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64.冬の南ドイツ

2016/03/16

 1月下旬に4日間ほどドイツに行って来ました。プファルツ、バーデン、ヴュルテンベルク、フランケンといった南部ワイン地帯のちょうど中心に、自分が40年前、ワインぶどう栽培とワイン醸造を学んだ国立の学校があります。かつての同級生や全体で1000人程現役で活躍している同窓生もこの地帯には多く、彼等を訪ね歩いたり、新しい醸造機器を見たりするのが目的です。
 ドイツでは一般に自分の頭の中にあることを言葉に換えて、大きな声で喋ります。相手の意見も十二分に尋き出そうとしますから、兎に角会話は尽きません。同行の日本人が二人居ましたが、きっと彼らは私と話し合うドイツの友人達、もしくは初対面の人々をも、何とやかましい連中だろうと思ったことでしょう。
 でも、私自身このドイツ式の会話スタイルが大好きです。分からないことはとことん尋いて来ますから、会話が了ると何やらひとっ走りしたような感覚となります。実際呼吸量も音量も日本語の会話とはケタ違いです。仕様がそうであれば、文字通り腹の底から物を言う感じで、ウソを付いたり、自己を飾ったりしない極くピュアな話し方となり、奥歯にもののはさまった感じではないのです。時々無性にドイツに行きたくなるのは、アオトバーンで車を飛ばせることや、この喋り方恋しさゆえのことなのでしょう。
 或る旧(級)友の話が面白いものでした。どういう訳か、ワインぶどうならず、クルミとヘーゼルナッツの国際的権威になってしまった男ですが、南米のチリにドイツ政府の国際援助でこの2種類のナッツを植えるべくよく出掛けているそうです。現地で現在輸出ワインのスキャンダルが持ち上がっているとのこと。チリ産カベルネ・ソーヴィニョンには大量に食用ぶどうの果汁が混入されていることが特殊な成分分析法で判明したそうな。考えてみると、本当に面白いそして信憑性の高い話ですね。だってそうでしょう。海の向こうの彼の国(例えば日本)に行ったら、どうせ胡麻化しワインや超安ワインで売られるのだったら、輸出元のチリの業者が真面目にワインを作るのアホらしくなりますから。何やらどこかの国の偽装牛かつ事件みたいですね。
 それにしても、メイド・イン・フランスらしいのですが、その原料ワインぶどうが何なのかを調べる分析機、一度見てみたいものです。

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