップすること。
模写練習とは、上手い絵から記号を学びとる、見たことない被写体のディテールを試し書きすること。ただし、自分の記憶からのアウトプットが行われていないため、模写練習が終わった後にその経験を記憶に定着させるのが難しい。
暗記模写練習とは、すでに知っている記号を試し書きしながら下手でもいいのでキャラ落書きをすること。手本は模写ではなくインスパイアのために見る。自由度が高いまま、しかも記憶に定着しやすい練習法。

↓ 次回の【絵練習ノート】


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