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ファウンデーション暦55年?

ファウンデーション暦55年?

二万年後の銀河シリーズ
第2巻
ミーターの大冒険

第3部
惑星コンポレロンへ

第9話
ファウンデーション暦55年?

エピソード 109

ファー・スター2世号は、暗黒の宇宙空間を滑るように進んでいた。船内では、ミーターとイルミナが控えめな声で会話を交わしていた。

「ミーターさん、あと三回のジャンプでコンポレロンの星域に入るわ」とイルミナが報告する。彼女はバーチャル存在でありながら、その声には感情が込められていた。「でも、やっぱり納得できないわ。ハニスさんのあの言い方、『時代遅れの風采の相棒君』なんて、宇宙一の美女イルミネーションに向かって失礼だわ!」

ミーターは苦笑し、彼女をなだめるように答えた。「イルミナ、まだ怒っているのか。あれはハニスさんなりの誉め言葉なんだ。新しい情報を掴んだ時、彼はよく嫌味な皮肉を言う癖があるんだよ。でも、あのコンパーさんのように人を煙に巻くような態度ではなく、純粋な人間味がある。だからもう少し彼を理解してやった方がいい」

しかし、イルミナは納得しない様子だった。「でも、『時代遅れの風采』って、ひどいじゃない。今では図書館の設備はスミルナやシウェナの方が見事だって知ってて、そんなこと言うなんて」

「いや、確かにその通りかもしれない」とミーターは認めた。「でも、図書館の呼び名が古臭いのも事実だろう。ハニスさんはオリンサスさんの伝えきれなかった伝言について考えていたんだ。彼が、僕にこの船に乗る前に伝えてくれたことがあってね」

ミーターはふと思い出しながら続けた。「オリンサスさんが、図書館の隣にある『辞典広場』のルイス・ピレンヌ博士の銅像の下で倒れていたのをコンパーさんが見つけて介抱したって話は知ってるよな。実はそこに何か重要な真実が隠されていて、それを僕たちに伝えたかったんじゃないかと考えていたんだ。でも今、お前の言葉で何かに気づいた気がする」

イルミナはその言葉に興味を引かれた。「私のどんな言葉で、ミーターさんが何に気づいたの?」

「お前が言った『グレディア』という名前さ」とミーターは言った。「ハーディンが彼の次女にその名をつけた理由に関係している気がするんだ。そして、もう一つ確認したいことがある。『銀河百科辞典』の第一版が発刊されたのは何年だった?」

「それは確か、ファウンデーション暦55年よ。それがどうかしたの?」とイルミナは疑問を呈した。

ミーターは深く頷き、何か大きな謎が解けそうな予感に胸を躍らせた。


次話につづく . . .

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