職場の付き合いでお見合いしたらゲロ吐きかけられて一人でラブホで洗濯した話 -後編-

さて、いよいよ開戦-バルディード-となります。舞台は「汚くはないけどめちゃくちゃ綺麗ってわけでもない、デートに選ぶ場所としてギリセーフかなってレベルの居酒屋」

青コーナー、オタク陣営は僕と暇そうだった吉川くん。

対する赤コーナー、お見合い陣営は波多野さんとその友達、リーサルウェポンさんです。

なんでこんな名前にしてあるかって?気にしないでください。


まずはラウンド1です。オタク陣営、お見合い陣営ともにありがちなトークからジャブの差し合いです。

途中で吉川くんが「給食で出てた鯨の肉ってめちゃくちゃ美味くなかった?」トークを不意に差し込みましたが、あまりにも変な空気になりドクターストップがかかりました。

それでも「合コン」としてはごく一般的な盛り上がり方を見せ、普通に楽しい飲み会になりました。この時点での僕は「ふーん、意外と悪くないじゃん(cv越前リョーマ)」みたいな気分でした。

波多野さんもリーサルウェポンさんも顔は正直可愛かったんですよ。男って単純なもので、僕も吉川くんもそれでちょっと浮かれてました。普段よりお酒は飲んだ気がするし、軽い冗談を交えながら話ができるくらいには波多野さんともリーサルさんとも仲良くなれたと思います。

さて、ラウンド1終了。この時点でリーサルさんに異変が発生していました。

彼女、恐ろしく酒癖が悪かった

1軒目でベロベロになったリーサルさんは、「次いこ?次いこ?」マシーンと化しており、僕も吉川くんも波多野さんも半強制的に次の店に行くことになりました。

嫌な予感がひしひしと感じられました。大丈夫か?これ、ついて行ってなんともないか?そんなことを思いつつも断れず、そのままラウンド2へ移行しました。


ラウンド2はさっきの店よりはお洒落なバー。ただお客さんも多くてちょっとガヤガヤしてました。

酒に呑まれたリーサルさんがめちゃくちゃ大声で笑い散らかしてたので、正直お客さん多くてよかったな…って思いました。


ここからリーサルさんは、徐々に闇の力に溺れ始めます。


ラウンド2終了。

まだ酒に飢えていたリーサルさん。そのまま逃げられるわけもなく流れるように3軒目(カラオケ)。

リーサルさんは相変わらず飲んでました。変な色のカクテル飲んでました。妖怪かと思いました。

肝心のカラオケは酔い過ぎてあんまり覚えてないですが、U.S.A.で吉川くんがめちゃくちゃクラゲみたいな踊りしてたのは覚えてます。

あ、唐突なんですが「U.S.A.とエイリアンエイリアンを混ぜてみた」っていう動画、とてもオススメなので聞いてみてください。Youtubeにあります(ダイマ)。


それはそれとして。


ラウンド3も終了し、さすがに解散の流れとなりました。

交通機関は深夜にて死に絶えておりましたので、タクシーを呼ぶことに。

帰る方向がみんなバラバラだったので(僕が北方向、吉川くんと波多野さんが西方向、リーサルさんが東方向って感じでした)、それに合わせてタクシーを3台呼ぶことにしました。

1台目には波多野さんと吉川くんが乗りました。2人はそのまま闇夜に消えて行きました。

……そういやあの2人あのまま帰ったのか?ラウンド2あたりで意気投合してたし、もしかしてあのまま延長戦してたんじゃないのか?答えは吉川くんと波多野さんしか知らないのでその辺は省きます。てか俺のお見合いやぞ。

さて、リーサルさんと僕の2人で2台目のタクシーを待っておりましたが、ここでリーサルさんの闇が暴走を始めました。

露骨に青ざめた顔、下を向いたままウンウンと唸り、彼女は人の心を酒によって(酔って)失い、兵器としての自分に目覚めつつありました。

「リーサルさん、大丈夫ですか?気分悪いなら無理しないでください…?」

マズイと思った僕は、とっさに後ろからリーサルさんの方を支えました。


それがトリガーとなりました。


兵器としての自分を思い出したリーサルウェポンは、人としてのモラルや感情を振り切り、華麗なるヨロけ180度ターンを決めると、僕の胸に滅びのバーストストリームを口から大量放出してきまO-oooooooooo AAAAE-A-A-I-A-U- JO-oooooooooooo AAE-O-A-A-U-U-A- E-eee-ee-eee AAAAE-A-E-I-E-A- JO-ooo-oo-oo-oo EEEEO-A-AAA-AAAA (2回繰り返し)


あの日、僕は一度死にました。

リーサルさんのゲロに塗れた僕は感情を失い、やってきた2台目のタクシーにリーサルさんを押し込み、3台目としてやってきたタクシーの運転手に「その格好はさすがに勘弁してもらえませんか」と乗車を拒否され、虚空の彼方に消える寸前となりました。

涙すらも出ない。

そのあとの記憶は曖昧です。どうでもいいから着替えたくて、でもコンビニには肌着しか売ってないからどうしようもなくて、ネカフェでシャワーを借りようとしたら「その格好はさすがに勘弁してもらえませんか」と入店拒否され、あてもなく歩き回りました。


5分ほど歩いて、古びた目立たないホテルを発見しました。

「もう、いいか」

僕は一人でラブホに入り、なぜかちょっとだけ大きめの部屋を選んで、リーサルゲロに侵食されたシャツを、ラブホの妖しげな光に包まれた浴室で洗濯しました。



以上になります。

お見合いには危険がたくさん潜んでいることを身をもって学びました。

皆さんもお見合いをされる際は、汚れても構わない撥水性の高い服で挑むようにしましょう。


終わり、ホンマしんでくれや


追記

数日後に「本当にすみませんでした」とリーサルウェポンからお菓子を貰いました。許すわけないだろ。

波多野さんのお見合いも当然断りました。

……吉川くん、また飲みに行こうな。