神戸地裁のニコニコ動画への動画削除命令は妥当です

今回の削除命令の話題に関しては、ニコニコ動画のドワンゴを褒めるべき。何故なら投稿削除には法的根拠が必要だと主張した。
法律に反しない限り表現の自由を守る姿勢を示している。
差別問題に対して法整備が不十分であるという問題は残るかもしれないが、それはまた別の話。

この主張に対して反論します。
何故なら間違っている部分があるからです。

削除命令は法的根拠に基づいています

今回のながれを整理
①問題の動画の投稿
②兵庫県丹波篠山市と丹波篠山市の自治会が裁判所に仮処分申立
③裁判所の判定の結果、裁判所がドワンゴに削除命令

そもそも仮処分とはなんでしょう?
色々な場合がありますが、


緊急を要する場合

に用いられます。

今回の動画削除は


緊急性が高いと司法が判断した

ということです。
つまり人の財産や命に危険がおよぶ可能性が高く、それは表現の自由を超越するということになります。
以下の判断基準はあくまで文脈をみて知識を総動員した結果の想像ですが、

・ネット上に掲載されているため拡散可能性が高いこと
・これまで長い日本の歴史で、差別される地域への攻撃は根強いこと
・歴史的に考えても、悪意のある特定の地域への差別は人命と財産が攻撃、『虐殺』される可能性が極めて高いこと

こうした逼迫(ひっぱく)した事情から、命じたものであり

バリバリに法的根拠があります。

なぜなら、日本の法律の全てで頂点にある(最高法規とむずかしい言葉では言います)日本国憲法は、
基本的人権の保護を至上の目的とするからです。

表現の自由もその中に含まれる小さくて大切な要素の一つですが
人の財産や命を奪うことを促す「表現」は、

基本的人権に反しています

急ぎまとめたので正確ではないところがあるかもしれません。
法律の専門家、被差別部落研究の専門家様でしたら、
補足訂正お願いします。


参考文献
芦部信喜, 高橋和之(2011) 憲法 第五版, 岩波書店. 385.

神戸新聞(2021/05/31 06:00) 部落差別動画、ドワンゴに削除命令 全国初、ニコニコ動画の投稿 神戸地裁支部