ターミナスが占領された！

galaxy20,000yearslater series
Foundation Dreams

Part ６
Bayta Darell

第9話 ターミナスが占領された！

あらすじ

ターミナスがついにミュールの手に落ちる。300年前に設立されたファウンデーションが、内部の腐敗と外部からの脅威に直面している中、ベイタ・マロウ、トラン・ダレル、そして彼らの周囲に集う仲間たちは、ターミナスの運命を見守る。だが、ファウンデーションには、彼らがまだ気づいていない大きな陰謀が待っていた . . . 。

Episode ４２

ベイタ・マロウはターミナスの市街地に足を踏み入れ、時間霊廟へと急いでいた。もうすぐ正午だ。セルダンが現れる時間が迫っていた。

「ランデュ叔父さん、もうすぐよ。時間霊廟でセルダンが姿を現すわ！」ベイタはランデュに声をかけた。

「君たちもか。それはよかった！」ランデュは軽く微笑んだが、その表情にはどこか疲れた様子が見え隠れしていた。「インドバーのやつめ、独立貿易協議会の申し出を断りやがって、ミュールがホルレッゴールでわずか三艘でファウンデーションの二十艘を無傷で降伏させたんだ。」

「無傷で？」ベイタが驚いた表情を見せる。

「そうだ。ミュールは原子フィールド抑制機を使って、無条件降伏させたんだ。戦闘もなしに . . . 何かおかしいとは思うが、手の内はまだ見えてこない。」ランデュの声には疑念が混ざっていた。

そこに、トラン・ダレルが道化師のような男と、見慣れない大尉、そして禿げ上がった老人を連れて現れた。

「叔父さん、この方々は . . . 」トランが紹介を始める。「こちらがエブリング・ミス博士だ。ターミナスでは知らない人はいない有名な心理学者だよ。そして、こちらの道化師みたいな人はカルガンで出会ったボボ。エブリング博士の勧めで、今日は時間霊廟で演奏をすることになったんだ。」

「おや、ミス博士も一緒か。」ランデュは一瞬驚きの表情を見せたが、すぐに落ち着きを取り戻した。「博士、あなたが来ているとは思わなかった。」

ミス博士は軽く頷いた。「今は緊急事態ですからね。私の研究が役に立てるなら . . . 」

その時、ベイタが時間霊廟を見上げた。「始まったわ！セルダンが現れた！」

突然、3Dホログラムのハリ・セルダンが姿を現し、ファウンデーション市民に語りかけ始めた。「諸君。私はセルダン。危機はまだ遠い未来にある。当面の危険は二つだけだ。周辺グループの離反による内乱、そして、あなたたちが成功を勝ち取りすぎたため、あなたたちの政府は保守的になっている。その権威主義的態度には問題がある…」

「周辺グループって、叔父さんたちのことを言っているの？」ベイタはランデュにささやいた。

「ベイタ、内緒だが、ああ、認めるよ。」ランデュは苦々しそうに答えた。「だが今は違う。ミュールが現れたからだ。」

「でも . . . 何かが違うわ。」ベイタはセルダンの言葉に違和感を覚えていた。「まるでわざと間違った情報を放送しているみたい。」

「確かに、セルダンの言葉には何か違和感がある。」ミス博士がベイタの推測に同意するかのように呟いた。

突然、警報が鳴り響き、空が赤く染まった。「見て！ミュールの攻撃よ！」ベイタが叫んだ。

ランデュはため息をついた。「残念だが、もう遅い。ターミナスは占領されたも同然だ。だが、ファウンデーションは我々独立貿易軍が守る！」

彼らの頭上をミュールの艦隊が飛び交い、時間霊廟の周囲には市民たちの動揺が広がっていた。ファウンデーションの未来は、これまでにないほど危機的状況に立たされていた。

次話につづく . . .