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夫、インターナショナルになる~beer republic THE GRUB物語6

グルメドラマにも出演し、
ぬるっと知名度が上がった夫のお店。

しかし、夫には悩みの種がありました。

いや…
私に言わせれば完全にヤケクソでしたw

夫、人員不足に悩む。

そう…働いてくれる人がいないんです。

求人を出しても引っかからない。
面接はドタキャンされる。
連絡なしで姿すら見せない。

「面接に来てくれたら雇うよ」
「聞いて、面接に誰も来なかったw」

口を開けば求人の話。
晩酌をすれば求人の話。
寝る前も求じ…(略)

覚えた単語を連呼するインコのように、
夫は求人に憑りつかれていました。

「どうしよう」

この言葉を聞かずともわかりました。
あの時、夫は悩んでいたんです。

ヤケクソになりかけたある日…
夫の前に女神が現れたんです。

ハイスペック欧州ギャル現る

「今日さ、すんごい娘たちが来たよ」

久しぶりに求人と言わない夫に驚きを隠せなかった朝6時。

芸能人が来たのか?
パンクギャルが来たのか?

そう思っていると…

自分の身に起きたおとぎ話のような出来事を
まくしたてるように話してくれたんです。

なるほどすんごい娘たちでした。

営業前、夫が開店準備していると
「チリンチリン」と扉の開く音。

お客さまかな…?
そう思い目を向ければ、

綺麗なピンク髪の女子
やたら足の長い美女
目鼻立ちのはっきりしたギャル

欧州ギャル3人組が来店したのです。

圧倒的なオーラと
普段見ない光景に夫は茫然。

「ま…まだお店開いてないけど」

その返答は3人の姿より驚くものでした。

「ここで働かせてください」

千と千尋の神隠しのような台詞に夫さらに茫然。

聞けば、ギャルたちは日本に留学しているハイスペックな大学生。

日本語が勉強したくてアルバイト先を探していたようなんです。

ただ、なかなか働き口が見つからず、
半ばヤケクソでドアベルを鳴らしたとか。

夫は夫で面接すらこぎつけない状態。

ここに完全なる需要と供給の一致が生まれたのです。

「渡りに舟」を現代風に言うなら
「お店に飛び込む欧州ギャル」です。

ただ、夫はこれまで外国人を雇ったことがありませんでした。

外国人の雇用方を調べてから改めて面接するということで話がまとまった時、ピンクギャルは言いました。

「私、髪の毛ピンクだよ?」

「見ればわかるよ」

そう返答しかけた夫にピンクギャルは続けました。

髪の色を理由にアルバイトを断られ続けていたそうなんです。

彼女はピンクが大好き。
ピンクの髪の毛がトレードマークです。

「綺麗じゃん、そのままで良いよ」

ベタな学園恋愛ドラマのイケメン主人公のみ許される台詞を口にし、彼女たちを見送った夫。

夫は、彼女たちを雇う方向で動くと私に話してくれました。

久しぶりの嬉しい話に私もテンションが上がりました。

でも…
私には気になることがありました。

夫は英語が話せない

我が夫。
英語がからきしダメなんです。

夫と付き合う前。
あれは…夫が骨折で入院していた頃でしょうか。

英語が勉強したいから
英語でメールのやりとりをしようと連絡があったんです。

言うて、私も英語ペラペラではありません。
旅行程度の会話ならいけるレベルです。

それでも力になれるなら。
そう思ってやりとりを始めた日のこと。

とんでもないメールが送られてきました。

「I have a flea leg.」
(私は蚤の足を持っています)

何の前情報もなく蚤をぶっ込む夫w

え、入院しているのに蚤いたんか?
病院へのクレームを私に…?

それとも蚤の足だけ掴んだってこと?
え、器用アピール?

もしや…暗号…?
この人、私と暗号勉強したいの?

しょっぱなから大混乱w
英語メール即終了w

事情を聞けば、夫は骨折したと言いたかったそうで。

「free leg」

とだけ返信が来ました。

骨折はbreak my legやw
自由な足って何w

私は私で、自由の女神がたいまつの代わりに夫の足を持つ姿を想像してしまいました。

そのビジュアルの衝撃が忘れられず、
欧州ギャルに意味不明な指示をしたらどうしようと恐る恐る聞けば…

彼女たちは日本語がペラペラ。
基本は日本語でやりとりするだろうとのこと。

良かった。

夫の蚤伝説が海を渡って語られることはないと知り、胸を撫でおろしました。

私がこの話を聞いた数週間後、
彼女たちはお店に立っていました。

ピンクの髪の毛がトレードマーク、イタリア人のイレーネさん。

スタイル抜群、太めアイラインが魅力的なフランス人のサラさん。

この出会いは夫を経営者としてまたひとつ大きくするものだったのです。

ちなみに…

これを書いている今、
夫にクイズを出しました。

「大晦日は英語で何て言う?」

夫は大きな声で答えてくれました。
「last year\(^o^)/」

それ去年やww
答えは「New Year's Eve」やw

仕事の目的意識

夫が二人を雇って一番変わったのは、
「目的意識」の使用頻度です。

多用するったらないですww
仕事の話になると2回以上は登場したw

異国で働く二人を見て、これまで雇った人たちと違うものを感じたのでしょう。

夫は言います。
「彼女たちは仕事に目的がある」と。

人種でくくりたくはないけれど…
と言った後に夫は続けました。

彼女たちの働きぶりはこれまで雇った日本人とは全然違ったようです。

日本語を勉強したい
生活するためのお金を稼ぎたい

「何のために働いているか」が明確で、
仕事の質がとても高いんだとか。

目的意識が仕事ぶりに出る。
目的意識を持っている人と働きたい。

この言葉を何度聞いたことでしょう。
自己啓発講師にでもなったのかと疑ったくらいですw

だから…
なのかわかりませんが。

彼女たちを雇って以来、
夫は留学生を雇うことが増えたんです。

「雇うなら留学生良いっすよ」
「責任感があるし真面目で礼儀正しい」
「面接絶対来てくれますもん」

お友達経営者にこう話すのを見たこともあります。

面接来てくれるってw
めっちゃに根持ってるやんw

私は経営者になったことはありません。
だから想像の域を超えませんが…

同じ賃金を払うなら、勤務時間を有意義にしようと積極的に動く人に払いたいのでしょう。

お給料を「欲」ではなく「成長」に使って欲しいのでしょう。

今も言います。

「みんなのお給料上げたいけど…
 無駄使いされるならイヤだなw」

仕事の目的意識に目覚めた夫は、
お金の目的意識にも目覚めようですw

気持ちはわからんでもないよ。
私も社長になったらそう思う。

でも…もし。 
お給料日に自分の会社の社長に

「おー、嫁よ。
 無駄使いしたらアカンで」

こんな言われたらめっちゃ腹立つw
聞こえなかったフリするw

少なくとも。
夫とスタッフさんの関係は私と社長の関係より良好ということでしょう。

そして夫は気づくのです。
スタッフさんが有意義に過ごせるようもっと環境を良くしたいと。
もっと色んなことを伝えて、人間としての奥行を持たせたいと。

夫の人材教育熱がほとばしり始めるのです。

おっとその前に。
もう一人紹介したい人がいます。

私は、ほぼ面識ありませんw

でも、夫はそんなのお構いなし。
その人についてガンガン話してくれますw

その人についてもお話しなくては。

次回
「夫、永遠の仮採用をする」
「夫、自己啓発講師になる」

こうご期待!
※若干話は盛ってます

ちなみに…
イレーネさんはイタリアへ帰国。
サラさんは今でも働いてくれています。

日本語堪能
頭脳明晰
料理は抜群の腕前
おまけにめっちゃ美人

私が男性なら一目惚れしてたでしょう。

サラさんの魅力に触れたい方は、
落着いたら会いに行ってみてください。

彼女が作る料理も最高ですよ!

夫の飲食店はここ↓
beer republic THE GRUB 代々木上原店

地図

渋谷区上原1-32-15 第二小林ビル
03-6804-8714

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