7.真冬のダンス

私のかなりお気に入りの曲だ。悲しい時に「悲しみのステップを踏む」という独自表現をしてしまうほどだ。

これは愛の歌だ。全肯定の歌だ。人生は波瀾万丈、高低差がある方が、一般にもてはやされる(聞いていて面白い、人間の深みが増す、面接受けがいい等)。最後には華やかなフロアでギラギラのダンスをするような。
一方で、凡人である我々はエクストリームさに欠けるがまあまあ穏やかな人生を送っている。「つまらない映画のラストシーンで泣けないように」われわれは他人に対しては面白み、エクストリームさを求め、面接においてはエクストリーム対決をつい目指してしまう(本質ではないが)。それでも、踊っていいのだ。身体を使って、しょうもない人生でも、自分の足で踊るのだ。丸ごと包んで愛するのだ。それが白いまっさらな気持ちなのだ。それは今は先が見えなくても、いつか輪になって回収されて、自分になる。その日まで大切にしておこう。そのために祝福の、スローなダンスを、というラブソングである。

いい歌だ。

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