パソコンに入っているソフトウェアは全て疑ってかからないと行けないのか

Peingで表題の質問をいただきました。長くなるので、こちらで回答します。

パソコンに入っている、インターネットのウェブサイトを閲覧するためのコンピュータープログラム(「e」←このようなアイコン)は、基本的に信頼できないのでしょうか。
世界中で広く一般的に使われているコンピュータープログラムなら、まれによくある不具合修正をきちんと適用していれば基本的には信頼できると考えて、よほどタイミングが悪くなければ怪しいウェブサイトを「見るだけ」なら問題ないだろうと今まで思っていました。(ダウンロードした怪しいファイルについては話は別ですが。)
また、ウェブサイトで情報漏洩とかなりすまし犯罪予告のようなニュースを時々見ますが、あのようなものはウェブサイト側のプログラムの欠陥が原因であって私のパソコンの中のプログラムには問題はないと思っていました。
ところが先日に新聞を見たところ、利用者のパソコンのプログラムに何の欠陥もないにもかかわらず、あるウェブサイトを閲覧しただけで不正なプログラムが実行されてパソコンに危害が加えられるかのようなことが書いてありました。
そんなことがあるのなら、インターネットのウェブサイトを閲覧するためのコンピュータープログラムはそんなにセキュリティ的に信頼できないものなのでしょうか。最初からパソコンに入っているプログラムであっても、世の中のコンピュータープログラムは基本的に信頼できないものである、と疑ってかかるべきですか?
https://peing.net/ja/q/3d0a72cb-c54c-4c1b-a17f-976f22aafc54 より引用

おそらくIEの脆弱性CVE-2020-0674のことを指しているのだと思います。今の所修正プログラムは配布されていませんが、マイクソフト社は影響を限定的と見ているようで次回の更新プログラムリリース(日本時間では2月12日)に修正プログラムが配布されます。遅滞なく適用しましょう。

IEの脆弱性のことを指しているとすると、「利用者のパソコンのプログラムに何の欠陥もない」ということにはならないですよね。ブラウザ(プログラムの一種)には欠陥があるという前提なのです。「全ての修正プログラムを適用しているのに」という前提であれば、その通りではあります。

いずれにせよ、現時点でIEの欠陥を悪用した大規模なウイルス感染は観測されていないようですので、マイクロソフト社の緊急度判定は正しいのでしょう。ただ、絶対ということはないので、当面IEの使用を避け、Google ChromeやFirefoxの利用をお勧めします。

ということで、「そんなことがあるのなら、インターネットのウェブサイトを閲覧するためのコンピュータープログラムはそんなにセキュリティ的に信頼できないものなのでしょうか。最初からパソコンに入っているプログラムであっても、世の中のコンピュータープログラムは基本的に信頼できないものである、と疑ってかかるべきですか?」というほどにプログラムが信頼できないとは私は思いません。

「全てを疑え」という呪文はセキュリティ業界ではよく言われることですが、ITの専門家でない方にとっては実践不可能なことです。「全てを疑え」を素人の方が実践したために、かえって危なっかしい運用になる例を私は見てきました。たとえば、怪しげなソフトウェアを導入してしまうなどです。それは極めて危険です。

なので、更新プログラムをすばやく適用するなどの基本に忠実な利用をおすすめします。

セキュリティの研究を仕事と趣味でやっていて、趣味の研究結果をブログ記事などで公開しています。研究にあたり、ドメイン名取得や、VPS、AWS等の継続的な費用がかかりますので、支援をいただければ幸いです。 https://twitter.com/ockeghem