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復帰プログラム 2

管理職との懇談

昨日の出来事を振り返り、彼女は机に向かって自分の言動を文章化していた。少しでも冷静に振り返り、AIの助けを借りて、プレゼンテーションの原稿を練り上げている。けれど、どうしても気になるのは「自分からコミュニケーションを取りに行く」ということだった。今まで何度も挑戦したが、それが簡単ではないことを痛感している。

相手も、挨拶こそできるものの、その後の会話が続かない。何を話せばいいのか困っている様子が明らかだった。立ち入った話をすることの難しさ、そして相手もそのことに対して気を遣っていることがわかる。だが、相手は少なくともストレスを与えるつもりはなく、逆に「少しずつでいいんだ」と教えてくれた。

「相手の話を聞いたり、時にはスルーしたりするスキルを身につけていけばいい」――そう言われた彼女は、まずは挨拶からでも十分なのだという安心感を感じ始めた。

巡視

朝、学校の廊下をゆっくりと歩く。特に3年生と4年生の教室前を通りながら、子どもたちの様子を観察する。だが、まだ自分から声をかける勇気が出ない。先生方は優しく挨拶をしてくれ、入室を促すこともあったが、今週は廊下からの見守りに徹しようと決めた。

廊下を歩く中、何人かの先生たちと知り合いの顔を見かけ、温かい声をかけられることが多かった。その度に心が少しずつ和らいでいく。中には、挨拶をしてくる児童や質問をしてくる子どもたちもいた。そんな時、彼女は思わず笑顔を浮かべ、返答することができた。

しかし、気になる児童を目にするたび、心がざわつく。あの子は何に困っているのだろうか。表面には見えない何かがあるのではないか――彼女は、そんな考えが頭をよぎる。おそらく二次要因も絡んでいるのだろう、と無意識にチェックリストを頭の中で描いていた。

また、先生たちの言動にも、時折自分なりの意見を持ってしまう。「自分だったら、こう対応するのに」――そんな考えが巡る。しかし、その一方で、今はただ見守ることしかできない自分がいる。

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