5.路地裏のうさぎ

メルヘンな題名だなあ。その割に物騒な歌詞だなあ。というfirst impressionだった。いまも、これは「おおきいおともだちのための絵本」だと思っている。

作中主体のいる現実は、じめじめした薄暗い路地裏の世界。それに対して星と月の輝く深い青の澄んだ世界。主体は成そうとしていることが達成できずひりついた焦燥感、から回って自分を苦しめる大きな情熱=乾いた思い、赤を体に受ける。それでも小さな星は澄んだ空に輝いて月うさぎは笑う。

1番Aメロは五感に訴えかけるリアルな描写から、月うさぎというメルヘンを帯びた存在へと跳躍(うさぎだけに)する爆発力がたまらない。
2番Aメロは無力感と僅かなきらめきと空の様子を重ね合わせ、色のイメージで統合して書きまとめている。わかる、というより言葉そのもののイメージの重なりを味わいたい。絵筆の筆致や色そのものを楽しむように。

間奏めっちゃ綺麗よね。

「心の奥で白いミサイルが弾けた」からはワールドアパートの「心の中に革命を」を彷彿とさせる。小さな決意から湧いて溢れるエネルギーの圧倒的な質量がクレーターをあけてしまう。月うさぎは無事だろうか。

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